Twitterの流行「ストロングゼロ文学」 サントリーの反応、売り上げへの影響は
サントリーHD広報部に取材しました。
2017年末にTwitterで流行ったハッシュタグ「#ストロングゼロ文学」。名作の一部をサントリーの缶チューハイ「−196℃ストロングゼロ」に置き換えて面白みを生み出したり、飲んでいるときの特有の気分をつぶやいたりするムーブメントで、NHK「ニュースウォッチ9」にも取り上げられるなど大きく話題となりました。
この「ストロングゼロ文学」の盛り上がりについて当のサントリーはどう受け止めているのか、売り上げに何か変化はあったのか――サントリーHDの広報部に取材しました。
そもそもストロングゼロ文学とは
「−196℃ストロングゼロ」は2009年2月に発売。−196℃で瞬間凍結した果実をパウダー状に粉砕して浸漬させたお酒に、果汁を加えたアルコール度数9%の缶チューハイで、“アルコール度数高めの飲みごたえ”と“しっかりとした果実味”を売りに人気を伸ばし続けてきました。過去3年間の販売実績は、2015年は2750万ケース、2016年は3120万ケース、2017年は3537万ケースと年々増加しています。
2017年11月ごろからネットでは「アルコール度数が高いにもかかわらず飲みやすい」「価格が税別141円と安い」といった要素から、ストロングゼロを手軽に酔える酒の代名詞として“飲む福祉”“虚無の酒”などと呼ぶ人が続出。
Twitterではあるユーザーの「『ストロングゼロ』で検索したらストロングゼロ文学ともいえる、ぬくもりや知性を感じるツイートが結構あって、いいお客さんに恵まれた商品だなって思った」というつぶやきが拡散されたのをきっかけに、ストロングゼロを飲みながら退廃的な空気や自虐を吐き出すようなツイートを「ストロングゼロ文学」と呼ぶ流れが起こり始めます。
12月3日放送の「M-1グランプリ」で同商品のタイアップCMが多く流れたのも後押しして、ハッシュタグ「#ストロングゼロ」がTwitterのトレンドに入り話題に。そこから「ごん、お前だったのか。いつもストロングゼロをくれたのは」(ごんぎつね)、「ストロングゼロを飲んで、ウサギは亀に負けました。『まあいっか』ウサギはもう1缶開けました」(うさぎとかめ)など、名作にストロングゼロを登場させる大喜利が広がっていきました。
12月27日にはNHK「ニュースウォッチ9」がストロングゼロを特集。その中で「#ストロングゼロ文学」にも触れ、「自らの置かれた状況を、この言葉に寄せて表現する書き込み」「ある意味では、ダメな自分を客観的に認めてもらう自己確認の表現」などと紹介しました。
サントリーの反応は
この「#ストロングゼロ文学」、サントリーHDはどのようにとらえていたのか。
「多くのお客様がコメントされていることに驚いている。お客様には、お酒の適量と体調を考えてお楽しみいただければと思います」と広報担当者は回答。売り上げや出荷本数など数字面で変化はあったのかについては、「大きな影響はなかったと考えています」とのことでした。
ストロングゼロは2013年4月に<DRYシリーズ>、2016年2月に〈ビターシリーズ〉を発売。2018年の方針はこれら“甘くないシリーズ”と“果実しっかりシリーズ”の両軸で食中酒としての魅力を訴求し、さまざまな味の期間限定商品を積極的に投入してブランド計3930万ケース(対前年111%)を目指すとしています。
Twitterで大喜利が成立するほどの“手軽に酔える酒”として今後も親しみつつも、広報担当者の言う通り健康には重々気をつけて嗜みたいところです。
(黒木貴啓)
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