コラム
» 2018年02月06日 12時00分 公開

幻の星座「ねこ座」はなぜ消えた? 歴史に埋もれていった「トンデモ星座」ベスト5を解説する(2/2 ページ)

[てんもんたまご,ねとらぼ]
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やっぱりねこが好きなんだもん「ねこ座」

 私が個人的に残っていてほしかったなあ……と感じるのが、先ほども出てきたフランスのラランドが設定した「ねこ座」です。

 ラランドはハレー彗星の周期を正確に算出するなど惑星の運動理論を研究していましたが、大のねこっかわいがりでもありました。そのため自身のペットであったねこをモデルに、星座にしたようです。

 「一生を天文にささげてきたのだから、少しぐらいねこにも貢献してもいいじゃないか」という気持ちが大きかったのかもしれませんね。しかしやはり理由が個人的すぎて、まわりには見向きもされずに自然淘汰されてしまいました。


ラランドが自身のねこをモデルにしなければ、もっと世間にねこ座が受け入れられていたかも

ハデだから星雲単体で星座にしちゃえ!「おおぐも座」「こぐも座」

 星座といえば、幾つかの星をつないで、そこになんらかの絵を思い描いたものなのですが、そんな「常識」を大胆にも破ったのがフランスの天文学者ロワーエ「おおぐも座」「こぐも座」です。

 この「おおぐも座」「こぐも座」の正体は南半球で見える大マゼラン雲小マゼラン雲。この大マゼラン雲は北半球でうっすら見えるアンドロメダ銀河とは違い、ほぼ一等星の明るさ、満月の20倍ほどの大きさをもつ見応えのある銀河です。そしてそれに寄り添っているように見えるのが小マゼラン雲。

 大航海時代に初めて見た南半球での大マゼラン星雲に、さぞや天文学者達も驚いたのでしょう。そのインパクトの強さから「もうこれ星座でいいのでは!?」となってしまうのもちょっと分かる気もします。


大航海時代に作られた星座は、南半球で見つけた“珍しいもの”が数多くあります

死んだ愛人といつでも逢うための「アンティノウス座」

 ここまでの4つの星座は中世にうまれ、消えていったものですが、この「アンティノウス座」の原型は2世紀のローマ皇帝、ハドリアヌスが命令して作らせたものです。ちなみにハドリアヌスが賢帝だったこともあり、彼の時代はローマ帝国最大の平和の時代。あの映画化もされた「テルマエ・ロマエ」の時代でもあります。

 アンティノウスというのは元は奴隷でしたが、そのあまりの美貌に皇帝が寵愛し、どこにいくにも連れて歩いたという美少年です。

 しかしアンティノウスはある日突然に水死してしまいます。ハドリアヌスとアンティノウスは相思相愛だったようで、信ぴょう性は低いですが「皇帝の寿命を延ばすために命をささげよという神託を受けて自殺した」説もあるほどです。

 ハドリアヌスもさすがにこれはこたえたようで、アンティノウスを神格化し、アンティノウスの神殿を各地に建て、エジプトの新都市には「アンティノポリス」と命名し、さらには星座まで設定させました。この賢帝らしからぬ行動からもアンティノウスの寵愛っぷりが分かります。

 ハドリアヌスは失ってしまった愛する人をいつでも感じられるようにしたくて、星座にしたのかもしれませんね。

 アンティノウス座は当時の学者には冷ややかな目で見られ、長いこと歴史から身を潜めていましたが、中世に再び姿を現します。しかししばらくするとまた幻の星座として人々に忘れ去られていったのでした。


“失った大切な人と毎晩会いたい”という気持ちは現代にも通じるものがありますね

確かに「幻のトンデモ星座」だけど

 今や幻となってしまったトンデモ星座には、当時流行った新しい機械や、スポンサーへのご機嫌取り、そして個人的すぎる理由で設定されたものが多くあります。

 確かに世界中の人で共有される夜空に、恣意的な理由で設定された星座は似つかわしくないかもしれません。しかしその裏には、夜空を解明するための資金を必死で調達しようと頭をひねったり、永遠に夜空に刻みたくなるほどの深い愛情を表した星座もあったのです。

主要参考文献

原恵『星座の神話ー星座史と星名の意味ー』,恒星社厚生閣,(1996),改訂版


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