「元気だったかコラァ」――かわいいけれどヤンキー口調 アバターと中身の落差が壮絶なVTuber漫画:別宅 きょうの横山家
不運(ハードラック)と踊(ダンス)っちまう豪快な動画配信。
パロディ、風刺、育児エッセイと、幅広い作風の漫画を手がける横山了一先生。この連載では話題になった作品を不定期にお届けしています。今回は「バーチャルYouTuber キズモノアイ」。ヤンキー口調のVTuberが天下を目指す!?
バーチャルYouTuber キズモノアイ
キズモノアイは、チャンネル登録数200万超の人気VTuber。大きなリボンと長髪は、有名なあの人と似ています。しかし「元気だったかコラァ」と、口調は乱暴でヤンキーのよう。木刀を片手に「今日もハードラックとダンスっちまうぜ」と、ヤンキー漫画の名作『特攻の拓』ネタを交えつつ配信しています。
トークスタイルは「バカヤロウ便所でシメるぞ!」といった調子でかなり乱暴です。かと思えば、子どもの名前を考えてほしいというリクエストに対し「『りあむ』か『のえる』」と答えるなど、時折優しさと抜群のネタのキレを見せます。ギャラガー兄弟かよ。
ルックスと口調のギャップで人々を魅了するキズモノアイの中身は? と、視聴者は興味津々。やがて物語の視点は運営側へ移り、とうとうその正体が明かされます。そして現れたのは、鬼ヶ島愛乃助(18歳・男)。不良グループ「怒羅下内(どらげない)」を統べる、ゴリゴリのヤンキーです。アバターと中身のギャップも壮絶だったー!
そもそもこの企画、舎弟の桃田がマネタイズ目的で始めたものだったようです。大成功を収めたとはいえ、ゲーム実況や「歌ってみた」を果てなく続ける生活に鬼ヶ島はうんざりしており、とうとう「もう降りる」と言い放ちます。
しかし桃田に「みんながキズモノアイを待ってるんです……大好きなんですよ! 鬼ヶ島さんが!!」と説得されると、「マジかよ? だったらもうちょっとだけ……」と、少々デレ気味に答える鬼ヶ島。その照れた表情はキズモノアイとしての一面を彷彿(ほうふつ)させ、桃田をときめかせるのでした。予想外の展開を見せつつ、2人は足を止めずに修羅を行く。
ヤンキー漫画でデビューした横山先生の経験が生きている(?)この漫画。読者からはリプライで「止まるんじゃねえぞ……」コールが飛んでいます。
作者:横山了一
1978年生まれ、北海道釧路市出身。2002年に『熱血番長鬼瓦椿』(週刊ヤングマガジン)連載デビュー。妻は漫画家の加藤マユミ(@katomayumi)。妻子との日常を描くエッセイ漫画『きょうの横山家』や、オタクが戦国時代で活躍する『戦国コミケ』など、幅広い作風で知られる。
Twitter:@yokoyama_bancho
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