ニュース
» 2018年07月07日 17時00分 公開

講談社、『美しい顔』騒動について時系列で経緯を説明 掲載前に編集部と北条氏双方で問題を認識できず

講談社の主張に対し、新潮社もコメントを発表しています。

[宮原れいねとらぼ]

 5月7日発売の講談社『群像』6月号に掲載された『美しい顔』(北条裕子氏著)が、新潮社の石井光太氏著『遺体 震災、津波の果てに』をはじめとする主な参考文献を掲載していなかった問題で、講談社がこれまでの経緯を時系列で発表しました



 『美しい顔』は第61回群像新人文学賞の当選作で、第159回芥川龍之介賞の候補作。東日本大震災の被災地で被災した女子高生の視点で描いた短編作品。その中の一部表現にルポルタージュ作品の『遺体 震災、津波の果てに』との類似点があることが、5月10日講談社の調査により判明。5月14日に石井氏へ謝罪した上で、類似箇所の修正について石井氏および新潮社と協議を開始したことが説明されています。協議は現在も継続中。

 同発表によると、北条氏が『遺体 震災、津波の果てに』をはじめとする主な参考文献を講談社の編集部員に掲示したのは4月20日で、『群像』6月号の発売前でした。これについて同社は、この時点での北条氏にとって「参考文献」の認識が十分ではなかったこと、また初となる自作の掲載・発表である北条氏に対する編集部の確認不足があったことを認めています。

 そして、4月12日の初面会以前から北条氏が妊娠中で4月末の出産予定日を控えていることがわかっており、4月20日時点で文献の詳細や表現について整理する時間が必要だと認識しながらも、出産を目前に控えた同氏に対して「校了までに詳細をつめてゆくことは困難だと判断し、そのまま適切な対応ができずに23日の校了を迎えてしまいました」と事の経緯を説明しています。


美しい顔 北条裕子 講談社 群像 経緯 説明 お詫び 新潮社 『美しい顔』が掲載された『群像』6月号

 その後については、新曜社の金菱清氏著『3.11 慟哭の記録 71人が体感した大津波・原発・巨大地震』について、北条氏が示唆を受けていたことを編集部で認識していながらも連絡が遅れていたとして、6月25日に新曜社から指摘される形となってから直ちに謝罪。こちらも現在協議中であることを説明しました。

 一方、新潮社も『美しい顔』に関する経緯の説明および、7月3日に講談社が発表した内容に対するコメントを公式サイトで発表関連記事)。講談社と5月29日以降進められた協議により問題は徐々に解決に向かい、その結果『遺体 震災、津波の果てに』に関する問題は、今後の『美しい顔』単行本化の際に特に類似した箇所の修正と、「石井氏を信じて取材に応じてくださった被災者の方々への対応」という2点となり、「版元間 かみ合わぬ議論」「新潮社は反発」といった一部報道のような状況ではなかったという認識を示しています。

 しかし、講談社が7月3日に発表したリリースは、新潮社が報道各社に向けたコメント内の「単に参考文献として記載して解決する問題ではない」との見解について、「小説という表現形態そのものを否定する」と新潮社に怒りの矛先を向けた内容で、非常に困惑したと同社。北条氏と作品に対して「インターネット上で誹謗、中傷が激しさを増しているとすれば、弊社もそうした状況を良しとするつもりなど決してありませんし、同情申し上げるしかありません」としつつ、こうした状況のそもそもの原因は「参考文献を掲載せず、類似箇所を生じさせた講談社側にあるのではないでしょうか」と主張し、講談社に「冷静な対応を望みます」と述べています。



 ちなみに、ノンフィクション作品がさまざまな創作物の参考となることについて新潮社は、「ある意味光栄なことではあります」と述べる一方で、参考文献として掲載するとしても「それを参考にした結果の表現は、元のノンフィクション作品に類似した類のものではなく、それぞれの作家の独自の表現でなされるのがあるべき姿ではないでしょうか」と疑問を呈しています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2312/08/news148.jpg DAIGOの姉・影木栄貴、ノーメイク姿の姉弟ショットで美形ファミリーぶり際立つ 「目元瓜二つ」「すっぴんでも綺麗」
  2. /nl/articles/2312/07/news024.jpg 生まれて間もなく捨てられていた保護子猫が“真っ白なエビフライ”に おなかいっぱい食べられるおうちで過ごす姿に心あたたまる
  3. /nl/articles/2312/08/news124.jpg 元・成宮寛貴ら、豪華メンバー飲み会に“元芸能人”が偶然登場 衝撃の身なりに「都内でこの格好ヤバっ」
  4. /nl/articles/2312/08/news109.jpg 小木博明の妻、52歳のサプライズ誕生日会に「負荷などありましたが嬉しくて」 “母”ら豪華メンバー集結に「みなさんいい笑顔」「ハッピーで最高」
  5. /nl/articles/2312/08/news023.jpg 赤いアロワナ(紅龍)を買ったら色が変化、「もしかして騙された?」と思ったら…… 劇的に変化した理由が興味深い
  6. /nl/articles/2312/05/news021.jpg 柴犬が見つけた瀕死の子猫、最後の力で立ち上がり…… 優しさが救った小さな命が600万再生「感動と感謝です」
  7. /nl/articles/2312/08/news026.jpg 子猫を保護して2週間、最初は警戒していた先住犬たちも…… みんなで団子寝する仲睦まじい姿に「なんて幸せな光景」「愛にあふれてる」
  8. /nl/articles/2312/08/news141.jpg 「感心しまくりでたーくさんGET」 神田うの、“初ZARA”での爆買いに感動「リーズナブルでビックリ」
  9. /nl/articles/2312/08/news147.jpg 寺田心、最新の“細マッチョ”姿に驚きの声が集まる 「体が逆三角形」「筋肉系になっていたとは」
  10. /nl/articles/2312/08/news017.jpg 柴犬、飼い主の「行ってくるね」にジワジワと表情がくもっていき……? 豊かな感情のゆれ動きに「切ない……」「押し寄せてる」
先週の総合アクセスTOP10
  1. オール巨人、30年モノな“伝説の1台”に自負「ここまでキレイな車はない」 国産愛車の雄姿に称賛の声「気品がある」「凄くエレガント」
  2. 「明らかに写真と違う」 東京クリスマスマーケットのフードメニューが物議…… 購入者は落胆「悲しかった」
  3. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  4. 田中みな実、“共演した姉”の存在に反響「居るとは聞いていたけど」「激似やなぁ」 すらっとしたたたずまいに「品のあるお方」
  5. 藤本美貴、“全然かわいくない値段”のテスラにグレードアップ スマホ一つでの注文に「震えちゃ〜う!」
  6. マックで「プレーンなバーガーください」と頼んだら……? 出てきた“予想外の一品”に驚き「知らなかった」
  7. 伊藤沙莉、“激痩せ報道”の真相暴露→広瀬アリスの株が上がってしまう 「辱めったらない」告白に「アリスちゃん、ええ人や〜」
  8. 「あなたは日本人?」突然送られてきた不審なLINE、“まさかの撃退方法”に反響 「センス良い」「返しが秀逸」
  9. “鬼ダイエット”で激やせの「Perfume」あ〜ちゃん、念願の姿に「着れる日が来るなんて」と大喜び
  10. 900万再生のワンコに「電車で笑ってしまった」「つられてめちゃくちゃ笑っちゃうw」 “突然魔王になった犬”に腹を抱える人続出
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「酷すぎる」「不快」 SMAPを連想させるジャンバリ.TVのCMに賛否両論
  2. 会話できる子猫に飼い主が「飲み会行っていい?」と聞くと…… まさかの返しに大反響「ぜったい人間語分かってる」
  3. 実は2台持ち! 伊藤かずえ、シーマじゃない“もう一台の愛車”に驚きの声「知りませんでした」 1年点検時に本人「全然違う光景」
  4. 大好物のエビを見せたらイカが豹変! 姿を変えて興奮する姿に「怖い」「ポケモンかと思った」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 西城秀樹さんの20歳長男、「デビュー直前」ショットが注目の的 “めちゃくちゃカッコいい”声と姿が「お父さんの若い頃そっくり」「秀樹が喋ってるみたい」
  7. “危険なもの”が体に巻き付いた野良猫、保護を試みると……? 思わずため息が出る結末に「助けようとしてくれてありがとう」【米】
  8. 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. おつまみの貝ひもを食べてたら…… まさかのお宝発見に「良いことありそう」「すごーい!」の声
  10. 「3カ月で1億円」の加藤紗里、オーナー務める銀座クラブの開店をお祝い “大蛇タトゥー”&金髪での着物姿に「極妻感が否めない」