浦和にあるのに「鹿島湯」―― 「この地で一番名乗ってはいけない名前」の銭湯が話題に

ホームなのにアウェイ。

» 2019年02月06日 18時00分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 「ホームなのにアウェイ」――ある埼玉県の銭湯が、ユニークなキャッチコピーで注目を集めています。というのもこの店、浦和にあるのに名前は「鹿島湯」。浦和レッズのホームタウンで、アントラーズの「鹿島」を名乗るのは確かにアウェイだわ。


ポスター 「この地で一番名乗ってはいけない名前で、私たちは営業を続けてきました」……ああっ(ツイート投稿者提供)

 レッズとアントラーズは、ともにJリーグ発足当時からある古豪で、ホームタウンが近く、ユニフォームが赤といった共通点もあってライバル視されがち。優勝のかかった試合でぶつかることも多く、何かと因縁のある関係です。

 そんな背景をふまえて、鹿島湯はポスターで「この地で一番名乗ってはいけない名前で、私たちは営業を続けてきました」とコメント。そのせいで客が来ない時期もあったそうです。それでも60年続いている名前は大切なので、改名はしないとのこと。そしてその代わりにと、「鹿島湯は、浦和レッズを応援しています」との宣言で文章は締めくくられています。名前が鹿島なだけで、お店としては地元のレッズ推しなんですね。


キャッチ 別のポスターでは、キャッチコピー集的な演出が。「ほら、ジャイアンツファンの人だってヤクルト飲むじゃないですか」「埼スタ(埼玉スタジアム)を建てたのだって、鹿島建設さんじゃないですか」など、ユーモアたっぷり(ツイート投稿者提供)

 別のポスターでも「肩身はせまいですが、湯船はひろいです」「名前のせいで経営難」など、悲しくもおかしなキャッチコピーを掲載。このようにサッカーファンからするとややこしい事情を生んだ店名の由来は何なのか、鹿島湯の3代目に話を聞きました。

 店主が昔なじみの客から伝え聞くところでは、開業時の店周辺の地名は「鹿島台」。今はなき祖父がそれにちなんで「鹿島湯」と名付けたとのことです。つまり、鹿島アントラーズよりも前に、地名由来で付けられた店名だったわけです。なお、当時はその周辺をひっくるめて「鹿島台」と呼ぶ慣習があったそうで、実は店がある場所の正確な地名は「東台(ひがしのだい)」だったとのこと。もし「東ノ湯」などと名付けていたら、現在の事情も変わっていたでしょう。


浦和なのに鹿島湯 鹿島湯外観(公式サイトより

 ちなみに、3代目は純粋にレッズサポーター。7年前に店を継ぐ以前から、鹿島という店名には少々違和感を覚えていたそうです。それをコピーライターをしている友人へ冗談交じりに話したところ、一連のポスターを考案してくれたといいます。

 ポスターを紹介していたツイートへの反応では、キャッチコピー「埼スタ(レッズのホームスタジアム)を建てたのだって、鹿島建設さんじゃないですか」が人気に。「これを知ってもう鹿島サポーターには頭が上がらない」というレッズサポーターの声もあり、両チームの因縁など気にしない空気が流れています。


浦和なのに鹿島湯浦和なのに鹿島湯 今でも薪を使ってお湯を沸かしているそうです(写真右)(公式サイトより

浦和なのに鹿島湯浦和なのに鹿島湯 ジャグジー風呂と薬湯(公式サイトより

浦和なのに鹿島湯 子猫のころから鹿島湯で育てられているという、看板猫の琥珀(こはく)ちゃん(公式サイトより

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