コラム
» 2017年11月20日 11時00分 公開

「探偵の世界、完全実力主義ですよ」 探偵ってどんな仕事してるの? 調査料の相場から尾行の仕方まで、ホントのところを聞いてきた(前編)(2/2 ページ)

[中山順司,ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

 ウチは探偵学校を卒業していることが採用条件。1年間、週4日、土日もトレーニング……それを1年間続けて、なおかつ試験に合格しないとダメ。

――そこで初めてスタートラインに立てると。

 入社後3カ月は試用期間です。適性がないと判断したら、他の仕事のほうがいいよって勧めます。「ここなら採用してくれるかも」と、レベルの低い探偵社を紹介することもあります。レベルが低いところは離職率も高いから、常に募集していますし。

――適性ってどんなところに現れます? 学歴で線引きはできなさそうなイメージですが。

 学歴ではないですね。中卒でうまい子もいれば、有名私大卒でモノにならない子も。うまい人間に共通するのは、「要領のよさ」です。いわれたことを素早く理解して、さっと動けるか。じっくり考えてからでないと行動できない人は向いてない。

――頭の回転の速さが重要。

 瞬時の判断ができるかどうか、判断力と決断力がないとダメ。数秒思考が遅れたら乗るべき電車を逃すこともあるので。

――なるほど。

完全な実力主義の世界

 もう1つ。調査には責任者がいて、その人が調査員を選んでアサインするんですが、それに選ばれない子には戦力外通告が出ます。

――えっ。社員なのに?

 社員ではあるけど、そういうシビアな契約になってます。1カ月稼働が低かったらクビ。基本、働いた分しか稼ぎにならないので、稼働日数が低すぎると食っていけなくなります。

――監督に使われないとプレイできないプロスポーツ選手のようなもんですかね。

 そうですね。採用面接で若い子たちは「人の役に立ちたい」ってよく言うんですけど。

――よく聞くセリフだ。

 でも実際は職責を果たさない若者が多い。えらそうなことを言っていても、結局中身が伴わない人間を責任者は選びません。責任者に嫌われたらアウトです。なので、人に好かれる性格、コミュニケーションスキルも必要。

――体力もないと務まりませんよね。

 50歳をすぎるとハードな現場はきついかな。年齢のいった方は嘱託的な位置付けで、ヘルプでスポット依頼するとか。探偵の世界は完全な実力世界です。

探偵業にもIT化の波

――秘密の7つ道具とかあるんですか?

 ないです。変装もほぼしない。せいぜい伊達(だて)メガネくらい。

――意外です……もっとこう、付け髭とかしてるのかと。

 女性調査員はウィッグを使うこともありますね。ふだんは短髪にしておいて、長髪に変身するとか。あと、化粧で雰囲気を変える人もいます。男性は上着を替えたり、眼鏡の有無くらい。変身道具がいっぱいあるわけではないです。

――使用する機材などはどうですか。

 昔はぼくらもたくさん機材を抱えていました。ビデオカメラも三脚もデカくって……。カバンにギュウギュウに詰め込むので、よくカバンが壊れました。探偵同士で「お前の荷物何キロ?」「オレ20キロ!(笑)」って重さを競うのは“あるある”です。

――最近は小型化が進んでいるので、助かっているのでは?

 今のカメラは性能が高いし、写真も動画も1台で撮影できる。テクノロジーでかなりラクになりました。軽量化が進んだおかげで、ポケットにスマホ、カメラ、予備のメディアとバッテリーだけでカバンすら持たない調査員もいますから。あと、Suicaなどの交通系カードですね。

――もっとこう、われわれが知り得ない珍しいガジェットとかは……。

 ないです(笑)。

尾行がバレたことはある?

――尾行の仕方を知りたいです。

 標準的なのは「ゴム尾行」と呼ばれる方法。環境によって、対象者との距離感を1〜100メートルの幅で伸び縮みさせるんです。例えば、人気のない夜道は100メートルはあけて、あまり近づかない。振り向かれてもこちらが認識されないレベルです。

――1メートルというのは?

 渋谷のスクランブル交差点とかでは、対象者の真後ろまで寄ります。でないと、雑踏に紛れて見失ってしまうから。

――相手にバレることってあります? 「誰だ! 言え、誰の差し金だ!」とかいきなり胸ぐらをつかまれるとか。

 尾行がバレたことは……15年で3〜4回かな。めったにないです。それよりも、自然に人混みに紛れて見失うことを恐れます。

――対象者って、気付かないものなんですね……。

 真横にピタッといても気付かれませんよ。もちろん、こちらも相手の視野に入らない、死角に立つなどして意識されない工夫はします。

――だとしても、何時間も追っかけたら、「あれ? この人、2時間前にも見たぞ……変だな……」って疑われません?

 尾行すると言っても、その場を離れることもあります。建物の出入り口が1つしかなければ、そこを押さえておけば問題ない。隠しカメラを据えてその場を離れることもします。Wi-Fiで飛ばせば外に停めた車の中から観察できますし。

――探偵業の世界もIT化が進んでいる……なるほど、それならバレない。


 知らない話が次々と出てくる「探偵のお仕事」。後編では、「浮気が絶対にバレる理由」から「いじめ調査だけは無料」にしている理由まで、引き続きお話を伺って行きます。

中山順司(なかやま・じゅんじ)

ロードバイクをこよなく愛するオッサンブロガー。“徹底的&圧倒的なユーザー目線で情熱的に情報発信する”ことがモットー。freee株式会社勤務&経営ハッカー編集長。ブログ「サイクルガジェット」運営。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2208/11/news068.jpg がん闘病の秋野暢子、手足の浮腫みで“見たこともない体重”に 抗がん剤の副作用を「しっかり受け止めます」
  2. /nl/articles/2208/11/news060.jpg 研ナオコ、長女の誕生日に面影感じる“母娘”ショット 「そっくりな娘さん!」「大人になりましたね」
  3. /nl/articles/2208/10/news172.jpg 朝日奈央が結婚、お相手との肩組み2ショット公開 「これから家族として、沢山の景色を一緒に見にいける事がとっても楽しみ」
  4. /nl/articles/2208/11/news063.jpg 高橋真麻、第2子妊娠を生発表 6月に“激痩せ”姿が話題になるも「どうやら体質のようです」「理由が言えなかった」
  5. /nl/articles/2208/11/news010.jpg 水浴び中の野生の水牛を発見、撮影していたら…… 突然振り返った行動に撮影者が大慌て!【豪】
  6. /nl/articles/2208/10/news023.jpg 生まれつき前足のない柴犬、おやつの前に…… “お座り”ができるようになった姿に「命ってスゴい」「ウルウルした」と感動の声
  7. /nl/articles/2208/11/news064.jpg 岩崎宏美、長男の結婚を“新婚ホヤホヤ2ショット”とともに報告 「しっかりね!! ずっと仲良しでね!!」とエールを送る
  8. /nl/articles/2208/10/news174.jpg 坂上忍、余命数カ月の“13男”・平塚コウタに「奇跡」 転移した腫瘍消失で喜びあらわ 「先生もビックリしてて」
  9. /nl/articles/2208/11/news059.jpg 旦那大好きだな! 藤本美貴、夫・庄司智春との“ペアルック夫婦”ショットが超ラブラブ「幸せが伝わってきます」
  10. /nl/articles/2208/11/news016.jpg 2階にいるママを待ちきれない19歳の猫ちゃん、階段の下から…… 「にゃおおお!!」と何度も呼び出す姿に「甘えん坊さん」の声

先週の総合アクセスTOP10

  1. 競技中とのギャップ! 高梨沙羅、キャミソール私服でみせた大胆“美背中”に反響 「背中ガッポリ」「魅惑の黒トップス」
  2. かわいい妹すぎ! 北川景子、義姉・影木栄貴の結婚で“お姉ちゃん愛”が爆発する 「姉がどこか遠くへ行ってしまう」
  3. 泣いていた赤ちゃんが笑い声に、様子を見に行くと柴犬が…… 優しくあやす姿に「最高の育児パートナー」の声
  4. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  5. 「若い君にはこの絵の作者の考えなんて分からない」→「それ俺の絵」 ギャラリーで知らないおじさんから謎の説教を受けた作者に話を聞いた
  6. 木下優樹菜、元夫・フジモン&娘たちとディズニーシーを満喫 長女の10歳バースデーを祝福
  7. 黒柴の子犬が成長したら…… 頭だけ赤色に変化した驚きのビフォーアフターに「こんなことあるんですね」「レアでかわいい」の声
  8. 子「ごめん、もう仕事できない」→母「はぁい了解っっ」 退職を明るく認めた家族のLINEが優しい
  9. スタバの新作が王蟲っぽくてファンザワつく 「怖すぎる」「キショいから買いたくなった」
  10. カナダ留学中の光浦靖子、おしゃれヘアのソロショットに反響 「お元気そうでなにより」「別人のよう」

先月の総合アクセスTOP10

  1. 安倍元首相、銃で撃たれて意識不明か 事件時のものとみられる映像投稿される
  2. 野口五郎、20歳迎えた娘と誕生日デート 家族同然の西城秀樹さん長女も加わり「楽しい時間でした!」
  3. 「大阪王将」店舗にナメクジやゴキブリが発生? 元従業員の“告発”が衝撃与える 大阪王将「事実関係を調査中」
  4. この画像の中に「さかな」が隠れています 猫に見つからないように必死! 分かるとスッキリする隠し絵クイズに挑戦しよう 【お昼寝編】
  5. ダルビッシュ有&聖子、ドレスアップした夫婦ショットに反響 「ハリウッド俳優やん」「輝いてます」
  6. 「auの信頼度爆上がり」通信障害でも社長の“有能さ”に驚く声多数 一方で「まだ圏外だぞ…」など報告続く
  7. スシロー、“ビール半額”で今度は「ジョッキが小さい」との報告? 運営元「内容量に差異はない」と否定
  8. スシロー「何杯飲んでもビール半額」開始前にPOP掲示 → 注文したら全額請求 投稿者「態度に納得いかなかった」 運営元が謝罪
  9. TKO木下、海外旅行先で総額270万円のスリ被害に エルメスの財布奪われた“瞬間映像”も公開「くっそ〜……」
  10. パパが好きすぎて、畑仕事中も離れない元保護子猫 お外にドキドキしながら背中に乗って応援する姿があいらしい