「妥協は死」が社訓 「ポプテピ」で話題のCGアニメスタジオ・神風動画の社員はなぜ徹夜をしないのか(4/4 ページ)

» 2018年03月11日 12時00分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
前のページへ 1|2|3|4       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

――直球な質問で恐縮ですが、CG会社ってもうかるんですか?

佐々木:それ、たまに聞かれるんですが、いただいた予算はその作品の制作費として使い切っちゃうことが多いから……(笑)。むしろもうかってる会社さんにお聞きしたいですね。

水野:CGは準備が大変で。キャラクターを1体描くにしても、モデリングからキャラクターを造形して、テクスチャーを貼って、動かせるように骨を仕込んでと、工程がすごく多い。「CGでやればすぐでしょ」っていう認識を持たれている方がいまだにいますが、そこに至るまでにすごく時間をかけているんです。

佐々木:ちなみに、われわれはあまり自分たちを「CG」や「アニメ」の会社と捉えていなくて、「映像制作会社」だと思っていたりします。だから表現に必要であれば、実写でもなんでもその都度取り入れます。

――「ポプテピ」も表現方法が多様で毎週圧倒されています。「ポプテピ」で活躍しているAC部(※)は、水野さんの「月影のトキオ」にも参加していましたよね。

※AC部はシュールで前衛的すぎる映像を作る唯一無二な映像ユニット

AC部の高速紙芝居「安全運転のしおり」。同作で第18回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門審査委員会推薦作品受賞した

水野:兄の影響もあって、僕がもともとAC部のファンだったんです。2007年にある結婚パーティでお見かけして、話しかけてみたのが初対面でした。翌年作ったオムニバス映画「東京オンリーピック」にAC部さんも参加していたので、それがきっかけで仲良くなりまして。AC部の2人と兄の4人で飲んだり、一緒に卓球やったり

――卓球!?

「東京オンリーピック」は水野さんとAC部が偶然一緒に参加した、架空のスポーツが繰り広げられるオムニバス作品

水野:年に何回か会うようになって、2009年には映像ユニット「超常現象」を結成しました。本物のアーティストやミュージシャンが超能力者という設定で登場する怪しい実写映像なのですが。そんなご縁もあって、神風動画でもAC部とちょくちょくご一緒させてもらっています。

上坂すみれさんのファーストアルバム「革命的ブロードウェイ主義者同盟」のPVでも神風動画とAC部のコラボが見られる

――最後に、今後挑戦してみたいことを教えてください。

水野:バイクが好きなので、バイクのアニメーションを作ってみたいかなぁ。案外リアルなツーリングを描いた作品ってそんなにないですし。あとは「ラストピース」シリーズのように、低予算・少人数でできるものはもっと挑戦してみたいです。

――今回事前に「ラストピース」の本編を拝見させていただいたんですが、動きが本当に格好良いんですよね。

「妥協は死」が社訓 「ポプテピ」で話題のCGアニメスタジオ・神風動画の社員はなぜ徹夜をしないのか

水野:絵はシンプルだけど、アニメーションとしてはしっかりしている――という形はもっとやり方があると思っています。通常はキャラクターを作り込んで、ちゃんと動かせるようになるまでに1〜2か月かかりますが、このシリーズなら2日で1体つくれる(笑)。いつかこの手法で新しいものがつくれたらなと思います。

――佐々木さんはどうですか。

「妥協は死」が社訓 「ポプテピ」で話題のCGアニメスタジオ・神風動画の社員はなぜ徹夜をしないのか

佐々木:うーん、覚悟を持ってやりたいと言えば、やらせてくれる環境なので、既にやりたいことがやれているんですよね……。あ、ゆくゆくはロボット物をやってみたいなという野望はあります。

――会社としてはいかがでしょうか。

佐々木:スタッフは好きなものがみんな違っていて、映画が好きな人もいれば、アニメも見ないしゲームもやらないという人もいたりします。なので、会社としてこういう作品をやっていきましょうというよりは、ディレクター陣が作りたいものがその都度作れる環境にしていきたいですね。

 テレビシリーズや劇場版をやったからといって会社の方針がガラッと変わるものでもないので、これまで通り、世間やユーザーに刺さる、賞味期限が長い映像を作り続けていきます。

「妥協は死」が社訓 「ポプテピ」で話題のCGアニメスタジオ・神風動画の社員はなぜ徹夜をしないのか

(聞き手・構成:福田瑠千代、聞き手・撮影:Kikka)

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」