宇多田ヒカルの全アルバム&シングル、定額制音楽配信で解禁 国内音楽市場で大きな契機となるか

Apple MusicやLINE MUSICなど9つの配信サービスで、宇多田ヒカルさんのほとんどの音源が一挙配信開始。

» 2017年12月09日 12時30分 公開
[黒木 貴啓ねとらぼ]

 12月8日にApple Musicなど主要サブスクリプション(定額制聴き放題)配信サービスにおいて、歌手・宇多田ヒカルさんの全アルバム・シングルの一挙配信がスタートした。10月に一挙配信を開始したDREAMS COME TRUEに続く“国内人気アーティストのサブスク全解禁”となり、今後の日本の音楽市場に与える影響も大きそうだ。

宇多田ヒカル サブスクリプション 宇多田ヒカルさんの楽曲一挙配信を告知する「LINE MUSIC」

 配信がスタートしたのは、アルバムは1993年のデビュー作「First Love」から2016年発売の最新作「Fantome」まで全て。ベストアルバム「Utada Hikaru SINGLE COLLECTION」の「VOL.1」「VOL.2」2枚も含まれている。他にも全シングル、さらにはデジタル音源も2017年1月にリリースされた「光 -Ray Of Hope MIX-」(Remixed by PUNPEE)までが網羅されている。

※「Fantome」の「o」はサーカムフレックス付きが正式表記

宇多田ヒカル サブスクリプション宇多田ヒカル サブスクリプション 台湾、中国、日本で人気を誇る「KKBOX」の、宇多田ヒカルさん配信楽曲一覧。活動を再開してからの楽曲や、懐かしい名曲のタイトルが並ぶ

 開始したサブスクリプション(以下、サブスク)配信サービスは9つで、Apple MusicGoogle Play MusicAmazon AMULINE MUSICKKBOXdTVdヒッツレコチョクBestうたパス。2016年9月に日本でもサービスが始まった世界最大シェアを占めるSpotifyでも、2018年1月8日から配信開始される。

 アメリカの音楽市場は2016年に約77億ドル(8700億円)と前年から11.4%増しとなっており(全米レコード協会発表)、うちサブスク配信サービスは6割以上を占めるなど市場の主流となっている。若手のみならずビートルズといった多くのレジェンドの代表作も大抵は配信されており、違法アップロードされた音源を無料視聴していたようなデジタル世代を、“音源にお金を払う環境”に取り込むことに成功。市場はV字回復の転換期を迎えている。

 一方で日本の音楽産業の主軸はまだCD。年々増えてきているとはいえ、サブスク配信サービスにおいて人気アーティストの音源はまだあまり解禁されていない。未配信の例を挙げると、サザン・オールスターズ、松任谷由実さん、安室奈美恵さん、Perfumeなど。宇多田ヒカルさんと同じく1998年にデビューした椎名林檎さんは、近年の発表曲が配信されている程度。aikoさんは全て未解禁となっている。

 日本のデジタル世代を“音源にお金を払う環境”に取り込むにあたって、これら人気アーティストの音源解禁は大きなカギとなっていた。この流れの中で10月1日にDREAMS COME TRUEが全シングル、アルバムを解禁したことは大きく注目を集めた。

宇多田ヒカル サブスクリプション 最新アルバム「Fantome」

 宇多田ヒカルさんの2016年のアルバム「Fantome」は、通常盤のみ特典なしという形態でありながら、発売から4カ月でCDとデジタルの総売り上げが100万枚を突破。握手券やイベント抽選券がなくとも、現代の日本で音源が売れることを証明した。音楽業界にとってはCD市場にまだまだ未来があることを感じさせるトピックだったはずだ。

 そんな宇多田ヒカルさんがサブスク配信サービスで一挙配信に踏み切ったのは、他の国内人気アーティストにも配信開始を促す大きな契機となりうる。

宇多田ヒカル サブスクリプション (KKBOXより)

 現在は2018年発売を目指して7枚目のオリジナルアルバムを制作中で、2010年以降はほぼなかったライブ活動についても、12年ぶりとなるコンサートツアーが準備中だという。サブスク配信サービスで新たなファンを獲得し、ライブでより大きな集客をあげる、デジタル時代の主流となりつつある活動形態を、彼女が見せる日も近いのかもしれない。今回の一挙配信は多くの利用者に歓迎される一方で、国内音楽市場にどのような影響をもたらしていくのか、その行方も見守りたいところだ。

黒木貴啓


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」