「三億円事件ツアー」で犯人と握手! ぶっ飛びタクシー会社三和交通のぶっ飛びツアーに参加してきた(2/3 ページ)
ここが、三億円事件の現場だ!
タクシーは第1現場に到着しました。現場近くの安全なところにタクシーを止めて、解説が始まります。山口運転手の事件再現!
「日本信託銀行の方ですね」
山口運転手のイケボで言われると、ドキッとするー。
事件の様子は府中刑務所の看守が監視塔から目撃していました。その監視塔は現在では監視カメラに置き換わっていますが、かなり近いところにあったことが分かります。昔の写真と見比べると、歩道橋の位置は変わっておらず、まさにここが第1現場であったことが分かります。
先ほどの交差点から第1現場まで2分で到着しました。事件当日はもっと早く到着していたかもしれません。この時間がいかに短いか、実際に来てみるとよく分かります。まさに「答えに迷ったら、現場に戻れ」ですね。
三億円を奪った犯人はどこへ向かったのか?
さて、話を事件に戻しましょう。第1現場を去ったあと、犯人はどこへ向かったのでしょうか。
9時44分、事件発生からおよそ14分後。警視庁は緊急配備を指令。都内主要道路900余カ所に検問を設けます。検問の対象は黒塗りのセドリック。現金輸送車だけが対象となりました。
10時18分、駐在所の巡査長が現金輸送車を発見します(以下、この場所を第2現場と呼びます)。第1現場からは1キロほど。雑木林や雑草に囲まれた人けのない場所です。犯人があらかじめ、第2現場に別の車を用意し、3億円が入ったジュラルミンケースを積み替えて逃走したことは疑う余地はありませんでした。
事件発生から4時間後、現場を通学路としている高校生の届け出により、第2現場にあらかじめ用意してあった自動車の車種が判明します。高校生は自動車に興味を持っていたため「68年型カローラ・デラックスで、色はゼウスブルー(濃紺色)。4ドアはちょっと珍しいかなと思いました」とはっきりと覚えていました。この自動車のナンバーが「多摩5 ろ 3519」。のちに“多摩五郎”と呼ばれるようになります。
第2現場に、まさか!犯人が……!?
第1現場からおよそ4分、第2現場へ到着しました。タクシーの安全運転でもわずか4分ですから、事件発生から14分後に緊急配備をしたところで、犯人は捕まえられなかったことがよく分かります。
当時は雑木林でしたが、現在は公園として整備されています。山口運転手が「現金輸送車が乗り捨てられていた場所はここです。」と案内してくれました。解説していたそのとき、山口運転手が、茂みの向こうになにやら怪しい人物を発見します。
「やい、貴様、犯人だろ!ここで何をしている!」
うおおお。犯人がいるぞー! 察しの良い読者の皆さんならお分かりのはず。この犯人は三和交通のサプライズ。ドライバーさんが犯人役としてこの公園で待っていてくれたのです。
ツアーでは記念撮影にも気軽に応じてくれます。「犯人を捕まえたぞー!」のショットや、「一緒に白バイに乗るショット」など、あらゆるリクエストに応えてくれました。調子乗って、ガンガン撮ってきましたぜー。
衣装や白バイは手作りだそう。犯行に使われた白バイはヤマハスポーツ350RI(本物の白バイはホンダ製)を白くスプレーペイントしたもので、白く塗られたクッキー缶やトランジスタメガホンが取り付けられていました。三和交通製白バイはというと、ちゃんとヤマハをベースにして制作、スピーカーは植木鉢、荷台には白く塗られたクッキー缶が乗せられていてと、なかなかの再現度でした。
第2現場から先の犯人の足取りは分かっていません。この周辺は、道路も狭く迷路のようになっています。さらに歩行者や飛び出してくる車が多いので運転も慎重になります。地元の人でなければ、迷ってしまうような道だと言います。
現在は舗装されていますが、事件当時は砂利道だったそうです。ただ、現在でも未舗装路が残っている箇所があり、ツアーでも未舗装路の走行を体験できます。ガタガタガタガタ。こんな道を走って逃げたのか……。3億円を奪い取ることに成功し、悪路を土砂降りの雨の中逃走する犯人の心境はどのようなものだったのでしょうか。
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