ブラック企業大賞にノミネートされた企業って、その後どうなるんです? 運営委員会に聞いてみた(2/2 ページ)
ノミネートされた企業のその後
―― 企業から嫌がらせを受けたり、「ノミネートするな」と圧力をかけられたりすることはありますか?
今のところ、ないですね。訴訟リスクなどを抑えるために、裁判の判決や労働委員会の命令、行政上の指導といった客観的な事柄をノミネート理由にしているからだと思います。
―― もし訴訟を起こされてしまったら、どうするんですか?
そもそも企業側にメリットがないのではないでしょうか。「ブラック企業が、ブラック企業大賞を訴えた」という図式になって、嫌な目立ち方をしてしまうリスクがあると思います。
もしも本当に企業側が訴訟を起こしたら、われわれとしては応じざるを得ません。大々的に記者会見を開いたうえで、対応すると思います。
―― ブラック企業大賞にノミネートされると、働きやすい職場に変わりますか?
ブラック企業大賞が、直接的に労働環境を変えさせる力を持っているわけではありません。でも、きっと社会の目は厳しくなるはずですし、経営陣は気にするでしょう。
―― そこから、労働環境改善につながる可能性があるというわけですか。
ええ。ただ複数回ノミネートされている企業もあります。こういうのは、ひどい会社がひどいことをやり続けている事例ですね。「これ以上、騒ぎを大きくしないためにも労働環境に手を入れよう」という話になるかどうかは、経営者次第といったところです。
ブラック企業が生まれてしまう理由
―― 2017年1月、「ブラック企業大賞2016」に登場したプリントパック社に関して声明を出していましたね。業界賞を受賞したことを理由に、労働組合活動に圧力をかけていたとのことですが。
あれはブラック企業的な行為の上塗りというか、われわれの理解を超えていました。皮肉の1つも言いたくなるというものです(※)。
※声明には「こうした行為が、むしろ自らが『ブラック企業』であることを証明」「(2016年業界賞の次は)『ブラック企業大賞2017』の『大賞』を狙っておられるのだろうか?」などの皮肉を込めた記載がある。
労組と企業がぶつかりあっていると、その動きを通じてわれわれに情報が入ってくる場合があります。そこからブラック企業大賞にノミネートされて、「外部に情報をもらしたな!」と、労組に対して攻撃的になる企業もあるんですよ。その矛先が大賞側に向けられないのは、経営陣にある種の勇気が無いからだと思います。
―― ブラック企業ってどうして存在するんですか?
理由の1つとして「労組にちゃんと接することができない企業」の存在があげられます。
独裁国家などは別ですが、労組は世界中のどこにでもある組織です。労働者がバラバラになると労働条件の悪化につながる可能性があるため、「労組が必要」という認識は国際常識になっています。
でも、世の中には、個々の労働者の声は聞けても、彼らがまとまった労組に対してはどういうわけか同じことができない企業もあります。平等に対話しようとせず、圧力をかけてしまうんですね。
情報面でも課題があります。労働環境は社外から見えにくく、なかなか外部に伝わりません。もし問題があったとしても、過労死などの形で事件化するまで公にならないものなんです。私はこれ自体、異常なことだと思います。この理不尽さを伝えるためにも、ブラック企業大賞を続けていきたいと考えています。
「ブラック企業」という言葉は、いつごろから使われるようになったのか。その時期は定かではありませんが、ここ数年で知名度が大きく向上していることは確かです。2013年には「ユーキャン新語・流行語大賞」候補語となり、2016年にはNHKが、大手メディアとして初めてブラック企業大賞を全国的に報道。河添さんは「やはり過酷な労働環境が社会問題化しているからこそ、広く使われるようになったのだろう」と話していました。
第6回目となるブラック企業大賞2017の授賞式は、12月23日に開催される予定。公式サイト上では、その前日まで「投票賞」を決定するWeb投票が行われます。受付開始直後は引越社グループが最多でしたが、約3週間たった現在では、NHKが逆転。他社を大幅に引き離して、ダントツ1位となっています。
(マッハ・キショ松)
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実際はそういった意図のもとに作られたものではないということです。
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