SNSにアップした月の写真から、撮影場所が割り出される可能性はある?

1月末の皆既月食で撮影した人は多いはずですが……。

» 2018年03月12日 11時30分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 SNSで怖いのは、いわゆる“身バレ”。例えば、公開した写真に建物などが写っていると、そこから撮影場所を特定されてしまう恐れがある。

 2018年1月31日、日本で皆既月食が観測され、撮影した人も多いかもしれないが、「夜空に月が浮かんでいるだけの写真」から撮影者の居場所を割り出すことは可能なのだろうか。実は、そのために使えそうな数学的な方法が全くないわけでもない。

 今回は、月夜に乗じて個人情報を狙う“月食ストーカー”は存在しうるのか、大真面目に考えてみた。

月の写真から、撮影場所を割り出す方法

 模様が描かれたボールを別の角度から撮影すると、模様が少しずれて写る。これを利用すると、2枚の写真から、撮影した角度の差をある程度把握できる。ご存じの通り、月にも独特の模様があり、同じようなことができるかもしれない。


違う場所で撮影した月は模様が微妙に変わるはずで、そこから位置が割り出せる可能性

 地球上の2地点(地点A、地点B)から、月を見上げたとしよう。

 地球と月のそれぞれの中心は平均で38万4400キロ離れており、地球の半径(6378キロ)と月の半径(1738キロ)を引くと37万6200キロ。今回は便宜上、月を見上げる2地点と月までの距離が、等しくこの値になるとする(※)。

※ 実際にこの値になるのは、月が観測地点の真上にあるときに限られる。そうでない場合は、この値より大きくなる。

 この仮定に基づき、地点A、地点B、月の中心Mの3点を結んだ三角形を作る。

 辺AMとBMの距離は先ほど決めたので、AB間の距離さえ分かれば角AMB、つまり観測角度の差が求まる。地点Aを札幌、地点Bを那覇とすると、この2点間の距離は2244キロ。ここから三角関数で角AMBを求めると0.342度となる。





 だから、札幌で撮った月の中心部は、那覇のそれから半径の約0.6%分(※)ズレることになる。

※ 観測角度の差が0.342度(0.006ラジアン)の場合、sin(0.006)=0.006なので、半径の0.6%分ずれるという計算



“月食ストーカー”はほぼ不可能

 以上の計算の通り、月の写真から撮影位置を割り出すことは不可能ではない。しかし、2つ致命的な欠点がある。

 1つは、超高解像度なら分からなくもない程度の微々たる差しか出ないこと。もう1つは、月の位置は時間とともに変わるため、同じ時刻に撮影しないと意味がないことだ。せいぜい「全く同じタイミングで撮った高解像度の月の写真なら、誤差100キロくらいで撮影地点が分かるかもしれない」くらいの精度だろう。

 というわけで、今回の結論。「月の写真から撮影場所を特定しようとしたところで、たぶん何の役にも立たない」。

 ちなみに次に日本で月食が見られるのは、2018年7月28日。気兼ねなく月食を撮影して、SNS上に投稿しよう。

制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/01/news016.jpg 消波ブロックの隙間にカニカゴを仕掛けたら…… 「うそでしょ!」“想像を絶する結果”に大興奮「見てて声出た」
  2. /nl/articles/2501/31/news050.jpg 「許されると思ってんの?」 スマホのアラームを設定→翌朝…… “絶望の通知内容”が430万表示 「ほんとこれ」
  3. /nl/articles/2502/02/news005.jpg 「正直破格です」 成城石井の元店長が辞めてからも買い続ける“名品”がリピ必至 「ヨダレが出そう」
  4. /nl/articles/2501/31/news013.jpg これは“1秒”で解きたい! 「8×2×0÷4」の答えは? 【算数クイズ】
  5. /nl/articles/2502/01/news047.jpg 【編み物】彼氏のために、緑と黄緑の毛糸を正方形に編んでつなげると…… 圧巻のおしゃれな大作完成に「息をのむほどすばらしいよ」
  6. /nl/articles/2502/02/news069.jpg 「レベル間違えてる」 イオンの“1944円恵方巻”、衝撃ビジュアルにネット大騒然 「なにこれ」「本気かよ」
  7. /nl/articles/2502/02/news038.jpg 100均ビーズをどんどんテグスに通していくと…… うっとり見入る完成品に世界が注目「これは傑作」「どれも可愛いいい!」
  8. /nl/articles/2502/02/news003.jpg 「こんなお母さんになりたい」 北海道で暮らす67歳女性の“手作り料理”がすてき 「参考にしたい」「ぱぱっと作ってみな美味しそう」
  9. /nl/articles/2502/02/news027.jpg 「この子はきっと豆柴サイズ」と言われた子柴犬、4年後の姿が大きな話題に…… それから約1年たった“現在の様子”を聞いた
  10. /nl/articles/2501/30/news003.jpg 親の反対を押し切り、17歳で同棲を開始→それから13年後…… 若くしてママとなった女性の“現在”が話題
先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議