コラム
» 2018年01月22日 11時00分 公開

「ククク……無量大数などわれらの中では最小……」 全世界のインクを使っても書けない「巨大数」の世界

クラクラしてくる。

[QuizKnockねとらぼ]

 いきなりですが問題です。この中で一番大きい数はどれでしょう?

  • 1不可説不可説転
  • 3↑↑↑↑3
  • グラハム数

 「何のこっちゃ?」という感じですよね。

 正解は「グラハム数」。

 グラハム数はギネスブックに載っている「証明に使われた中で最も大きい数」です。数の大きさには限りがありませんが、「考察の対象になった数」として記録になっているわけです。

 さて、このグラハム数はどれくらい大きいのでしょうか。

無量大数、不可説不可説転、グーゴルプレックス

 大きな数といえば、まず「無量大数」はご存じでしょうか?

 漢字文化圏では数の単位は4けたごとに変わっていきます。万、億、兆、京、垓、……という感じです。名前がついている中でもっとも大きいのは無量大数で、真面目に表記すると一無量大数は1000……と、0が68個続きます。これくらい大きくなると指数表記を使って、10の68乗と書くのが普通なので、無量大数という言葉を使うことはめったにありません。

 10の68乗といってもなかなか想像できないので、比較するためにWikipediaの数の比較の記事を参照してみました。それによると、

  • 世界の海岸の砂粒の数の合計:10の23乗(1000垓)
  • 人体を構成する原子の数:10の27乗(1000𥝱)
  • 地球に存在する全生物の数:10の33乗(10溝)
  • 地球上に存在する水分子の個数:10の47乗(1000載)
  • 宇宙に存在する全ての基本粒子の個数:10の80乗

 だそうです。大きすぎてピンと来ない……。

宇宙にある基本粒子は10の80乗個。まさに天文学的な数

 筆者は小学生のころ、「どちらが大きな数をいえるか」という勝負をしたことがあります。今となっては無意味な争いですが、当時は無量大数より大きな数を知らなかったので、「1無量大数1」などしかいえませんでした。

 しかし、仏典の華厳経には無量大数とは比べものにならない大きな数が登場します。それは不可説不可説転というものです。なんだか面白い名前ですがその定義は、

  • 1不可説不可説転=10の37218383881977644441306597687849648128乗

 です。10の肩に乗っている指数が38桁もあるのです。現実世界にこんなに大きな数は存在しないので、完全に想像上の産物ですね。

 しかしもっと大きいグーゴルプレックスという数があって、その定義は、

  • 1グーゴルプレックス=10の(10の100乗)乗

 です。10の肩に乗っている指数部分が101桁もあり、「宇宙にある物質全てをインクに変えても書ききれないほどの巨大数」なんていわれることもあります。

 余談ですが、アメリカのGoogle社の本社はGoogleplexという愛称がありますが、これはグーゴルプレックスにちなみます(そもそもGoogleという社名自体グーゴルが由来だそうです)。

無量大数が小さく見える不可説不可説転
「無量大数が小さく見える不可説不可説転」よりもはるかに巨大なグーゴルプレックス

クヌースの矢印表記

 無量大数よりも、不可説不可説転よりも大きいグーゴルプレックスだって、指数表記を重ねることで書き表すことができます。しかし、指数表記では表現できないような数字が書ける「クヌースの矢印表記(タワー表記)」というものもあります。

たった数本の矢印がものすごい大きな数字を生み出す。それがクヌースの矢印表記

 指数表記では3×3×3×3(=81)を3の4乗と書きます。同じことを、クヌースの矢印表記では、

  • 3↑4

 と書きます。これだけでは、指数表記を矢印に変えただけですが、矢印表記はさらに大きな数を表すことができます。

  • 3↑3↑3

 は、3の(3の3乗)乗=3の27乗=7625597484987を表します。矢印が1つ増えただけなのに急激に大きくなりました。

 「3↑3↑3」は「3↑↑3」と書くことも可能。矢印を2重にした「↑↑」は、指数計算の反復を表しており、このように使えます。

  • 3↑↑3=3↑3↑3=7625597484987
  • 3↑↑4=3↑3↑3↑3=3の7625597484987乗
  • 3↑↑5=3↑3↑3↑3↑3=3の(3の7625597484987乗)乗

 「↑↑↑」と矢印を3重にすると、「『指数計算を反復する2重矢印』の反復」ができます。このあたりから、指数表記では書けなくなります。

  • 4↑↑↑2=4↑↑4
  • 4↑↑↑3=4↑↑4↑↑4
  • 4↑↑↑4=4↑↑4↑↑4↑↑4

 矢印はいくつでも増やすことができ、「4↑↑↑…↑↑↑4(↑がn個続く)」を「4↑n4」と表記します。

グラハム数

 ようやく最初に出てきたグラハム数の説明に移れます。

 まずは、クヌースの矢印表記の「3↑↑↑↑3」を考えてみましょう。矢印が4つあるので「『指数計算を反復する2重矢印』を反復する3重矢印を反復」します。

  • 3↑↑↑↑3=3↑↑↑3↑↑↑3

 「3↑↑↑3=3↑↑7625597484987」であることから、次のように表すこともできます。

  • 3↑↑↑↑3=3↑↑↑(3↑↑7625597484987)

 もはや訳が分からないことになっていますが、この「3↑↑↑↑3」の数だけ矢印がある数字を考えてみましょう。

  • 3↑n3(ただし、n=3↑↑↑↑3)

 この「3↑n3」の数だけ矢印がある数字を考えてみましょう。

  • 3↑m3(ただし、m=3↑n3、n=3↑↑↑↑3)

 さらに、この「3↑m3」の数だけ矢印がある数字を考えてみましょう。

  • 3↑k3(ただし、k=3↑m3、m=3↑n3、n=3↑↑↑↑3)

 ……と、こんな具合に、できた数の本数の矢印を使って、さらに大きな数を作るという作業を64回繰り返したものがグラハム数です。

 ちなみに、グラハム数は1970年にアメリカの数学者グラハムが、「ラムゼー理論」という分野の未解決問題を解く際に、「この問題の答えはこの数(グラハム数)より小さい」という形で使いました。

 現在、この問題の答えはもっと小さいことが証明されてはいるものの、正確な値は未解決のままです。

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