女子高生と罠! 野生の動物捕まえる異色漫画『罠ガール』が異例のヒット(1/2 ページ)

罠とガールが出会った。

» 2019年02月02日 21時00分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 田舎に住む女子高生たちが「罠(わな)」を駆使して野生の動物を捕まえる異色の漫画、『罠ガール』(電撃コミックスNEXT)が2巻時点で発行10万部を突破するスマッシュヒットとなっています。作者は実家が農家で、自身も罠猟免許を持つ緑山のぶひろさん。

 大人顔負けの罠を仕掛けるちーちゃん(朝比奈千代丸)と、畑仕事を始めて3カ月という幼馴染のレモン(昼間レモン)。作中第1話では畑のほうれん草が荒らされ困り果てるレモンと、泣きつかれて渋々犯人のイノシシ退治を引き受けるちーちゃんのお話が描かれます。


罠ガール しっかりもののちーちゃん
罠ガール 畑仕事歴3カ月のレモン

 イノシシには多少お金をかければ専用の“箱罠”などで対抗できますが、それは高校生のお小遣いではなかなか手の届かないシロモノ。そこでちーちゃんは、「自分もまだ素人」と謙遜しつつも、お手製の罠を作っていきます。材料はワイヤー、バネ、パイプキャップ、締付金具など、どれも手近にそろえられるもの。これらを組み合わせて、手製の“くくり罠”を作っていきます。これでイノシシが罠を踏めば、ギュっと足を捉え、逃げられなくなるという寸法です。


罠ガール お小遣いで買えない
罠ガール お手製の罠を作っていきます
罠ガール ひゃあああああ!

 「へぇー」と感心するレモンをよそに、手際よく罠を作り終えたちーちゃん。次はイノシシの居場所に見当をつけるため、“獣道”をたどりつつ罠の設置場所を吟味していきます。道中「どうしたの? 罠仕掛けないの?」と不思議がるレモンと、「ここはシカしか通ってないかも イノシシの足跡が見当たらない…」と、イノシシがいつも同じ道を通る習性を説明するちーちゃん。読んでいると読者まで自然と罠に詳しくなってくる親切設計になっています。

 「ちなみにレモンが今踏んでる丸い黒いのがシカの糞な」「ギャー」といった他愛ない会話も交えつつ、ついにイノシシがいそうなスポットを発見。丈夫な木にワイヤーをしっかりとむすびつけると、罠を地中に隠し、怪しまれないように土や葉でしっかりとカモフラージュ。


罠ガール 獣道の足跡をつぶさに観察

罠ガール 罠を設置したら不自然にならないようカモフラージュも忘れずに

 これで一件落着か――と思いきやそうともいかず。なかなか罠にかかってくれないイノシシになんとか対抗しようと、畑の横にテントを張って夜営をしてみたりと空回りもしつつ(仮に畑でイノシシと遭遇できても対抗手段がない……!)、5日目にしてようやく罠が動作した痕跡を見つけます。


罠ガール 「新しい鍬(くわ)」に全力で釣られるちーちゃん

罠ガール 木の根元が荒らされている……?

 ところが、罠のワイヤーをくくりつけた木の周囲にはイノシシが荒らしたとみられる痕が円状に広がっているものの、肝心のイノシシはどこにも見当たりません。棍棒(こんぼう)を手に、用心しながら木に近づいてみると――。

 「フゴッ……」と、木の死角に潜んでいたイノシシがちーちゃんめがけて突進! とっさのことに凍りつき、尻もちをつくちーちゃんですが、「(ガキン)」っと罠が動作して、イノシシはすんでのところで動きを封じられます。まさに間一髪でした。


罠ガール

罠ガール 野生の動物の迫力

 イノシシを捕まえた後も、お話は極めてシビア。畑に被害が出ている以上、イノシシは自分たちで“仕留め”なければなりません。罠はイノシシを飼うために仕掛けたわけではない――そう心を鬼にして、ちーちゃんは棍棒に「ぐっ」と力を入れます。なるべく苦しませずにイノシシを仕留めると、血抜き作業までを一気にこなしていきます。レモンも一緒に見届けて、最後は役所の人にイノシシを引き渡し、やっと一段落。イノシシはその後、イノシシ肉がほしい猟師やジビエ肉加工場の元へと運ばれていきます。


罠ガール これも畑を守るため……

罠ガール 役所の人に引き取ってもらいます。その後は猟師さんやジビエ肉加工場へ

 長きに渡った野生生物との戦いにもこれで終止符……というわけではなく、その数日後には「ぢーぢゃーん」と、また涙ながらに途方に暮れるレモンの姿が。今度は畑の野菜の葉がことごとくシカたちに食べられてしまったようです。「また罠で捕まえてよ〜」と泣きつくレモンに、「…そのうちな」と、なんだかんだで押しに弱いちーちゃんは答えるのでした。


罠ガール 罠ガールな日々は続く

 同作は現在、単行本3巻まで発売中。サバサバした性格と思いきや、ついレモンを助けてしまうちょっぴりお人好しなちーちゃん。そしておっとりさんに見えて、イノシシの最期を見届けるなど、どこか芯を感じさせるレモン。この2人に加え、同級生で祖父が猟師の生徒会長・夜空つむじや、本職の猟師だけど極度の人見知りな清水夏芽といった新たな仲間を巻き込みつつ、罠ガールたちのスローでハードな日々が続いています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/18/news202.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. /nl/articles/2412/20/news023.jpg 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  3. /nl/articles/2403/21/news088.jpg 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  4. /nl/articles/2412/21/news038.jpg 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  5. /nl/articles/2412/21/news088.jpg 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】
  6. /nl/articles/2412/21/news056.jpg 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  7. /nl/articles/2412/20/news096.jpg 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  8. /nl/articles/2412/18/news015.jpg 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  9. /nl/articles/2412/21/news005.jpg 藤本美貴、晩ご飯に手料理7品 多忙でも野菜とお肉たっぷりで反響 「お疲れ様です」「凄く親近感」【2024年の弁当・料理まとめ】
  10. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」