インタビュー
» 2018年12月04日 20時00分 公開

2018年は「百合の多様性の時代」 『裏世界ピクニック』宮澤伊織×「最悪にも程がある」いとうに聞く、激動する百合の現在地(2/3 ページ)

[青柳美帆子,ねとらぼ]

――最初にいとうさんは「多様性の時代」と言っていましたが、近年話題になる作品は、必ずしも百合レーベルから出ているわけではないように思います。

いとう そうですね。数年前は、その年に出ている百合作品や百合要素のある作品全てに触れることも可能だったと思うんです。でも今はもう追い切れないくらい増えましたよね。もちろん二次創作も無視できないから、もはや網羅は難しい……。

宮澤 映画「リズと青い鳥」(2018)は、百合好きな人にも百合を知らない人にも刺さった作品でしたね。これほどまでに緊張感のある関係性を描いた作品はなかなかなかった。ツイッターで一日中「リズ青」を語っている男が友人にいるのですが、彼に言わせると、あの映画は格ゲーマーのような、1フレーム単位の読みあいだと。僕は「ボーダーライン(2015)のサントラは百合」と言い続けているのですが、つまり「リズと青い鳥」の劇伴として違和感がないくらい緊張感がある音楽というのは、百合なんです。件の友人によると「ダンケルク」(2017)の無限音階サントラも「リズ青」に合うので実質百合ですね。

百合トーク すさまじい緊張感があった映画「リズと青い鳥」
百合トーク 緊張感という意味で、「ボーダーライン」のサントラも百合

いとう 「リズ青」を劇場で数十回見た知り合いがいるのですが、「のぞみぞ(希美とみぞれ)の将来を信じられるかどうかで、今日の自分の体調の良しあしがわかる」と言っていました。私は最初に見に行ったときに「どんなホラー映画よりも怖い」と思ってなるべく語らないようにしていたのですが、つい友達と語り始めたら止まらなくなって、ファミレスで低血糖になりました。

宮澤 僕は「百合で人間になった」なんて言って、「個人と個人の感情」を息も絶え絶えになりながらやっているわけですが、「リズ青」や「響け! ユーフォニアム」を見ると、最初から吹奏楽を通して「社会」をやっているんですよ……。

いとう 「女と女」の次は「社会」……。たくさんの作品が土を豊かにして、百合の枠組みが広がっていく中で、さまざまなジャンルで「俺は百合をやるぜ」と種をまいている人が生まれている気配を感じます。「リズと青い鳥」もそうですし、今アニメが放映中の『やがて君になる』もきっとそう。宮澤先生だって、デビュー時はここまでの百合の気配はなくて、ハヤカワという一般レーベルの中で「百合をやるぞ!」と立ち上がったわけじゃないですか。

担当: ハヤカワでは間口を広げるためにも、あまり帯や書店向けの惹句で「百合」と大上段には銘打たないようにはしているんですけどね。「是百合!!」と発信するのはネット上の宮澤さん自身のインタビュー記事や、Twitterでの宣伝などに留めています。これもまた状況次第で変わっていくことだと思いますが。

宮澤 それでいいと思います。ただ、いまのハヤカワには草野原々さんのように百合のムーブメントをぶちあげる人も出てきていて、誰かが呼応するべきではないかと思ったのもあって、「俺もいるぞ!」と名乗りを返しているところもあります。

百合トーク 「ラブライブ!」の百合二次創作を改稿しデビューした草野原々さん。自他ともに認める百合好きとして知られている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2110/20/news075.jpg 「シーンとなった球場に俺の歌声がして……」 上地雄輔、後輩・松坂大輔の引退試合で“まさかのサプライズ”に感激
  2. /nl/articles/2110/19/news191.jpg 【その視点はなかった】古参オタクがネタバレしないのは、優しさではなく単に「初見にしか出せない悲鳴」を聞くために生かしているだけなのでは説
  3. /nl/articles/2110/19/news190.jpg 亀田家の末っ子が「ずっとしたかった鼻整形」公表 「パパは了承すみ?」と父・史郎を気にかける声殺到
  4. /nl/articles/2110/20/news101.jpg 中尾明慶、“新しい家族”の誕生にもう「超カワイイ」 6万円超の赤ちゃんグッズ代にも満面の笑顔 「喜んでくれたらいい」
  5. /nl/articles/2110/20/news089.jpg 保田圭、転倒事故で“目元に大きな傷”を負う 「転んだ時に手をつけなかった」痛々しい姿に心配の声
  6. /nl/articles/2110/19/news043.jpg 「学校であったつらいこと」を市役所に相談したら対応してくれた――寝屋川市のいじめ対策が話題、監察課に話を聞いた
  7. /nl/articles/2110/20/news081.jpg 篠田麻里子、前田敦子とともに板野友美の出産祝い 赤ちゃん抱っこし「こんな小さかったっけ〜ってもう懐かしい」
  8. /nl/articles/2110/19/news188.jpg ポンと押すだけで転売対策できる“転売防止はんこ”登場 「転売防止に役立つハンコは作れませんか?」の声から商品化
  9. /nl/articles/2110/18/news113.jpg 「ちびちゃん自分で書いたの?」 賀来賢人、“HAPPY”全開なイラストへ反響「愛情かけて育てているのが伝わります」
  10. /nl/articles/2110/19/news139.jpg 梅宮アンナ、父・辰夫さんの“黒塗り看板”が1日で白塗りに 今後の対応は「弁護士を入れて双方話し合い」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 葉月里緒奈、美人な元マネジャーと“再会2ショット” 「共演した俳優さん達は私ではなく彼女を口説いてました」
  2. docomo×進撃の巨人キャンペーンの商品「リヴァイ兵長フィギュア」が悲惨な出来だと話題に → 公式が謝罪「対応方法を検討しております」
  3. 有吉弘行、妻・夏目三久との“イラストショット”を公開 蛭子能収からのプレゼントに「下書きも消さずにうれしい!!」
  4. 「印象が全然違う!」「ほんとに同じ人なの!?」 会社の女性に勧められてヘアカットした男性のビフォーアフター動画に反響
  5. 梅宮アンナ、父・辰夫さんの看板が黒塗りされ悲しみ 敬意感じられない対応に「残酷で、余りにも酷い行為」
  6. 子猫が、生まれたての“人間の妹”と初対面して…… 見守るように寄り添う姿がキュン死するほどかわいい
  7. 工藤静香、バブルの香り漂う33年前の“イケイケショット” ファンからは「娘さんそっくり」「ココちゃん似てる」
  8. 板野友美、エコー写真とそっくりな娘の顔出しショットを公開 ぱっちり目の美形な姿に「こんな美人な赤ちゃん初めて見た」
  9. 後藤晴菜アナ、三竿健斗との2ショット写真で結婚を報告 フジ木村拓也アナ、鷲見玲奈アナからも祝福のコメント
  10. 「とりあえず1000個買います」 水嶋ヒロ、妻・絢香仕様の“白い恋人”に財布の紐が緩みまくる