『レ・ミゼラブル』より「五時が鳴った。」 小説の一節を引用して時間を伝える“小説時計”が面白い

風情を感じる。

» 2018年09月01日 19時00分 公開
[宮原れいねとらぼ]

 いま午後三時です。(太宰治『斜陽』)――小説の一節を引用して時間を伝える時計「小説時計」が注目を集めています



 真っ白な画面に、時刻を描写した小説の一節と、その著者・作品名という文字のみが表示されるWebサイト。分単位ではなく時単位なのでかなりざっくりとした時計ですが、小説ならではの「五時が鳴った。」(ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』)という表現や、「ときに何時だなと時計を見ると、もう十一時過ぎである。」(夏目漱石『草枕』)といったセリフ調の内容は、短いながらも風情を感じさせます。


小説 引用 時計 一節 Web 短い一節から時刻以外の味わいを感じる……

 普段の短針・長針や数字だけで見る時計とは違った意味でより“時間”というものを感じ、また表示されている一節の場面や物語に思いを馳せたりと、シンプルながら文学好きにはたまらないものとなっています。知っている作品ならば余計に「よく寝たものだ」などと、つい口に出して言いたくなるかも。


小説 引用 時計 一節 Web 「もう」といった部分から何かを受け取ったり、その場面を思い出したり

 作者は、さまざまなアイデアとプロダクトを生み出している、いなにわ(@inaniwa3)さん。今回の小説時計を作ったきっかけは、ピチカート・ファイブの曲「東京は夜の七時」を時計にできないか、という発想を入り口に生まれたもので、それから10日間ほどで制作したそうです。最初の着眼点がステキ過ぎた……。


小説 引用 時計 一節 Web 日常生活では言わない時刻表現もステキ

 小説の一節から“時間”を探すのは苦労しなかったそうですが、ただ「五時」で検索して出てきた文章が“朝の5時”なのか“夕方の5時”なのかは読まないとわからない場合があり、その点は苦労したとのこと。ちなみにオススメの一節(時間)は、「時計を見るとちょうど六時でした。」(宮沢賢治『ポラーノの広場』)。こちらも、どちらの6時かは、内容を知っている方なら情景とともに浮かんできそうです。

 なお、表示された時刻の描写で知らないものが出てきても、著者・作品名をタップ(クリック)すると「青空文庫」の作品ページに飛んでくれるので、気になった作品はそのまま読むことができます。



 小説時計について今後の展開などを聞くと、「壁掛け時計にするつもりで作ったので、気が向いたらやりたいです」といなにわさん。時刻を知る用途としての時計が徐々に不要になりつつある中で、こういった遊び心のある“時計”は面白くも一定の需要がありそうです。

 Twitterではその発想に驚く声から、「ときめいた」「好き」「オシャレすぎる」と称賛の声を集める人気となっています。


小説 引用 時計 一節 Web 文学好きにはたまらない……!

画像提供:いなにわ(@inaniwa3)さん



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  6. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  10. /nl/articles/2412/17/news195.jpg 「ほぼ全員、父親が大物芸能人」 奇跡的な“若手俳優の集合写真”が「すごいメンツ」と再び話題 「今や全員主役級」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」