なぜ新潟や石川が「人口日本一」だったのか? 都道府県の人口推移から見る、日本近代化の歴史(3/4 ページ)

» 2018年04月22日 11時00分 公開
[辰井裕紀ねとらぼ]

 関東式の「金本位制」をむりやり押し付けられての「銀本位制の廃止」のせいで、両替商に取り付け騒ぎが頻発。結果、約50軒が相次いで破産。「藩債処分」という事実上の借金帳消し処分などにより、大阪の経済は致命的なほどのダメージを受けました。

 しかし、大阪取引所や大阪商工会議所などの設立に尽力し、連続テレビ小説「あさが来た」にも描かれた五代友厚の活躍もあり、後に「東洋のマンチェスター」といわれるほど、紡績業を中心に商工業が飛躍して大阪は復活を遂げたのです。


都道府県人口1位の変遷 現・ユニチカの摂津紡績会社の様子(双日歴史館より)

大阪市が東京市の人口を抜いた!

 その後も大阪は発展を続け、1925年の国勢調査では市町村単位でも、大阪市(211.5万人)が東京市(199.6万人)を抜いたこともありました。3位が名古屋市の76.9万人、4位が京都市の68万人ですから、大阪市は日本でも相当な人口を持っていたことが伺えます。


都道府県人口1位の変遷 日本一の「大大阪」時代があった(日本全国 地図の謎,浅井建爾,東京書籍)

 なお大阪市の1位はその次の1930年の国勢調査まで続きますが、東京市は隣接する5群82村を合併したことで面積を7倍近くに広げ、1935年の国勢調査では東京市(587.6万人)に対して大阪市(299万人)と、大きく差をつけられました。

advertisement

 しかし当時、人口密度では大阪は東京の1.5倍という日本一の超過密都市であり、東京に負けない「大大阪」としての姿がそこにあったのです。


最下位の常連は北海道→鳥取へ

 閑話休題。ここまで1位をずっと見てきましたが、逆に最下位となっていた県はどこでしょうか。それは調査開始から長らく北海道でした。今の佐渡であった相川県など消滅した県を除けば、1872年~1891年までに渡って北海道が最下位でした(途中、函館県・札幌県・根室県に分かれた時代もあり)。

 ただ前述の通り、北海道は多くの移民が入り込むことによって人口が激増します。それにより、1892年から人口最下位の座を引き継いだのが鳥取県でした。


都道府県人口1位の変遷 1890年でやっと30万人台を脱出するなど、当時から人口の少ない県だった鳥取(道府県現住人口. 明治17-40年 内閣統計局より)

 日本海側は重工業化や近代化が遅れた地域が多かったのですが、鳥取県もその例外ではありませんでした。この鳥取県は現在までにおいて、今はなき樺太庁などを除き、ずっと人口最下位に居続けることになります。


一時期、島根県は東京より人口が多かった!

 ちなみに同じく人口が少なく、ブービーの位置となって久しい島根県ですが、実は鳥取県を併合し、1877年~1881年まで、人口100万県としてベスト10付近の上位にいたこともありました。


都道府県人口1位の変遷 1880年の県別人口。島根が東京を上回っていた(日本全国 地図の謎,浅井建爾,東京書籍)

 1880年を例に取ると、今の鳥取県を含めた島根県が103.7万人(全国12位)、対して東京府が95.9万人(同17位)と、東京を凌駕していたのです。

advertisement

 しかし1881年9月に再び鳥取県が離れ、「大島根県」の夢はわずか5年でついえました。


またまた新潟が首位奪回!(1887~1896年)

 話は再び戻って、1887年には1位だった大阪から新潟が165万4000人で首位を奪回します。それは、大阪府に編入した堺県と合併していた奈良県が分裂したためでした。

 王者のカムバック。しかしここから猛然と追い上げてくる所がありました。そう、東京です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/25/news024.jpg ごはん炊き忘れた父「いいこと閃いた!」→完成した弁当に爆笑「アンタすげぇよ!」 息子「意味ねぇことすんなよ」
  2. /nl/articles/2502/25/news133.jpg パ・リーグ本塁打王、1シーズンで“激痩せぶり”に心配の声……104キロから別人レベルの姿に「マジで誰?」「どっか悪くしたんか」
  3. /nl/articles/2502/24/news022.jpg 気配のない“カニのたまり場”に買い物かごを沈めて翌日…… 恐る恐る引き上げると“ヤバい光景”「おお!」「感動しました」
  4. /nl/articles/2502/24/news078.jpg 浜崎あゆみ、息子の参観日の“全身CHANELコーデ”を反省 「消えたいぐらい恥ずかしかった」「完全に間違えた」
  5. /nl/articles/2502/24/news030.jpg 余った毛糸は捨てないで! 四角く編んでいくと……目からウロコのアイデアに「知れてよかった」「素晴らしい」
  6. /nl/articles/2502/25/news061.jpg 「これは便利ですね!!」 洗濯バサミとS字フックの“予想外の使い方”が340万表示 目からウロコの活躍シーンに「参考にします」
  7. /nl/articles/2502/25/news080.jpg 無印良品の590円“お風呂アイテム”が「全人類ぜったい買うべし!!」 ガチな名品に「欲しすぎる」「私も使ってます!」と590万表示
  8. /nl/articles/2502/25/news033.jpg 娘に抱っこされている“小さな柴犬”が6年後…… 当時を再現した姿に「たまらん」「飼い主さんと同じ顔してる」
  9. /nl/articles/2502/25/news076.jpg 30年以上前の製品がかっこいい ソニーの小型ラジオのデザインが「すごい好き」「いまでも通用しそう」
  10. /nl/articles/2502/25/news082.jpg ←2カ月 8カ月→ 大型種の猫、驚がくの成長ビフォーアフターが170万表示 「ええええぇぇぇ!?」「本当に猫?」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  2. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  3. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に
  4. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  5. 余った毛糸は捨てないで! 四角く編んでいくと……目からウロコのアイデアに「知れてよかった」「素晴らしい」
  6. コストコで販売「生カキ」原因で体調不良か…… 全国で1万食自主回収「深くお詫び」
  7. ごはん炊き忘れた父「いいこと閃いた!」→完成した弁当に爆笑「アンタすげぇよ!」 息子「意味ねぇことすんなよ」
  8. 瀬戸内海で漁をしていたら突然異変が…… 揚がってきた“取ってはいけない生物”に衝撃 「初めて見ました」と70万再生
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 温かそうだけど…… 呉服屋さんが教える「マフラーの巻き方」になぜか既視感 「あの巻き方ってこうやってたの!?」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議