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» 2018年05月10日 21時12分 公開

「金を燃やしたくなければ買うな」 開発者自身が「マジのゴミ」と紹介するゲームがSteamで発売

逆に清々しい。

[Minoru UmiseAUTOMATON]
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ゴミゲー

 個人開発者BunchOD00dz氏は5月4日、Steamにて「Asset Flip Simulator」を発売した。価格は499円で、5月12日までは40%オフの299円で購入できる。別売りとして、同作のアセットが手に入るDLCは1000円で販売されており、寄付希望者向けのDLCは100円および205円、そして520円のものが用意されている。


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 「Asset Flip Simulator」は単純に訳すと、「アセット転売シミュレーター」。特徴としては、制作にかけた時間は5分でロードは長時間、「見たまま」のゲーム性、低fpsでガクガク、何もないマップ、クラッシュとフリーズが頻発するシステムといった要素をそろえている。ゲーム概要は、以下のストアの説明文を読んでもらうのが手っ取り早いだろう。

 「Asset Flip Simulator」は安直な金稼ぎを目的とした究極のガラクタです。ゲームコレクターが所有するごみの山(またの名をゲームライブラリ)に、新たな仲間が加わります。本作は、「プレイ可能なビデオゲーム」と考えられ、販売に耐え得る最低限の水準を何とかクリア。お金をドブに捨てても構わないという自慢以外には何の役にも立たない、究極の浪費体験をお楽しみください。

 ストアレビューでもキュレーターの酷評を引用しているほか、自身のキュレーターでも「マジモノのごみなので、お金を燃やしたくなければ買うな」ともコメントしている。動作環境欄では「人間は24fps以上分からないので24fps」「(ビデオカードは)Titanで動かしてもごみ」「音がひどいので耳栓推奨」といったニヒルな文言が並ぶ。

 「Asset Flip Simulator」は要するに、ゲームのアセットを仕入れて発売することを明確な目的としたゲームだ。なぜこんなことをするのかと問われた際にBunchOD00dz氏氏は「最低限の努力で、最大の利益。簡単な質問です。はい、次」と回答している。実は氏がこうした作品を発売したのは初めてではない。氏は以前弊誌でも報じた「Glitch Simulator 2018」を代表に、低品質ゲームを続々と生み出してきた過去を持つ。ちなみに「Glitch Simulator 2018」は、ユーザーによってわずか12分で同じゲームが作成され、無料で配布されている(関連記事)。


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 氏はこれまでは、皮肉を交えながら真面目な“フリ”を見せて低品質ゲームを売ってきたが、今回においてはついに開き直って正面から粗悪なゲームを売ることにしたわけだ。「Glitch Simulator 2018」では敵やオブジェクト、戦闘といった概念は存在したが、本作はそれすらもない。盛り上がった坂や水があるだけ。水には一定時間いると窒息する。死んだ場所の頭上にリスポーンするため、放置しておくと半無限に溺死し続ける。虚無と呼ばれる作品は多く存在するが、本作がそれにもっとも近いタイトルの1つであることは疑いないだろう。一方で氏はストアページにてどういうゲームなのかをしつこいほど紹介し、このゲームを買うなと重ねて強調しており、誠実さすら感じさせる潔さでもある。本人は金もうけを強調しているが、このストア説明でどこまでもうけられるかは定かではない。

 なおBunchOD00dz氏の態度については、Steamコミュニティーから当然批難の声が集まっているほか、MotherboardはこれこそがSteamの問題点であると強く批判している。こうした低品質ゲームはSteam Directが理由にあるだろう。2017年6月に開始されたSteam Directでは、開発者はデジタル書類を提出し100ドルを払ってValveからの承認を得ることで、簡略にシステム化された認証プロセスのなかでゲームを配信することができる。Greenlightのようなユーザーによる審査はなく、個人でもSteamにて積極的にゲームを配信できるようになった。このカジュアル過ぎるシステムを、Motherboardは批判しているわけだ。


ゴミゲー 前作の「Blackscreen Simulator」。説明文には「あなたは患者。敵はゾンビ。患者はよくて、ゾンビはだめ。あなたはゾンビを殺して狂った病院から逃げる。患者となってゾンビを倒すのが好きな人のゲーム」と記されている。皮肉たっぷりの気の抜けた説明だ。

 ただしSteamには返金システムが存在しており、前述したように開発者はストア説明で購入しないように厳重に注意している。Steamキュレーターやディスカバリキューにこうした悪評価の作品は出てくることはそう多くない。そして、買わないという選択肢もあるわけだ。一方で、Greenlight時代と比較すると、Steamのクオリティーコントロールが失われているのも事実である。Steam Directの導入により粗悪な作品が増え、ユーザーが主体的に良い作品を探していかなければいけないストアになりつつある。レビューやキュレーター、ディスカバリキューといったユーザーが好みのゲームを発見できるような機能が充実してきていることを踏まえれば、むしろそれがValveの狙いと考えることもできる。

 Redditのいくつかのスレッドは、むしろ氏の紹介がウイットに富んでいることをあげ、好意的に評価する声も少なくない。「そもそもアセット転売とそうじゃない作品のラインはどこなんだ」と違う方向の議論に発展している場所も。「Glitch Simulator 2018」に引き続き、議論を引き起こすBunchOD00dz氏の低品質ゲーム。現行のリリースシステムが変わらない限り、こうした氏の作品は、今後も生まれ続けるだろう。

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