何がスゴイって、全部! 超広大な東京メトロ東西線「深川車両基地」に潜入、圧巻の「台抜き」(1/3 ページ)

「いや、当たり前のことですよ」。いつもありがとうございます。【写真150枚】

» 2018年02月24日 10時00分 公開
[岩城俊介ねとらぼ]

 私たちが日々「当たり前」に利用する公共交通機関は、どんな人たちの努力で「当たり前」が実現されているのでしょう。東京地下鉄(東京メトロ)が車両基地「深川車両基地」を公開。今回は、地下鉄運行のために毎日行われている「地下鉄車両基地の日々の業務」に迫ります。

photo 朝のラッシュアワーを終え、深川車検区に戻ってきた東京メトロ東西線の車両 左から07系と15000系、奥の3つが05N系

 東京メトロ 深川車両基地は、東京メトロ東西線と東葉高速鉄道京葉高速線の保守を担う東京メトロの車両拠点の1つです。東京都江東区塩浜にある8万6860平方メートルの広大な敷地に、深川検車区(6155平方メートル)、車両管理所と深川工場(1万3968平方メートル)の建物があり、300両の留置能力を持ちます(このほか、行徳分室にも留置機能あり)。ちなみに、上野(銀座線)、中野(丸ノ内線)、千住(日比谷線)、綾瀬(千代田線)、和光(有楽町線、副都心線)、鷺沼(半蔵門線)、王子(南北線)にも車両基地があります。

 深川車両基地は大きく車検区と車両工場に分かれています。「存姿(ざいし)状態」(車両を解体しない状態)で車両を検査したり、修繕したりするのが車検区。大掛かりな車両解体を伴う検査、修繕施設が車両工場です。

photo 留置線と深川車検区
photo 深川工場の内部
photo 東京メトロ 深川工場

日々の運行を支える車両基地「深川車検区」

 まずは車検区を見ていきましょう。車検区には留置線と存姿状態で日常検査を行う設備があります。営業を終えた車両はこの留置線に集まります。そして、10日を超えない周期で消耗品や電車の主要部品の機能を確認する「列車検査」、3カ月を超えない周期で電車の状態や機能を検査する「月検査」を行います。清掃や広告張り替え作業などもこの車検区で行われます。

 自慢は2017年5月にできたばかりの車両整備の新ピット。スタッフの快適な作業性を確保すべく、これまで一部にしかなかった空調がバッチリ完備され、照明もLED化しています。また、存姿状態で緊急メンテナンスを要するときに使われる「ドロップピット式台車取替装置」も新設しました。しかし広ぇぇっす。

photo 2017年にできたばかりの新ピット
photo 「月検査」中の15000系
photo
photo この金属とパイプのメカメカしさがたまんない
photo ブレーキシューの検査と交換も重要な作業

 ちょうど朝のラッシュアワーを終えた東西線が帰ってきました。この車両は2日ごとの手洗い洗車の日。車両はそのまま洗浄線へ向かいます。1日の仕事を終えた車両は日々きれいに洗車されます。ガソリンスタンドにある洗車機の親分のような機械式洗車機に加えて、2日に1回は1回30人体制での手作業で、ていねいに中も外も洗われているのです。「いつもきれい」って本当に大変なことです。

photo 洗浄線へ入線
photo ごしごし
photo 中も外も
photo シートも
photo 吊手も。手すりや吊手は清潔なマイクロファイバーフロスで磨かれます

 普段何気に目にしている中吊り広告にもプロがいました。広告を裏表2枚セットでシュッと抜き、踏み台に乗ると同時にホルダーへぱちんと挟んみつつ、古い広告を抜き取って1枠完了。ほんの数秒。ほれぼれする無駄のない動き。これを延々と、ときには飛ばして、差し替えるべき枠分だけ繰り返します。

photo 踏み台の下から差し替え広告をシュッと抜いて
photo 狙いを定めて
photo ホルダーへセット
photo 同時に古い広告を抜き取る

 中吊りは広告商品。何を、どの線のどの車両のどの位置に、何枚、何日間出すのかといった仕様が広告ごとに決められています。「掲示する順番をきっちり前日までに準備して並べておきます。緻密な作業なのに大量にあります。横並びで2枚掲示する基本枠サイズの広告は、2枚を1セットにステープラーでまとめておき、現場での作業性を高めています」(東京メトロの車内広告を担うメトロアドエージェンシーの田島氏)。なるほどです。

 最近の新型車両では窓上広告が液晶パネル型に替わりつつあり、また、車内を広く見せるために中吊り広告をなくす施策も取られています。デジタルで行えれば管理は確実に楽ですし、運用コストも低減できるでしょう。車内空間は広く感じられる方がいいです。しかしアナログなものがなくなっていくのも何かさびしい気もします……。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news028.jpg 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
  2. /nl/articles/2411/19/news126.jpg 元「おニャン子」内海和子、娘・ゆりあんぬの“胃の粘膜ぶっ壊す”食事に激怒! 有名飲食店に謝罪し「出禁にして」「違う星の人そんな気がしてなりません」
  3. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  4. /nl/articles/2411/19/news083.jpg 「恐ろしい」 北海道の道路標識 → “見落としたら絶望”のとんでもない表示に衝撃走る 「普通にホラーでは?」
  5. /nl/articles/2411/18/news019.jpg 優しそうな“おかっぱ頭”の男性→プロがカットしたら…… “別人級の仕上がり”が470万再生「えっ!? って声出た」「EXILEみたい」
  6. /nl/articles/2411/19/news114.jpg 平愛梨、“夫・長友佑都選手”に眠れなくてLINE送信→“まさかの返信”に「なんやねん」「もう寝るしかない」
  7. /nl/articles/2411/18/news025.jpg “無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
  8. /nl/articles/2411/18/news120.jpg 「天才が現れた!」 森永が教える“秋らしい”お菓子の作り方→たこ焼き器を使ったアイデアに「すごいすごい可愛い」
  9. /nl/articles/2411/19/news009.jpg 固い着物をリメイクしてみたら…… 生まれ変わった“まさかのアイテム”に「しゅげー!」「凄い素敵です」
  10. /nl/articles/2411/19/news062.jpg 「上げ底の先」 その名に偽りなし、高専の文化祭に出現した「限界節約ホットドッグ」が本当に限界だった
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた