「乗り心地悪いなぁ」「なくさんといてな」 “乗り心地の悪さ”が心地いい、神戸須磨浦山上遊園「カーレーター」が愛される理由

タモリさんも愛したレア乗り物。

» 2018年02月23日 17時00分 公開
[エンジンねとらぼ]

 乗り心地の悪さゆえに人気を博しているという逆説的な乗り物が、兵庫県神戸市にある「須磨浦山上遊園」に存在しています。その名は「カーレーター」。その乗り心地を確かめに、カメラ片手に現地取材してきました。

 須磨浦山上遊園の最寄り駅は、山陽電気鉄道本線「須磨浦公園駅」。須磨海浜公園というよく似た名前の駅があるので訪問の際は間違えないようご注意を。


カーレーター 須磨浦公園駅の改札を抜けて

 駅を出た後は、乗り場からロープウェイに乗って目的地へ。ロープウェイを使わず、30分ほど山道を歩いて行くことも可能です。山から見下ろす須磨浦の眺めを楽しめるので、トレッキングが好きな人はぜひチャレンジしてみてください。


カーレーター ほんわかした乗り心地が楽しいロープウェイ

 ロープウェイを降り、グオングオンとメカメカしい音がする建物の中へ入ると、カーレーター登場! 網カゴのような柵が設けられた2人掛けの椅子が、ベルトコンベアーに流されるままズンズンと斜面をあがっていきます。なんだか、子どものころに買ってもらった電気仕掛けのオモチャを思い出しました。


カーレーター この先に例のものが……

カーレーター この不思議な形の乗り物こそ、話題のカーレーター

 このカーレーターが開通したのは1966年(昭和41年)3月。ロープウェイを設置できなかった全長91メートル勾配25度の斜面を容易に往復するため設置されました。以来50年以上、安全のための幾度とないメンテナンスを経て、今日まで稼働し続けています。

 かつては滋賀県でも稼働していましたが、現在はなくなってしまったとのこと。このため、須磨浦山上遊園は“今もカーレーターが現存している貴重な施設”として、これまで「ブラタモリ」をはじめ多数のメディアが取材に訪れているそうです。そうして全国へと情報が発信された結果、中には遠くの都道府県からわざわざ乗りにくるお客さんも。


カーレーター タモさん来場の印

カーレーター 須磨浦山上遊園は今年61歳。カーレーターは今年52歳

 それほど多くの人を引きつけてやまないカーレーター、果たしていかほどの乗り心地なのでしょうか。乗り込むや否や、ガタンゴトンと音を立ててカーレーターはベルトコンベアーの坂道をあがっていきます。うお、確かにこれはけっこう揺れる。そばにある持ち手をしっかり持っておかなければ、舌を噛んでしまうかもしれません。



 人によってはこれを「乗り心地が悪い」と感じるかもしれません。確かに動きはじめこそ、稼働しているローラーによっていきおいよく身体を揺さぶられ、「まるでベルトコンベアーで出荷される荷物のような気分」「このままグラグラし続けたら乗り物酔いするんじゃないか?」と不安になってしまいますが、それ以降坂を登りきるまでは揺れがやや弱まり、なんだか人を傷つける意志のない、たとえれば不器用なお母さんが我が子を必死にあやしているかのような「やさしい乗り心地の悪さ」を感じさせられたのです。そういった意味では、この乗り心地の悪さにはむしろポジティブな印象さえ持ちました。


カーレーター このローラーに乗ることで大きな揺れが生じる

カーレーター 乗車時間は2〜3分程度

 管理者の森さんによれば、お客さんからはしばしば冗談まじりに「乗り心地悪いなぁ」と言われる一方、「おもしろい乗り物やね」「なくさんといてな」という声も同じぐらい受け取るとのこと。カーレーターのメンテナンスは決して楽なものではなく、2011年のベルトコンベア交換時にはヘリコプター輸送による大規模な工事まで行われました。しかしそれでも、このカーレーターの乗り心地をいつまでも多くのお客に楽しんでもらいたいと言います。「この山に50数年、代々管理者に受け継がれながら今もあり続ける、それ自体がすごいことです。親からその子、そしてその孫までカーレーターに乗って楽しんでくれればうれしいです」とも、森さんは語ってくれました。


カーレーター 降り場にはなぜか某クマのぬいぐるみ

 四季折々の風景とのんびりした空気を満喫できる、ここ須磨浦山上遊園。そんな中でカーレーターは間違いなくウリのひとつであり、足を運ぶための目的となり得る魅力を持っています。


カーレーター 須磨浦の眺めはなかなかどうして絶景

 ほかにも園内には、スペースインベーダーをプレイできるゲームセンターや360度のパノラマ風景を楽しめる回転展望喫茶店など、カーレーターに負けず劣らずの魅力が多数。さらに、全長268メートルの観光リフトは途中で旧摂津国・旧播磨国を表す国境線を越えることができる、郷土史ファンにとっては隠れた歴史スポットとなっています。来園の際はカーレーターだけではなく、こうした楽しみも体験しておきたいですね。


カーレーター 今ではなかなか遊べないスペースインベーダー筐体

カーレーター 回転する喫茶店

カーレーター リフトで昔の国境を越えよう

エンジン


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」