コラム
» 2019年01月26日 11時00分 公開

「ゆっくりしていってね!!!」の声はどうやって生まれたのか 開発者が語る“起業エンジニアの生存戦略” (3/3)

[ねとらぼ]
前のページへ 1|2|3       

ゆっくりボイスが10年以上変わらないワケ

―― AquesTalkが目指しているのは「人間“らしくないけど”聞きやすい声」とは、どういうものなのでしょうか?

 最近、キーワードだと思っているのは「慣れ」ですね。

 活字からヒントを得ようと研究していた時期があるのですが、明朝体とかって手書きではあり得ない形をしていて、人間らしくないですよね。私たちは普段から見ているから特に読みにくいと思いませんが、初めて見た人はきっと違和感を覚えたと思うんです。

―― 「手書きの文字しか見たことない人が、生まれて初めて活字を見た」という状況ですか。

 慣れてしまうと、違和感が消える。それどころか、美しさを感じることさえある。人間はそういう“適応能力”がかなり高いんじゃないか、と思っています。

 自分で合成音声のチューニングをしているときもすぐに耳が慣れちゃって、1週間くらい空けてから自分が作った音声を聞くと「なんじゃこりゃ!」となるんですよ。

 例えば、ゆっくりボイスは、聞いた瞬間に「人間ではない」と分かる機械らしい音声だと思うんですが、ゆっくり系の動画制作者さんのように長時間聞いていると、特に違和感も覚えず、むしろ聞きやすく感じるという可能性は十分あると思います。

―― あの“味がある声”が、気に入っている人は少なくないでしょうね。ずっと同じ声が使われていますから。

 AquesTalk自体は進化しているんですけどね(笑)。ゆっくりボイスといわれているのは「AquesTalk1」。その後、「2」「10」と出していて、音声合成のアルゴリズムから別物です。

―― あれ、動画を見る限り、声が変わっていないような気がしたんですが……。

 動画制作に使われるSofTalkなどのソフトは、最新のAquesTalk10に対応してくれているのですが、制作者さんたちは10年以上前からある「1」を使い続けているんです。「サザエさん」の声優のように、声とキャラクターのイメージが定着していて、新しいものを取り入れる理由が特にないのかもしれません。


キャラ数が1人増えてますが、声は変わらず


イラストは異なるテイストですが、声はやっぱり同じ

―― これもまた人間の“適応能力”なのかなあ……。

 旧エンジンとの継続性を意識して開発していますし、私としては新しいものを使ってもらえるとうれしいんですが……なかなか難しいところですね。

―― 動画視聴者には気付きにくいですが、バージョンアップが続いているAquesTalk。今後も開発を続ける予定ですか?

 聞きやすくて、機械らしい合成音声の追求はライフワークだと思っています。いつできるのかは分かりませんが、それこそ“ゆっくり”やっていけばいいかな、と。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10

  1. 「訃報」「愛猫」「手風琴」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
  2. 嫌がらせ急ブレーキで追突 トラクターの進路を妨害した「あおり運転」ベンツ、ぶつけられたと運転手がブチギレ
  3. 猫「雪なんてへっちゃらニャー!」 雪の中を豪快に突き進む猫ちゃんに「ラッセル車みたい」「ワイルドかわいい」の声
  4. 「Lチキひとつ」 → 買った物をよくみると? コンビニで犯したありがちな間違いを描いた4コマに「あるある」「逆もある」
  5. 柴犬「きゃほほーーい!!」 初めての雪に“喜びが限界突破した”ワンコの駆け回る姿がかわいい
  6. 「ホント太るのって簡単!」「あっという間に70キロ」 内山信二の妻、夫に生活リズムを合わせた“ふとっちょ時代”公開
  7. ルーフから赤色灯がひょっこり 埼玉県警、スバル「WRX S4」覆面パトカー3台を追加導入!? Twitterにアップされた目撃情報が話題に
  8. 益若つばさ、YouTubeで12歳息子と共演 礼儀正しい振る舞いに「教育がちゃんとされてる」
  9. トップの座を奪われ……美大生が天才の編入生を刺し“殺す”漫画に「泣きそう」「同じ経験した」の声
  10. タイからバズーカ砲をかかかえたようなミニバイク「GUNNER50」が日本上陸 思わずキュンと来ちゃうやばいデザイン