拡散中の記事「凶悪な美少女ゲームで精神崩壊して自殺」はデマ 元記事では因果関係について表現なし

他のソースも探してみましたが、「遊んだプレイヤーが精神崩壊し自殺」といった報道は見つかりませんでした。

» 2018年06月28日 14時00分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 「美少女ゲーム『Doki Doki Literature Club!(ドキドキ文芸部!)』を遊んだプレイヤーが精神崩壊し自殺」――といった内容の記事がTwitterなどで拡散されていますが、参照元とされている海外記事にそのような表現はなく、「デマではないか」という指摘が相次いでいます。



DDLCで精神崩壊はデマ 話題になっているゲーム「Doki Doki Literature Club!(ドキドキ文芸部!)」。一見日本の美少女ゲームのようですが、れっきとした海外産

 発端となったのは、ゲーム系ブログ「ユルクヤル」が6月25日に掲載した「凶悪な美少女ゲーで精神崩壊した学生が自殺、イギリス全土に警告発令へ」という記事。イギリスの地方メディア「Sunderland Echo」の記事を参照しつつ、「ビジュアルノベル『Doki Doki Literature Club!』をプレイした男子学生が自殺する事件が起きた」「検視局が警告を発令した」などと紹介していました。



DDLCで精神崩壊はデマ ユルクヤルが参照している「Sunderland Echo」の記事

 しかし、元になったSunderland Echoの記事を読むと、「自殺した少年の死について調査した結果、『Doki Doki』というゲームを遊んでいたことが分かった」とは書かれていますが、「美少女ゲームで精神が崩壊した」といった表現や、ゲームが自殺の原因であると断定するような記述はみられません。

 また「市議会を通じて家族に注意を呼びかけた」「マンチェスター検屍局は全国の地方当局に対し懸念を強調しようとした」といった表現はありますが、ユルクヤルの「イギリス全土に警告発令へ」に比べるとかなり控えめなニュアンスとなっています。他にもソースを探してみましたが、やはり「『Doki Doki Literature Club!』が原因で自殺」という報道は確認できず、「遊んだプレイヤーが精神崩壊し自殺」はデマであるとみられます。


「Doki Doki Literature Club!」公式トレーラー

 2017年にリリースされた「Doki Doki Literature Club!」(Steam)は、その衝撃的なストーリー展開で、リリース直後から海外ゲームファンの間で大きな話題になったPC用アドベンチャーゲーム(関連記事)。日本語にはまだ対応していませんが(有志による非公式日本語化パッチは存在)、なぜ同作がそこまで騒がれたのか、同ゲームについてブログで積極的に紹介していた、「ゲーマー日日新聞」のJ1N1さん(@j1n1_r)に聞きました。なお、J1N1さんは今回のデマ騒動に対しても、自身のブログ内で問題提起をしています

―― この「Doki Doki Literature Club!」とはどんなゲームなのでしょうか。

J1N1さん:アメリカのTeam Salvatoという小規模スタジオが制作したアドベンチャーゲームです。プレイヤーは主人公として文芸部に入部して、詩を制作したり女の子と仲良くしたりするというゲームなんですが、そこで一波乱起きると。

 その秀逸な演出や脚本、システムが話題となり、海外ではIGNのPeople's ChoiceによるBEST PC GAMEを受賞するなど各方面で高く評価されています。日本ではまだマイナーな作品ですが、バーチャルyoutuberのキズナアイが実況する等、徐々に話題になっています。また日本語化MODの作成やファンアートなど盛り上げようという気運が強く、小規模ながらもコアなファン層を持っているという印象ですね。

―― これを遊んだ人が自殺するようなことは考えられますか。

J1N1さん:世界中で自殺する人の中に、偶然このゲームを遊んだ人がいても不思議ではないと思いますが、因果関係としてはあまり考えられません。確かに、この作品には作中で何度も警告されるように、ショッキングな表現や演出が存在します。ですが、実際に遊んでみると、この作品は精神的な錯乱や不安をリアルに描く一方で、実際にこうした苦しみを感じる人への理解を促し、これを克服しようとする希望のメッセージが含まれているんです。

―― Sunderland Echoの記事では、地元の教育関係者に注意を促したといった表現もありますが、これについてどう考えますか。

J1N1さん:先ほど述べたように、この作品は実際に世界中で精神に関する苦しみを抱えている人々への理解を促した、すばらしい作品だと考えています。「15歳の少年の自殺」という事件は本当に痛ましいことですが、かといってゲームに責任を転嫁して、表現を萎縮させても何の解決にもなりません。そして残念ながら、我が国においても精神疾患や、それを苦にした自殺は何ら珍しいことではない。こんな形で作品が知られた事は残念ですが、日本のゲームファンにもぜひこの機会に一度この作品をプレイしていただきたいですね。



 「ユルクヤル」の元記事はこれまでに1万5000回以上リツイートされており、一時は「DDLC」がTwitterのトレンドに入るなど大きな話題に。ネット上では記事を受けて「DDLCがリアルで死者を出してしまった世界初のギャルゲーになってしまった」など、誤った情報に基づいた否定的反応もみられました。


DDLCで精神崩壊はデマ 遊ぶ場合は絶対にネタバレを見ないことをオススメします

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」