「探偵の世界、完全実力主義ですよ」 探偵ってどんな仕事してるの? 調査料の相場から尾行の仕方まで、ホントのところを聞いてきた(前編) (1/2)
調査料、1週間で数百万……?
皆さんは「探偵」と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。小説や漫画などのフィクションの世界では、事件を解決してくれるおなじみの存在であり、そのカッコよさが強調して描かれるのが一般的です。
しかし、いつでも理想と現実には差があるもの。「依頼があるのは浮気調査ばかり」「調査対象から訴訟されることも」など、厳しい話も耳にします。実際のところ、探偵業とはどのようなお仕事なのでしょうか?
ということで、首都圏近郊に事務所を構えて15年、現役バリバリの探偵さん(40歳、男性)にお話を伺ってきました。探偵になったきっかけから調査料の相場、尾行の仕方まで、意外と知らない“探偵の世界”を見ていきましょう。
バイクの運転技術で探偵に
――どんなキッカケで探偵に?
築地で仲買いをしてて、そこで腰を傷めたんです。その前はテレビ制作会社で撮影とか。
――腰を傷めて身体に負荷のない仕事を探したんですね。にしても、ふつうは探偵なんて思い付かないのでは?
じつはバイトで探偵事務所のお手伝いをしていたことがあって、それが縁ですね。若い頃はポケバイのレーサーもやってて、そのスキルを買われていたんです。
――昼は築地で仲買い、夜はさっそうと探偵に変身……していたと。
どうしても尾行できない対象者がいて、「バイクで追っかけてほしい」と依頼されたんです。当時はバブルでけっこうなバイト代をいただけて、味をしめたといいますか(笑)。
――バイクの運転技術がそういう形で転職につながったんですね。
ビデオカメラが出始めた時代で、探偵さんたちも慣れていないせいか撮影がヘタなんです。僕は映像や音源の扱いに慣れてたので、他の人のやり方が素人仕事に見えてしまった。他のメンツを指導しているうちにだんだんリーダーになっていました。運転も撮影も私が事務所で一番うまかったので。
――適性があったんですね。
探偵も営業する
――ご自分で独立して事務所を立ち上げたのはなぜですか?
「クライアントのケツの毛までむしりとれ」って考え方が探偵業界の掟(おきて)でして。
――えっ、クライアントの? クライアントになるべくカネのかかる調査方法を提案するとか?
そうです。バイトしていたところを含め、業界全体的にそんな感じでした。仕事の進め方、経営方針に不満があった仲間も多かった。じゃあ自分たちで始めてしまおうか、会社作ろうぜとなって、かれこれ15年経営してます。
――今、おいくつですか?
40歳。25歳で独立しました。
――ずいぶん若くして起業したんですね。
運転、映像は得意だったけど、会社の切り盛りは素人のまま独立しちゃいました。なんせ、お客さんのとり方も知らなかったですし。
――探偵も営業するんだ。
引っ越し会社に「盗聴器発見するよ」って提携とりにいったり、司法書士事務所、法律事務所にも。「なにかあれば格安で動くよ」って声をかけました。門前払いされることもありましたが。
――直にクライアントを探すのではなく、業者との接点づくりですね。
起業1年目は事務所の維持で必死でした。
「探偵業、超地味です」
――探偵ってなんとなくカッコいいイメージがあります。シャーロック・ホームズ的な。
言っておきますが、超地味ですよ。無駄足も多いし。どんな調査もそうですが、相手が動かないと証拠が取れません。
――でも、いつ動くか分からないし……。
そう。しかも派手に動けない。存在を消して、個性を塗りつぶし続ける。そんな時間が98%なんですが、クライアントは結果(証拠写真)しか興味ないというか、評価したがりませんね。
――ちなみに、調査料の相場はいくらくらい?
動員する調査員の数、規模、レベルによりますが、1日で数十万かかることもザラ。1週間で100万単位になります。1週間、24時間張り付かせたら250万くらい。
――マジすか!(思ってたよりも高い……)
うちは相場の半額です。他で同じことをすると500万とか600万。普通の探偵社ってそんな価格感です。
――ウン百万円とか、お金持ちしか頼めないんじゃ……?
おいそれと出せる金額ではないのはたしかですが、クライアントは一般の方ですよ。裁判で絶対に勝たねばならないので金額はいとわない人が多い。ただ、「24時間張り付く必要はないんじゃないですか」「自宅に帰ったら(クライアントも一緒にいるわけだし)調査員を下がらせてもいいのでは」とか、コストダウンのアドバイスはします。
常識的に考えて、一人の調査員を24時間拘束すると、2-3万円では済まないのは分かりますよね。安くても5万円かそれ以上はかかるわけで。
――ですよね。24時間で3万円なんて、バイトでも割が合わない。
ざっと弁護士費用の2倍だと思ってくれればいいかなと。調査を1カ月続けたらすごい価格になるんですけど、実際には1週間でも続けることは稀(まれ)で、たいていはもっと短い期間で結果が出ます。
――けっこう短期勝負なんですか。
怪しい行動を起こしそうにない日は調査しないとか。企業からの依頼だと毎日張り付くことはありますが、会社にいない土日は調査を中断するとか。勤務時間中はマークしなくていいでしょうとか、サーバ監視すれば済むでしょうって提案はします。
――にしても、もっと気軽に頼めるのかと思ってました。
「高い」っていわれることは多いです。そんなときは「じゃあ、ネットで検索して他社で同じ内容で見積もり取ってみてください。倍かかりますよ」って伝えます。すると納得してもらえます。
探偵に向いている人材とは?
――探偵の適性ってあるんですか。向き不向きとか。
あります。探偵社に就職希望する若い子も多いです。
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