ディストピアにも程がある QTEに支配されたアメリカで、QTEに順応できず狂人化した人から逃げるメタ実写ゲーム「Press X to Not Die」週末珍ゲー紀行

ゲーマーの脳内では日常にQTEが表示されている。

» 2017年10月13日 19時14分 公開
[Ritsuko Kawaiねとらぼ]

 世の中にあふれる“変なゲーム(珍ゲー)”を紹介する「週末珍ゲー紀行」。第8回は実写フルモーションビデオを使ったB級映画テイストのコメディーアクションゲームPress X to Not Dieを紹介します。


ライター:Ritsuko Kawai

週末珍ゲー紀行

カナダ育ちの脳筋女子ゲーマー。塾講師、ホステス、ニュースサイト編集者を経て、現在はフリーライター。下ネタと社会問題に光を当てるのが仕事です。洋ゲーならジャンルを問わず何でもプレイしますが、ヒゲとマッチョが出てくる作品にくびったけ。Steamでカワイイ絵文字を集めるのにハマっています。趣味は葉巻とウォッカと映画鑑賞。ネコ好き。



 そこそこテレビゲームになじみがある人なら、画面に表示されたボタンを素早く押す「QTE」(※)はご存じですよね。本作は、政府の陰謀により現実がQTEに支配されたアメリカで、QTEに順応できずに狂人と化してしまった非ゲーマーたちの脅威から、タイトル通りXボタンで生き延びるというメタな内容。ちなみにX以外も使います。

※Quick Timer Eventの略。カットシーンやムービーに合わせてタイミングよくボタンを押させるアレ

Press X to Not Die


 ゲームは全編実写。QTE以外に特に操作することもないので、ゲームというよりむしろ一人称視点の映画です。出演者たちのB級臭あふれる演技と、メタ表現がふんだんにちりばめられたユーモラスな台詞が楽しめます。テレビ東京の「午後のロードショー」を撮り溜めているようなB級映画フェチなら特に気に入るでしょう。

 ゲームボリュームは、初見でもアニメ1話分程度。ダイアログの選択肢やQTEの成否によって、ストーリー展開や結末が多様に枝分かれします。また、ダイアログの中には一見無限ループに思えて、実は複数回選択すると実績が解除されるシークレットシーンもあります。


Press X to Not Die 意味不明のメタ台詞を残して冒頭で死ぬ友人

 中でも死亡シーンのバリエーションが豊富な点がB級テイストの魅力。ガールフレンドのシャワーをのぞいて日本刀で刺殺されたり、マッドサイエンティストに襲われてホッチキスで金玉を留められたり、常によく分からないハプニングの連続です。そんな発想力に富んだ死亡シーンは、クリア後のギャラリーでコレクションできます。しかも“金玉がダメになる”死亡シーンだけを集めた専用の「Nutshot Gallery」まで完備。奇想天外な死亡パターンを網羅するために、取りあえず事あるごとに死んでみるのも一興かもしれません。


Press X to Not Die のぞくなと言われたらのぞきたくなりますよね

Press X to Not Die すると彼女にサムライソードで刺されます

 反射神経やQTEに自信がない人も大丈夫。4種類の難易度が用意されているので、ストーリーだけ楽しみたいという人はイージーモードでプレイすれば、誰でも簡単に最後までクリアできるでしょう。最高難度は「Ridiculous」(馬鹿げてるという意味)。ボタンの神だと自負する猛者専用のゲームモードです。特殊な訓練を受けている人以外は手を出さないことをおすすめします。操作はXBox 360コントローラーがデフォルトですが、オプションで変更すればキーボードとマウスでもプレイできます。

 クリア後には、死亡回数やプレイ時間といった統計を含めたプレイデータが表示されます。ゲームスコアのほかに、特定の登場人物を助けたかどうかや、もっとも脅威となった敵、サバイバルに選んだ武器のチョイスなど、クリアまでにたどったルートが確認できます。中には、ガールフレンドのルームメイトに殺された回数(もちろん死亡回数に含まれる)や、ガールフレンドのシャワーシーンを覗いた回数(もちろん死亡回数に含まれる)といった謎のカウンターまで。スコアはSteamのランキングにも反映されるので、世界中にいるQTEの神々と腕前を比較できます。


Press X to Not Die ゾンビホラーの主役はやっぱコレでしょ

Press X to Not Die いいセンスだ……

 B級コメディー映画として楽しむもよし、ひたすら反射神経を磨いてQTEの神を目指すもよし。こんな映画みたいなゲームなのに定価はたったの298円(10月14日までは30パーセント割引の208円)なので、友人たちへのギフトにもぴったりです。ちなみにグロイのが苦手という人はそもそもこんな作品には手を出さないでしょうが、オプションで「1994年モード」をオンにするとゲーム画面が1994年チックに荒くなるので、気休め程度のモザイクにはなるかもしれません。


Ritsuko Kawai


関連キーワード

ゲーム | B級 | 映画 | Steam


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/21/news189.jpg 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. /nl/articles/2411/22/news014.jpg 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. /nl/articles/2411/22/news114.jpg 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. /nl/articles/2411/21/news027.jpg 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. /nl/articles/2411/22/news032.jpg 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. /nl/articles/2411/22/news018.jpg 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. /nl/articles/2411/22/news171.jpg なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. /nl/articles/2411/22/news145.jpg 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  9. /nl/articles/2411/20/news027.jpg 「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
  10. /nl/articles/2411/22/news184.jpg 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた