ファイナルファイトがやりたい少女、ガイルに背中を押された少年 「ハイスコアガール」3話(1/2 ページ)
あの子との戦いはまだ終わっていない。
ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作/アニメ)は、当時を経験していた人も、そうではないゲーム好きも、そしてかつて子どもだった全ての大人が、共感できる悩みをたくさん練り込んだ作品です。
2人でいたいから
遊園地に行くことになった、大野とハルオとクラスメイトたち。はみ出し者だと感じている2人がみんなと和気あいあいできるわけもなく、そそくさとゲームコーナーに逃げ込みます。
と言ってもしょせんは遊園地のゲームコーナー。ストIIは置いているものの、あとはひと世代前のゲームばかり。大野がやりたいと言ったのは、近所の駄菓子屋にも置いてあった、散々やり尽くしたはずの「ファイナルファイト」でした。
アニメ1話で、雨宿りのついでに大野が「ファイナルファイト」でハイスコアに挑むシーンがあります。彼女のプレイに、協力のつもりで割り込んだのがハルオ。実際は足手まといでしたが。
誰かと同じ方向を向いて進む、という初めての経験でした。今まで家のしきたりが厳しすぎて、秀才故に孤高の存在になってしまった大野。彼女が魅了されたゲームの世界を、全力で楽しむハルオ。孤独だった大野に、好きなことを全力で楽しんで、息抜きしてもよいのだ、と自らの姿勢で指し示したのは彼です。
大野はまるで記憶を反すうするかのように、ハルオと「ファイナルファイト」を全クリします(なお「ファイナルファイト」はこの後にも出てくるくらいの重要ゲームです)。
みんなが帰った後、2人で遊園地をめぐります。ジェットコースターに乗り、ミラーハウスに入り。大野は遊園地が嫌いなわけじゃない。アトラクションが一回400円。地元でストIIを8回やった方がマシと言いつつ、なんだかんだで一緒に乗るハルオ。怖いのが苦手なのに一緒に乗りたがる大野。
ハルオ「大野…はしゃいでいるな…表にはあまり出さねーけどなんとなく伝わってくるぜ」
帰りのバスの中、ハルオの肩に寄りかかった大野。好きだからとか甘えたいからというよりも、安心しているように見えます。
お前の気持ちはそれだけか!?
大野の気持ちを察することのできる男、自然体で優しくできる男、ハルオ。客観的に見ると、かなり人間のできた子です。彼が大野のことを思いやれるのは、かわいそうだからではなく、リスペクトしているからです。
ハルオ「アイツの腕を認めざるを得なくて…尊敬した…心意気にほれぼれした…初めて同志ができたと胸も踊った」
しかし大野はロスに移住。離れ離れになってしまう。
彼にとっての大野は、友達とかを超越した、魂の戦友みたいなもの。もっともそのスパイスとして「恋愛」があるかどうかは、今の彼にはわかっていません。いくら大野の心を思いやれても、自分の心を見ることはできていない。
彼の背中を押したのは、友人でも友達でもなく、ガイル少佐でした。
「好きなキャラ」が自分と一体化する経験って、ゲーマーなら一度はあると思う。「こんなとき○○はどう考えるだろう」とか。格ゲーは特に、持ちキャラの使用時間が長い上に集中もするため、シンクロ率が高い。キャラに思い入れないよという人でも、ゲームの構造は身にしみつくもの。時間制限とか、音楽とか、ハイスコアとか。悩んだときや辛いときに、ふとそれらの記憶が蘇ってきがち(例・焦っている際にマリオの時間切れ警告音が頭に響く)。
ガイル「あの子との戦いはまだ終わっていない お前の戦いが 俺の新たなる力となるだろう」
この心のガイルのセリフは、ゲーム内の勝ちゼリフの改変。元は「お前との闘いが、俺の新たなる力となるだろう」。ハルオは今までのガイルとの日々を、自然と今の自分の境遇に置き換えているようです。
彼は今までやってきたゲームを全てかみ砕き、自分の身体に吸収し、血肉としています。彼の感情が動いたとき、愛してきたゲーム全てが自分を鼓舞してくれます。心のガイルや安駄婆は、ざっくりいえば自問自答の具象化。ハルオの中に、初めて自分を見つめる意識が芽生えた瞬間です。
自分の気持ちに気づいて空港まで追いかけ、大野に別れを告げる。ハルオが彼女に渡したのは、オカルティックなゲーセン「がしゃどくろ」で手に入れたうさんくさい指輪。
最高のプレゼントすぎるよ。2人で一緒にいた、2人しか知らない時間が、思い出せるグッズだもの。辛かった気持ちを抱えつつゲームに没頭し、小学生時代を生き抜いた、2人の結晶です。
大野が初めて、感情の全てをぶちまけた。口を開いて声を出すのも、この場面だけ。彼女が本当の意味で心を開けるのは、ハルオしかいない。飛行機の中での、彼女の指に注目しよう。
この漫画は、大野の慟哭のあとにハルオがしんみりせず、次の彼女との戦いのことを想像するから、イカス。ゲームで出会い、ゲームで通じあえたのだから、ゲームで未来を見つめるしかないんだよ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
-
川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
-
中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
-
大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
-
「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
-
猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
-
なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
-
大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
-
「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
-
「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた