ふんどし姿でゴミ拾いやファッションショー! 謎の集団「株式会社ふんどし部」の活動に密着
株式会社ふんどし部のゴミ拾い活動に参加させてもらいました。
渋谷を歩いていると、ふんどし姿の集団に遭遇した。お祭りでもあるのか? しかし、街には提灯(ちょうちん)も飾られてなければ神輿(みこし)もなく、祭りの文字も雰囲気も一切ない。
かなり目立っていて気になる存在だったので声をかけてみると、彼らの正体は「株式会社ふんどし部」という企業の活動で集まったメンバーだった。しかも、これからふんどし姿のままセンター街へゴミ拾い活動に出掛けるところだという。活動そのものはいいとしてなぜその姿で?
東大院生の2人によって2016年に設立されたという株式会社ふんどし部。ふんどしの製作とオンライン販売事業から始まり、今ではそれに加えて、ふんどしを軸に新しい価値感を生み出すイノベーティブで異色な活動を積極的に行っている。例えば、社員自らが「ふんどしマン」と名乗り、ふんどし一丁でダンスイベントや講演、ラジオ等に出演。また企業のプロモーションやブランディング協力、さらには筋力トレーニングのトレーナーやバク転指導など、活動は多岐に渡る。
このゴミ拾い活動も、その一環だそうだ。しかも、今回はヤンキーの社会復帰を目的としたインターン事業を行う会社「ハッシャダイ」とコラボし、インターン生に社会貢献の大切さを感じてもらうことや、ふんどしを通して既成概念にとらわれず、本当の自分らしさを追求する力を育んでほしいという思いが込められているという。
既にふんどしを締め終えている十数人のインターン生の中に筆者も加わると、にこやかにスタッフが近づいてきて「この中から、選んで履いてください」と、ふんどしを差し出してきた。用意されたふんどしを見ると、柄も色も豊富でおしゃれである。
「履かないと分からないじゃないですか」とスタッフに推されるものの、センター街でふんどし一丁は、さすがに恥ずかしい……。しかし、待機しているインターン生の視線が突き刺さる。ここで断ったら社会人の先輩として、いや男として、それ以上に記者としてどうだろうか? いろんな葛藤を経てふんどしで同行することにした。ふんどしを締めるのは初めてのことなので、履き方をレクチャーしてもらい装着する。実際に履いてみると、これがかなり気持ちがいい。通気性がよく、締めつけがないため、身につけている感覚が薄い。トランクスやボクサーブリーフなど、これまで履いてきた下着の締めつけが、いかに強かったのかが分かり驚きである。
それから、皆でセンター街まで移動してゴミ拾いが開始される。やはり行き交う人の目が気になる。この集団を見て、笑う人や驚く人、しかめ面の人、好意的に話しかけてくる人、それぞれの一瞬の反応に敏感になってしまう。特に女性や警察官の前だと緊張が漂う。けれども、あくまで真面目にゴミを拾うだけなので問題はない。
真剣に動き回っているからか、汗を大量にかく。そこへときおり風が吹くから心地よい。そして夢中でゴミを拾い続け、あっという間に2時間が経過、大量のゴミが集まった。街をきれいにした達成感があって、なんだかとても気分がいい!
しかも最初、あれだけ恥ずかしく周りの目を気にしていたのに、今では全然気にならないことが不思議である。それどころか、ふんどし姿の男たちがかっこよく見える。
今回、ふんどしでの活動を体験してみて、決してふんどし一丁であることのスリルや物理的な爽快感だけでなく、自分をさらけ出すことの気持ち良さが何よりも大きいことが分かった。言い換えれば、過度に他人の目を怖がったり、既成概念のカラに閉じこもって萎縮する必要は全くなく、善行を大前提に自己表現や自己主張をして自由に生きるべきだということを、ふんどしを通して学んだのである。もちろん、それが彼らふんどし部の狙いであり、理念でもあるのは先述の通り。ふんどし一つでこれだけのことが実感できるとは、正直に言って驚きであった。
そしてゴミ拾い活動終了後、ふんどし部の今後の構想を聞いてみたところ、ふんどしの再普及はもちろん、日本の伝統的な下着として世界展開も視野に入れているという。またこうした活動も引き続き精力的に行っていきたいとのこと。そのうちの一つとして、世界初のふんどしファッションショー「ふんどしファッションフェスティバル」が 10月29日に渋谷で開催が決定している。
また、ふんどし部ではこの活動においてクラウドファンディングも行っているそう。活動に興味がある方、また賛同していただける方はのぞいていただきたい。
ふんどしファッションフェスティバル
日時:10月29日 開場:18時 開演19時 終演22時
場所:東京都渋谷区渋谷3-27-1 100banch 3F LOFT
チケット入手方法:クラウドファンディングページにて
(伊佐治龍 /LOCOMO&COMO)
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