WWFジャパン、絶滅危惧種ニホンウナギへの早急な対策求める要望書を農水相に提出

ニホンウナギの国際的な資源管理の強化と、国内シラスウナギ採捕・取引の管理強化を求めています。

» 2018年06月04日 10時30分 公開
[宮原れいねとらぼ]

 環境保全団体のWWFジャパンとその野生生物取引監視部門であるトラフィックは、「すでに資源枯渇に陥っていると推定される」として絶滅危惧種のニホンウナギに関する対策を早急に実施するよう求める要望書を農林水産大臣に提出したと発表しました



 ワシントン条約事務局が2018年5月22日に公開した報告書では、2014年に日本・中国・韓国・台湾でシラスウナギの池入れ上限が設定されたものの、その設定上限78.8トンに対して、実際の東アジア全体の池入れ量が41トン未満と大幅に少ないことが指摘されています。これについては以前から「設定されている池入れ量の上限が高すぎる」「科学的根拠に基づいていない」等の問題が指摘されていて、さらに池入れ量の過大・過少報告も危惧される中、その正確性を担保できなければこうした現在の管理の仕組みは実効性を伴わないとの考えを示しています。

 また報告書では、こちらも以前から指摘のある「稚魚の違法採捕・取引」に関して、台湾だけでなく中国からも多くの稚魚が日本含む他の東アジアの国・地域に密輸されている可能性も指摘。2017年に発表された「日本の水産物市場における、IUU漁業リスク」でも、日本に輸入される魚種のうち、ウナギの違法・無報告・無規制(IUU)漁業由来のリスクが最も高くなっているとしています。


WWFジャパン ニホン ウナギ 要望書 農林水産大臣に宛てた要望書

 これらの背景から、国際的な資源管理の強化および、国内シラスウナギ採捕・取引の管理強化に関する計6点の対策(以下)を日本政府に要望したと発表しました。

1.国際的な資源管理の強化について
i) 科学的知見に基づき、かつ、予防原則に従い、採捕量に紐づける形で東アジアにおいてニホンウナギの稚魚の池入れ量を設定すること
ii) 上記の池入れ量制限の順守を担保するための法的枠組み(地域漁業管理機関等)を東アジアで導入すること。その際には、生息国・地域、養殖国・地域だけでなく、稚魚の取引ハブとなっている香港も枠組みに含めること
iii) 日本に輸入されるシラスウナギについては、上記の枠組み及び各国・地域の採捕・国内取引・輸出に関する法制度に則ったものであることを、透明性のある手段を用いて担保すること
iv) 上記が実現できない場合には、ニホンウナギの実効性ある資源管理措置の確立、導入が可能となるまで、国際取引の規制措置としてワシントン条約への掲載を検討すること
2.国内シラスウナギ採捕・取引の管理強化について

i)ニホンウナギの資源状況が極めて悪く、かつIUU漁業が横行し、都道府県を超えて幅広く取引されていることを踏まえ、国内のシラスウナギの特別採捕については、都道府県知事から農林水産大臣に許可権限を移管すること
ii)シラスウナギの採捕から池入れに関わる全ての個人、事業者等を対象として、採捕者、採捕日・取引日、採捕・取引量、取引元・取引先を電子的な方法で報告することを義務付ける漁獲証明制度を導入すること

 WWFジャパンおよびトラフィックは、「資源管理の面からも、国際的な課題となっているIUU漁業の撲滅という観点からも、日本政府はこうした指摘を十分に考慮し、違法採捕・取引に対し、早急な対策を導入することが必要です」と、危機感をあらわにしたコメントをしています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2403/26/news158.jpg 元横綱・貴乃花、再婚後の激変ぶりに驚きの声 ヒゲ生やした近影に「ショーケンみたい」「ワイルドー」
  2. /nl/articles/2403/27/news130.jpg 中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
  3. /nl/articles/2403/26/news169.jpg 「『ちゅ〜る』の紅麹色素は大丈夫?」 小林製薬の「紅麹」報道で飼い主に不安広がる
  4. /nl/articles/2403/27/news126.jpg ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
  5. /nl/articles/2403/26/news161.jpg 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 味噌や酒など紅麹原料メーカーの自主回収相次ぐ 20社以上が発表
  6. /nl/articles/2403/27/news127.jpg 日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
  7. /nl/articles/2403/20/news067.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友だちから連絡→まさかの正体に爆笑 友だちはその後ジブリを見た?
  8. /nl/articles/2403/26/news016.jpg ドイツ人家族が日本のバウムクーヘンを実食、一番おいしいと絶賛したのは…… 満場一致の結果に「参考になります」「他の食べ比べもお願い」
  9. /nl/articles/2312/30/news041.jpg 「紫のトトロ買った」 “ジブリを1ミリも知らない”友人から連絡→まさかの正体に爆笑「それトトロやない」
  10. /nl/articles/2403/26/news145.jpg 「ご安心ください」 “紅麹ショック”でDHCとファンケルが声明…… サプリ販売は継続中 小林製薬では死亡患者がサプリ摂取
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」