とってもカラフル! 推しにも会える!? 大阪・難波の白玉専門店「しらたま+」に行ってみた
人情とボリュームも満点。
大阪・難波にカラフルな白玉が食べられる白玉専門店「しらたま+」があるという。また、お皿に好きなキャラクターを描いてもらえる「推し白玉」の存在を聞き、気になって仕方ないため、早速現地に向かってみた。
定休日なのににぎやか
南海難波駅から徒歩2分。千日前道具屋筋へ続く路地に「しらたま+」があった。ビルの階段を3階まで昇ると、パステルカラーの店内には若い女性客が3組ほどいた。奥ではスタッフらしき若い女の子たちが、何やら作業をしている。
取材当日の木曜は定休日なのだが、お客さんはどんどん増えていく。
店長の川合さん(以下、川合さん)は「せっかく3階まで来てくれたから、上がってもらってるんですよ」とほほえむ。スタッフの女の子たちは「白玉丸め隊」と呼ばれていて、楽しそうにおしゃべりをしながら、色のついた粉を練っていた。
「水加減が難しくて、慣れるまでは水が多過ぎてべちゃってなって、そこに粉を足して、って繰り返すうちに、ボウルいっぱいになってしまうこともありました(白玉丸め隊メンバー)」
そう言いながらも手慣れた様子で白玉を丸める彼女だったが、お店にいた店長の奥さんによると、まんまるできれいな形の白玉が好まれるので、形がいびつだとやり直しにすることもあるという。
カラフル白玉のお味は?
筆者は「カラフル白玉」「チョコミント白玉」をチョイス(どちらもドリンク付き、1000円、税込)。そして、お皿にチョコソースで推しの絵を描いてもらえるサービス「推し白玉」もオーダーした(※白玉とセットで注文可。2日以上前に要予約)。
「カラフル白玉」はインパクトある色合いながらも自然な甘味。きなこと一緒に食べると素朴な味わいで、甘さ控えめのホイップクリームとの相性も良い。味変も可能で、黒蜜で甘みを増したり、しょうゆで甘じょっぱさをプラスしたりもできる。
アイスクリームが入ったカップはおせんべいでできていて、香ばしく、ぱりぱりと歯応えがある。丸く盛り付けられた2色の「あん」はしっとり甘い鳴門金時と、上品な酸味の神戸ワイン。添えられた塩昆布が、味を引き締めている。
チョコミント白玉はチョコミントソースをかけて頂く。ソースで程よい清涼感がプラスされた白玉に、サクサクとしたチョコ味のパフが絡み、絶妙な味わいと食感が楽しめる。
チョコチップ入りのアイスクリームはミント感やや強めのスッキリとした味わいだ。
どちらの白玉も6つ入りで、とても食べごたえがある。1皿で十分お腹いっぱいになるボリュームだ(筆者は計2皿完食)。
カラフル白玉のほうには、リクエストしたイラストをお皿に無料で描いてもらえるサービスがある。名付けて「推し白玉」。事前にお願いしていたねとらぼ編集部からのリクエストが、細かな線で繊細に再現されている。平均、約15分で描く推し白玉だが、筆者がお願いしたキャラクターは20分から30分ほどかかったそうだ。
チョコで描いた細やかな絵はどうも崩せない。だが、お客さんの中には、推しへの愛が高ぶり過ぎてお皿をなめてしまう人もいるという。
カラフルなだけじゃない! こだわりが詰まった白玉
「しらたま+」では20代、30代までの女性に向けたお店づくりをしていて、メニューやお店の内装やディスプレイには奥さんや娘さんのアイデアを取り入れているという。
メニューの多くは和洋折衷。和の白玉やあんと、スイーツの場合はチョコやクリーム、チーズやトマトソース、カレーなどを組み合わせることもある。
カラフル白玉は「なにか看板メニューを」と考えていた時、テレビで取り上げられていた東京にあるカラフルなドーナツ屋さんからインスピレーションを得たそうだ。
見た目のインパクトや雰囲気だけではなく、味にもこだわりをもち、きな粉やあんは何軒もの店から選んでいる。白玉粉は何もつけない状態でもおいしいものを追求し、現在3社目になるという。また、お客さんが繰り返し来てくれるよう、よくメニューの入れ替えを行うそうだ。
実は遊びからはじまった!? 推し白玉
「推し白玉」について聞いてみると意外な答えが返ってきた。「推し白玉は遊びから始まったんです(川合さん)」というのだ。
もともと漫画が好きで、小さい頃から漫画ばかり描いていたという川合さん。高3の夏までは美術大学に入ろうと思っていたが、夏休みに行った美大志望者向けの予備校で、他の生徒のレベルの高さにショックを受け、絵の道はいったん諦めることにしたそうだ。
ある日、お店でカラフル白玉の仕込みをしていた時、余った白玉粉で作った「松」のマークを遊び心でくっつけたのが「推し白玉」のはじまり。Twitterにアップしたところ、アニメ「おそ松さん」のファンからの反響があった。お客さんから6個セットの白玉を6つ子の中の好きなキャラクターの色、例えば長男だったら赤、次男だったら青、などの同じ色で統一したものが欲しい――とリクエストされたという。そういったお客さんの「推し」への思いを知ったことで、生まれたのが推し白玉だ。
今の形とほぼ同じ、お皿にチョコソースでキャラクターを描く推し白玉が誕生したのは、店ではなく川合さんの自宅。「娘と一緒にテレビを見ながら、遊びで描きはじめました」と話す。
推し白玉でリクエストされるキャラクターはさまざま。新しい人気コンテンツの登場や、映画などの公開によってもリクエストは増える。近頃は川合さんが知らないキャラクターを頼まれることも少なくないが、初めて聞くキャラクターでも注文を受け、調べながら描くという研究熱心な川合さんであった。
台風の日の「おもてなし」
9月4日、台風21号が猛威をふるった大阪。「しらたま+」のある難波の街も、看板が飛んだり、停電したり、街路樹が折れたりなどの被害を受けていた。その日は店長夫婦だけでお店を開けていたという「しらたま+」。当日のTwitterのタイムラインにはこんな投稿があった。
店が入っているビルの1階で台風の様子をうかがっていた川合さんは、外国人観光客らしき夫婦がこちらに向かって歩いてきて、隣のビルで雨宿りしているのを見つけたという。周囲の店もほとんど閉まっている状況で、外国でこんな目にあったら不安だろうな、と思って川合さんは「上でカフェやっているから入りませんか」と声をかけたという。
川合さんは2人がリクエストしたコーヒーと、「白玉なんて食べたことないだろうな」と思い、きなことオレオをトッピングした白玉をごちそうしたという。「実は大金持ちで、リムジンで来ないかな」と照れ隠しで冗談を言う川合さん。
取材当日、時間が立つごとにお客さんが増え、一時は満員状態に。それでも、川合さんや奥さん、白玉丸め隊の笑顔や楽しそうな会話があふれ、店内は和やかな雰囲気だった。
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