絵本の「萌え化」、実は1980年代から? 新旧4冊の「にんぎょひめ」紹介したツイートが話題に
昔から可愛い絵柄で描かれることはあったんですね。
近年取り沙汰されるようになった絵本や児童書の「萌え絵化」。特に昔話を新しい絵柄で表現することに抵抗を示す人は一定数いるようで、しばしばネット上で議論の対象になってきました。しかし、こうした「萌え絵化」は今に始まったものではないと指摘したツイートが注目を集めています。
意見を投げかけたのは、Twitterユーザーのきゃの十三さん。「アニメ絵本って最初っから当時の最先端のいわゆる萌え絵を取り入れてたよなぁ〜って思うのよ!」というツイートと共に、年代がバラバラの4種の「にんぎょひめ」の書影を投稿。それぞれ時代を反映した画風ながら、確かにアニメ寄りの「萌え」が感じられる絵柄になっています。
実はアニメ風の絵柄を絵本に取り入れた歴史は古く、特に有名なのは1985年から1999年まで出版されたポプラ社の「世界名作ファンタジー」シリーズ。同シリーズで文を担当した平田昭吾さんは、手塚治虫や政岡憲三※に師事した経験を持ち、アニメ・漫画文化に精通した人物です。
※政岡憲三は日本初のフルセルアニメーション「くもとちゅうりっぷ」などを制作したことで知られている。“日本のアニメーションの父”とも称されている。
きゃの十三さんが画像で紹介した4冊も、その内2冊は平田さんの手によるもの。片方は絵をアニメーターの高橋信也さんと、漫画家・絵本作家の大野豊さんが担当(ポプラ社・1985年出版)。もう一方の絵は漫画家の松久由宇(鷹羽遥名義)さんが担当しています(ブティック社・1989年出版)。
4冊の中で最も新しく出版されたのは、上北ふたごさんが絵を手掛けた河出書房新社版(2013年発行)。人魚姫の髪はピンクで、日曜朝の女児向けアニメに登場しても違和感がない印象です。それもそのはずで、上川さんは2004年から現在に至るまで「プリキュア」シリーズの漫画版を最前線で描き続けている漫画家。今の子どもたちに最もなじみのある絵柄といえるでしょう。
残る1冊は永岡書店版(1997年出版)。絵はアニメ「ヒカリアン」「魔物ハンター妖子」シリーズでキャラクターデザインやキャラクター原案を務め、漫画家としても活躍する宮尾岳さんが担当しています。
いずれの出版社もアニメーターや漫画家などを起用し、普遍性を意識しつつ、そのときの子どもたちに受け入れられやすい絵柄を取り入れようとしていることが伺えます。Twitterでは「世界名作ファンタジー世代だし、この辺の絵柄の絵本が一番好き」「子供の頃は特に好きな絵本とかなく世界名作アニメ絵本シリーズを片端から読んで、読み終わったらまた別のを乱読してた」など、それぞれ思い入れのあるアニメ絵本を回想するツイートが。
また、2013年版「にんぎょひめ」を担当した上北さんもTwitterで「私たち※は、2枚目の高橋信也氏の『にんぎょひめ』がイチオシです! 『世界名作ファンタジー』シリーズでも多数イラストを手掛けておられ、どれも美しいです!」と熱いツイートを投稿しています。
※「上北ふたご」は双子の漫画家姉妹のペンネーム
実はこれらの絵本シリーズ、いまだに重版されている場合が多いだけでなく、ブティック社の「せかいめいさくシリーズ よい子とママのアニメ絵本」シリーズに至っては電子書籍版が完備されているという入手難度の低さ。懐かしく新鮮なアニメ絵本の世界、あらためて読んでみると発見があるかもしれません。
関連記事
- 「てぶくろを買いに」も萌え萌えに “児童書にかわいすぎるイラスト”の理由を角川つばさ文庫に聞いた
表紙が萌えイラストだと話題になっている角川つばさ文庫の児童書。そこにはどんな狙いがあるのだろうか。 - 絵本「たべてあげる」がトラウマ級に怖いとTwitter騒然 作者「絵本が怖いというのはとても健全なこと」
好き嫌いのある男の子の前に、もう1人の小さな自分が現れて……。展開が怖すぎると話題に。 - 桃屋「ごはんですよ!」三木のり平CMがデジタル作画で復刻 「午前様 ツノと一緒に 茶漬け出し」
キャラクターのモデルも声も全て故・三木のり平氏の、懐かしいアニメCMを現代の技術で。 - 「奇面組」メンバーの30年後、みんないい感じに老けてる…… 想像をイラスト化した二次創作がなぜか涙を誘う
彼ららしく、個性を生かしてうまくやっているようです。 - 懐かしい厚紙の昔話絵本が電子書籍化 小学館が「育児絵本・保育絵本」をデジタル復刻
戦後から90年代まで販売されていた絵本「桃太郎」や「一寸法師」など一挙36冊ラインアップ。当時の価格そのままで購入できる。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
-
人気格闘家、アイドルと2ショット写真披露するも……表情落差がすごいアイドルにファンから励まし「仕方ない。そこでは勝てない。試合で勝とう」
-
森口博子、飛行機内でまさかのアクシデント 「気圧でこんな事に」……ビショビショになってしまった姿を見せる
-
そうはならんやろ “0円の画材”と“4万円の画材”、それぞれでジョーカーを描いてみた結果に驚き【海外】
-
大沢たかお、「キングダム」で20キロ増→近影に驚きの声「王綺将軍とのギャップ……」「随分体型が変化」
-
使用済みタオルはどこに置くのが正解? ホテル従業員に“神客”と喜ばれる「チェックアウト時の行動」はこれだ!
-
売上7億円超の人気漫画『小悪魔教師サイコ』作画家・合田蛍冬氏が出版社を提訴した訴訟が和解 同一原作の後発漫画が出版されトラブルに 出版社は謝罪
-
洗濯機から発生する“わかめ”を一発で撃退できる方法! 「早くやれば良かったと後悔」する掃除術が超簡単
-
「高くて買えないので作った」 “自作過ぎるPCパーツ”が脱力感あふれるアイデアで反響「超低コスト、超軽量!!」「消費電力0」
-
雑草だらけで荒れた庭を、素人夫妻がDIY→2年後…… 目を疑う変貌ぶりに「お見事としか言いようがない」「外国の映画に出てきそう」
- 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
- 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 「僕ですかこれ」 垢抜けたい男性が“劇的イメチェン”→その大変身に「すげええ!」「泣けたわ」と仰天
- 第5子妊娠中の宮崎麗香、子どもたちとの“奇跡の1枚”が撮影される ギャップ満載な“現実”ショットも話題に
- そうはならんやろ “バラの絵”を芸術的に描いたら……“まさかの結果”が200万再生 「予想を超えてきた」【海外】
- 天皇皇后両陛下の那須静養、愛子さまが天皇陛下のため蚊を手で払う場面も…… “仲むつまじいショット”が約240万再生
- 「脳がおかしくなった」 新宿駅を出る→“まさかの光景”に思わず三度見 「意味わからん」「田舎者にはマジでダンジョン」
- 合宿前の兄たち、0歳末っ子と離れたくなくて…… メロメロな“別れの光景”に「あーもうなんて尊い」「幸せ」430万再生突破
- 雑草だらけの庭が“たった1台の草刈り機”で…… “見事な変化”に7000万再生 「よくやった」「まさにプロ」
- 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
- 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
- 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
- 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
- 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
- ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
- 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
- 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」