連載
» 2018年12月14日 23時00分 公開

深夜、合宿の布団の中 2人きりだったら我慢できてた? 「やがて君になる」11話(1/2 ページ)

女の子たちの、欲を耐えるお風呂回。

[たまごまご,ねとらぼ]

やがて君になる (C)2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

 人を好きになるって、なんだかとっても難しい。「やがて君になる」(原作アニメは、思春期に体験する「止められない恋」と「恋がわからない」気持ちを繊細に描いた作品。しっかり者なのに好きな人に甘えてしまう先輩と、人を好きになれない後輩の、ちょっぴり厄介なガールズラブストーリー。


やがて君になる


今までのあらすじ

 高校一年生の小糸侑(ゆう)と、二年生の七海燈子。クールで優等生な燈子は、侑のことをすっかり大好きになり、デレデレに。

 超完璧優等生に見えて、実は頑張りすぎている部分がある燈子。侑は彼女の支えになろうと考えて、生徒会を手伝うことに。

 生徒会は忙しい。燈子はテキパキ働く中、リフレッシュの相手として侑を選び続け、甘えっぱなし。激しくキスを求めたりと、暴走気味。

 もっとも侑はそれが嫌ではなかった。ただ彼女は「私を好きにならない」という燈子の願いに縛られ、自分の気持ちは押し殺し続けている。

 生徒会で劇の準備のため、合宿を行うことに。夜、3人の少女の中に葛藤が起こり始める。


さあ、お風呂の時間だ……

 合宿の夜。佐伯沙弥香は悩みます。

 沙弥香「……大浴場……私入っていいの?」


画像 欲情との戦い(4巻P94)

 沙弥香は中学生時代、先輩の女子と付き合っていたことがあります。描写されていた時点では、キスまでは確実にしている。ただ、じゃあ自分は「女性への性的な興味があるのか」といわれると、そこは「いちいちなんとも思わない」らしい。ただ、自分が恋愛感情を抱いている燈子に対しては「なんとも思わない自信はない というか思うわよそんなの絶対」

 女性同士の恋愛関係においての、触れ合いたい、性的接触をしたい、という部分にきっちり踏み込んでいるこの作品。この沙弥香の描写を含め、相手の身体を見たいという欲求決してそうであってはならないというブレーキが押し合いへし合いしています。

 結果3人でお風呂に入った際、燈子は侑のこと意識しまくりでちら見しまくり。やましい気持ちはないとか言いつつ、とても正直です。沙弥香はというと、意識はしているけれども、彼女目が悪いので……。じゃあ侑は?


画像 押し殺すのが得意になってしまった(4巻P97)

 他人から見ると「合宿とかで慣れているから大胆だし、全然意識していない子」という風に見えています。湯船につかっている時堂々と胸を見せており、燈子の性的視線は気にしていない様子。実際慣れているのもあるようですが、どうもそれだけではなさそう。

 今まで侑はずっと燈子に対し「好きでも嫌いでもない」を演じ貫いてきました。自分の気持ちに蓋をして、「なんともない」と封じ込めてきました。今回も同様で、気になる/ならない以前の部分で意識をカットしています。

 そして夜寝る時。3人の思いは暗闇の中でさらに悶々としていきます。


画像 燈子は侑に、今までいろいろいたしてたからなあ(4巻P104〜105)

 3人同じ部屋に寝ており、3人とも似たようなことを考えています。

 2人きりだったら我慢できたのだろうか

 燈子は今までも散々侑に抱きついてキスしまくり甘えまくりだったので、さらに勢いで一歩踏み出しかねないのは大いにわかる。というか今までの感じだとまず無理だよね。本人は、もし見えていたら「我慢できなくなっちゃいそう」と正直。

 沙弥香はかなり複雑です。燈子に触れたいという思いは募るばかり。しかし手を伸ばしたら、そこで「親友」関係は終わってしまう。2人きりで我慢できなくなってしまったら最後、何もかも失ってしまう。

 侑は、自分から触れるという選択肢はそもそもなし。彼女の頭に浮かぶ「触れるか触れないか」に、主語がないのが気になります。どっちがだろう? もし2人きりで、燈子が触れてきたら彼女は拒むのか……は、3人だから考えるまでもなし。2人だったら考えてますね。

 全員「三人でよかった」

 ちょっと笑えるシーン。同時に、誰一人心と身体が幸せになる恋愛をしていないんだなあと、痛感させられてしまいます。


君は姉には似ていない

 市民劇団に所属している市ヶ谷知雪がやってきたことは、燈子の大きな転機になります。彼は燈子の亡くなった姉、と一緒に生徒会にいたOBです。

 燈子から見た姉は、完璧な人だった。じゃあ学校ではどう見られていたんだろう。


画像 私の知っている姉と違う(4巻P122)

 知雪から見た燈子の姉は、完璧からかけ離れた人でした。のんきで、そんなに働かず、おいしいところだけ持っていく。夏休みの課題も1人でできず、周りを振り回してばかり。全然優等生じゃない。なのにみんながつい好きになってしまう。

 燈子は、完璧優等生な姉が好かれていたと信じて、亡くなった姉に自分がなれるように、ひたすら頑張っていました。でも好かれていたのは全然別の、自分の知らない姉の方


画像 今まで追ってきたものってなんなの?(4巻P124)

 ここでの知雪の発言は、どちらかというと褒め言葉です。ぐうたらな姉と違って、頑張り屋で大したもんだね、と。しかし燈子にとっては、目標を喪失させる発言になってしまいます。

 タイトルである「やがて君になる」という言葉の意味を考えさせる1つの大きな出来事です。自分とはなんなのか、周りから見られている人格とはなんなのか。人間の多面性に気付かされた時、自分は誰になるのか?

 今回、燈子はその混乱を沙弥香に相談しました。そして侑には相談していません。ここは燈子のややこしい心理。


画像 甘えるのが怖くなる(4巻P127)

 燈子「甘えてしまいたい だけどどこまで許されるんだろう その優しさを使い尽くしてしまうのが怖い」

 人に感情をあらわにせず、隠してきた彼女ならではの悩み。このモノローグを見るとわかるように、本心は「甘えたい」。侑は今までずっと、甘えてきた燈子を拒否したことはない。侑は燈子の機微をよく汲み取る子なので、何かあったのは気付いている様子。でも言ってくれないことに、モヤモヤを感じます。


画像 合宿の夜は更けていく(4巻P134)

 沙弥香と燈子の様子を、遠くから見守る侑。ものすごく複雑な顔をしています。モノローグもないので、何を感じているかは今はわからない。ただの心配にはちょっと見えない(全編を通して、侑の読めない絶妙な表情描写は、この作品のすさまじいところ)。

 もっとも、この状態は今は適材適所に見えます。別に沙弥香は「侑の代わり」というわけじゃなく、ちゃんと信頼関係を築いてきた親友だから相談しているわけですし。一方で侑の優しさゲージを使い切ったら嫌われちゃうから取っておこう、みたいな感覚でしょうか。

 でも「優しさ」って、減るものじゃないんだけれどもね。侑にだって感情はあるのだから。侑自身も、見ないようにしてきた思いが、少しずつ隠しきれなくなってきました。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2110/27/news100.jpg 戸田恵梨香、水川あさみと同様に長文公開 「私を追いかけて、どうか車の事故を起こさぬようお気をつけください」
  2. /nl/articles/2110/27/news095.jpg 水川あさみ、週刊誌に対して怒りの反論 「事実無根だと言っても強行突破で発売」「かなり目に余るものがあります」
  3. /nl/articles/1904/10/news098.jpg 賀来賢人、“フライデー被害風”写真が超リアル! 「本当にそろそろやめてね」と写真週刊誌への本音も
  4. /nl/articles/2110/25/news149.jpg 「くそが……!」 最上もが、奮発した「Uber Eats」の対応に怒り爆発 1400円ステーキの“中身”に「絶望」「もう頼まねえ」
  5. /nl/articles/2110/27/news109.jpg 「納言」 薄幸、テレ朝で警備員からまさかのシャットアウト “牢獄みたいな薄暗い部屋”へ閉じ込められる事態に
  6. /nl/articles/2110/27/news025.jpg 猫よけをびっちり置いた結果……子猫が!? ちんまりくつろぐ姿に「仲間がいた」「何やっても人間の負け」と爆笑
  7. /nl/articles/2110/26/news040.jpg ニトリで猫用ベッドを購入→「大変気に入ってるようです」 笑撃のオチに「そっちだよね」「猫あるある〜」の声
  8. /nl/articles/2101/23/news043.jpg 水川あさみ、5キロ増の“愛しきぜい肉”ショットが女優の勲章 「リアルお母さん体型」「気取らないとこが素敵」と反響
  9. /nl/articles/2110/20/news052.jpg 「PS5購入者は箱に名前を書いてもらう」ノジマはなぜ転売ヤーを許さないのか? 苛烈な転売対策の背景を担当者に聞いた
  10. /nl/articles/2110/26/news181.jpg 「学校へ行こう!」出演のパークマンサー、V6へ感謝のメッセージ 「ホントにホントにありがと言っちゃうアホだよ」

先週の総合アクセスTOP10

  1. 「くそが……!」 最上もが、奮発した「Uber Eats」の対応に怒り爆発 1400円ステーキの“中身”に「絶望」「もう頼まねえ」
  2. 伊藤かずえ、13年間ともにした愛車とお別れ 総走行距離は14万キロ超で「今まで本当に有り難う」と感謝
  3. 庄司智春、愛車ダッジ・チャレンジャーが廃車に ガソリンスタンドで炎上、ボンネットから発煙し「やばい」
  4. 山本美月、ウエディングドレス姿がまるで「妖精」 母親のドレスをリメイクし背中に“羽”
  5. 「シーンとなった球場に俺の歌声がして……」 上地雄輔、後輩・松坂大輔の引退試合で“まさかのサプライズ”に感激
  6. シャンプーしたての柴犬に、猫がクンクン近づいて…… 何年たっても仲の良い姿に心がほかほか癒やされる
  7. ニトリで猫用ベッドを購入→「大変気に入ってるようです」 笑撃のオチに「そっちだよね」「猫あるある〜」の声
  8. じゃれ合う保護子猫たち、1匹が逃げ込んだのはまさかの…… ダッシュする姿に「一番安心だと知ってる」「爆笑した」の声
  9. 元SKE石田安奈、第1子出産後のぽっこりおなかに驚愕 産んだらへこむと思っていたのに「もう1人いるの!?」
  10. 産み捨てられた未熟児の子猫を保護、生死をさまよったが…… すくすく育った1カ月後のビフォーアフターに涙