ニュース
» 2018年07月15日 11時00分 公開

「エンジンを使って女の子が楽できるなら」 50年前の“やりすぎな耕運機”が、今プラモデルでよみがえる理由(後編)(6/6 ページ)

[しげるねとらぼ]
前のページへ 1|2|3|4|5|6       

高久:このエンジン付き自転車なんかも、最初は自転車を他から買ってきてたんですよね?

中島:ちょっと違って、最初はエンジンだけ売ってたんですよ。自転車用の加工は自転車屋さんでやってます。もともとは軍の無線機用エンジンが敗戦によって捨ててあって、宗一郎さんが奥さんのために自転車の動力用エンジンを作ってあげたと。

 そしたらそれが近所に広まって「私にも作ってくれ」っていう人がたくさん出てきたから、それで無線機用エンジンを全部買い取って、最初の500ロットはそれを使ったんです。当時は悪路が多かったので、それをなんとか楽にしてあげようということだったようですけど。

――今でいう電動アシスト自転車みたいな感じですか。

中島:そうですそうです。ほぼオートバイですけどね。当時のオートバイは高いし、量も出てないですから。当時はバイクというと陸王みたいな国産車はまだなくて、バイクに乗る人は海外から取り寄せて乗ってた。今でいえばベンツみたいなもんです。

――しかし、エンジンを単品で売っていたんですね。今ではちょっと考えにくいです……。

中島:もともとはホンダ=エンジンだったんです。で、その後にホンダのエンジンを積んだ二輪ができて、農機具もできた。まずはじめにエンジンありきです。

 ホンダってバイクを作るときもエンジン担当、足まわり担当、フレーム担当って分かれてるんですけど、一番意見が強いのはエンジン担当なんですよ。エンジンメーカーなんで。だからどんなにいいフレームができても、エンジンがダメだと「この車ダメだな」っていわれちゃう。エンジンを搭載する場所として二輪グループがあり、汎用グループがある。

――最上位にエンジンがあって、そこから並列に枝分かれしてバイクや農機具があるっていう感じですね。

中島:そうです。私が最初に配属されたのは二輪部門なんですけど、「ホンダは二輪メーカー」って言っちゃったことがあって、そしたら先輩に叱られるんです。「ホンダは二輪メーカーなんかじゃない! ホンダはエンジンメーカーだ!」っていう。

――で、そのエンジンを使って世の中の役に立とうという話なんですね。

中島:そこには宗一郎さんの強いこだわりがあったみたいですね。宗一郎さんってすごく面白い人で、自分のこだわりに対して妥協を許さないという面と、世の中の人が困っていると見捨てておけないという面があるんです。

 耕運機でいえば、最初に作った当時は戦後復興の最中で、食料自給率の問題に着目していて。で、誰が実際に農家で米作ってんだと聞いたら、男手がみんな戦争で死んじゃっていないと。その自給率を上げるためには、3ちゃん農業で頑張っている人を応援するものをわれわれも提供しないとということで、耕運機を作ったらしいんですよ。


耕運機を試運転する本田宗一郎。こちらは広告用のイメージ写真ではなく、「多分試作車ができて喜んでるとこでしょうね」と中島さん

――普通のエンジン屋さんだったら「食料自給率をなんとかしよう」とは考えないですよね……。

中島:当時、既にほかのメーカーからも耕運機は売ってたんです。でもそれらは、既に十分大きいF90の、さらに1.5倍くらい大きかったんです。だから小型の耕運機を出したのはホンダが最初です。高くて大きくて扱いにくいというのをなんとかしたかった。

 スーパーカブも全く同じ発想からできてるんですよね。宗一郎さんが町で岡持ちを持って自転車に乗ったそば屋さんを見て、フラフラしてて乗りにくそうだったからなんとかしたいと。「3ちゃん農業でも使える耕運機を作れ!」という指示と、「岡持ちを持ったそば屋が運転できるように作れ!」っていう指示は同じ発想なんですよ。

――エンジンのパワーで暮らしをよくしようということなんですね、全部。

中島:その通りです! そういう理念に関していえば、エンジンそのものを売っているのはすごく大事なんですよ。

 ホンダの歴史を振り返ると、最初に売ったのはカブA型っていう自転車の補助エンジンでした。で、パワープロダクツ部門は現在エンジン自体を販売している部門です。だから、パワープロダクツはホンダの元祖だと勝手に考えています(笑)。


前のページへ 1|2|3|4|5|6       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/26/news043.jpg 生後1カ月赤ちゃん、ママが3時間抱っこで限界→バウンサーに座らせた瞬間 “激おこ”な表情に「かわいい」「ママ頑張りましたね」
  2. /nl/articles/2402/26/news040.jpg 1歳弟を寝かしつける4歳姉、2人の会話が「可愛すぎて泣ける」 “小さなお母さん”の活躍に「いつまでも仲良しでいてね」
  3. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  4. /nl/articles/2402/25/news021.jpg 10人目妊娠中の妻、出張に行く夫から突然「疲れた時は冷凍庫を開けて」とLINEがとどき…… 優しいサプライズが140万再生
  5. /nl/articles/2402/26/news110.jpg 永野芽郁、ドラマ役作りで減量していた ミラノでの1枚に「足ほっそい!」「スタイルよすぎ」の声集まる
  6. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  7. /nl/articles/2402/26/news122.jpg 石田ひかり、2人の娘たちが海外へ旅立ちしんみり 子どもの乗る飛行機を「朝まで追跡しておりました」
  8. /nl/articles/2402/26/news125.jpg 「時差投稿」宣言の北斗晶、ブログ写真をよく見てみると……? 白物家電の英語ボタンで示唆「円安だし」
  9. /nl/articles/2402/26/news049.jpg 着古したセーターがリメークで冬に大活躍の日用雑貨に超変身! 古着の意外な再活用が「とても懐かしい気持ちに」と話題に
  10. /nl/articles/2402/25/news007.jpg 【漫画】「愛犬の老いに直面した話」に「泣きました」「まさに同じ気持ち」と8万いいね 家族の老いと喪失に向き合う話に涙
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」