えぇ!? 「ローカル私鉄が新幹線の高架線を走ってる!」 もうすぐ終了「福井の珍現象」を楽しむ月刊乗り鉄話題(2018年5月版)(3/3 ページ)

» 2018年05月15日 12時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]
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すきすききすきせん、きすきえきすき?

 「木次線・木次駅」。これ、正しく読めますか?

 「きすきせん・きすきえき」と読みます。「次」という字を「すき」と読むなんて難易度が高いですね。

photo 木次駅→「きすき」と読みます

 ちなみに2018年3月に廃止されたJR三江線の終点「三次駅」は「みよし」と読みます。「次」は「よし」です。「次」という字が「つぎ」だけではなかったなんて。

photo 三次駅→「みよし」と読みます

 そこで木次駅では「もっと分かりやすく、親しみやすくしよう」と、新しい駅名標が設置されました。

photo これなら誰でも「きすき」って読めます。ふりがなありますし(画像提供:木次線出雲大東駅指定管理団体の「つむぎ」さん)

 うわ! 「き♡」になっています。ハートマークならば「好き」という意味ですからね。はい、もう間違えませんね。覚えましたね。

 JR木次線は島根県の宍道駅と広島県の備後落合駅を結ぶローカル線です。実は営業成績が低く、JR西日本が公開した資料「データで見るJR西日本2017」によると、JR西日本管轄でワースト3位でした(関連記事)。それまでワースト1位だった三江線が先日廃止となってしまったために、2018年5月現在はワースト2位。ちなみに現時点のワースト1位は大糸線ですが、北陸新幹線の糸魚川駅に接続されたことから以後のランクアップが予想されています。

 「このままでは木次線も廃止されてしまうかもしれない!!」そんな危機感のもと、JR西日本木次鉄道部と沿線地域が一体となって木次線を盛り上げています。「き♡ 駅」とあるかわいい駅名標も「みんなで盛り上げよう」「駅を知ってもらいたい!」「ぜひ木次線に来てほしい!」という願いが込められています。

 「き♡ 駅」の駅名標は2018年4月7日に地元の有志によって設置。「かわいい」「願いがかなう(かも)」「あの人に思いが伝わる(かも)」「いい人が見つかる(かも)」などとじわり話題に。大型連休中もこの駅名標で記念写真を撮る観光客が多かったそうです。

 また、木次線出雲大東駅の窓口では「き♡ 駅」をモチーフとしたキーホルダー「木〜ほるだ〜 き♡ version」も販売中。手作りのため数量限定ですが、出雲大東駅でしか入手できない「木次線の鉄旅のレア記念品」としてこちらも人気急上昇中です。

photo 木〜ほるだ〜は既に入手済み 実はワタシ、木次線応援団の団員なのです
photo 木次線名物その1 トロッコ列車「奥出雲おろち号」
photo 奥出雲おろち号の車内 涼しい風が吹き抜けます
photo 木次線名物その2 出雲坂根駅のスイッチバック
photo こんなに高いところまで上ります
photo 木次線の終点、備後落合駅。おろち号の機関車の着かない側。こちらにも運転席があります。備後落合行きはこちらが先頭
photo 地元有志「おくいずも女子旅 つくる!委員会」が企画した「スイーツ&カフェ列車」
photo ふだんは小さな気動車が走っています

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


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