マジックペン×食品でヒット 「マジックふりかけ」「マジックインキッチン」が生まれたワケ(2/2 ページ)
予想以上、そして予想外の人気
思考錯誤を経てマジックふりかけは完成し、2018年8月から販売を開始。売り上げは予想以上で、一時品切れ状態になるほど。稲本さんをはじめとしたヘソプロダクションだけでなく、内田洋行や寺西化学工業の人たちも「こんなに反響があるとは思わなかった」と喜んだそうです。一体どんな人に人気があったのでしょうか。
「SNS映えを求めたり、かわいいものをコレクションしたりしたいという女性が多いです。それからビジネスマンも多いですね。年配の方が直接ヘソプロダクションに買い求めに来たり、問い合わせを受けたりすることもありました。道頓堀にあるお土産の店では、外国人観光客に売れているんですよ。ふりかけ自体が人気みたいです」
当初は観光客向けのお土産として、関西以外に住む人の関西イメージに沿った商品作りをしていたという稲本さん。発売後は、意外な反応に驚くことになりました。
「『子どもの弁当に入れたいから、おかかとかもっと普通の味を作ってほしい』というお母さんからの要望が多かったんです。でも『お土産』という要素も外したくなかったので、『日本の味』という売り出し方にしました。そうすれば外国人観光客にも興味を持ってもらえると思ったので」
そうして登場したのが、わさび、おかか、梅しそ、だししょうゆ、ちりめん山椒、すき焼き、みその全7種類の「日本の味シリーズ」。さらに、関西だけではなく全国のご当地シリーズにも手を広げています。
「マジックシリーズ」裏話!? 世に出なかったプロトタイプも
ペンそっくりのふりかけとして登場したマジックふりかけが注目を集めた後、マジックインキのコラボシリーズ第2弾としてリリースされたのが「マジックインキッチン」でした。
マジックインキッチンは、たこ焼きや抹茶など関西のグルメ(6種類)、焼き鳥・めんたいこの博多グルメ(2種類)、計8種類の味塩が、本物の「マジックインキ 大型」と同じガラス製の容器に入っています。容器がプラスチック製のマジックふりかけとは違うのがポイントです。実は、稲本さんはマジックインキッチンの方を先に発売したかったのだとか。
「マジックインキ大型は2008年にグットデザイン賞をとっていたので、それをもっと世の中に伝えたいという気持ちが強かったですね。だから、マジックの本体を塩の容器として使いたかったのです。マジックインキ大型の容器は密封性が高く、頑丈。だから食品を入れるのに適しているのではないかと思いました」
とは言ってもマジックインキ大型の容器はもともと食品を入れるためには作られてはいないので、容器を検査する必要がありました。検査に時間がかかってしまったため、先に「マジックふりかけ」を作り、発売することになったのです。
さて、惜しくもシリーズ第1弾の座を逃してしまったマジックインキッチンですが、最初から今のような商品名ではなかったそう。
「最初は商品のデザインがひらめかずに『マジック シオ』という名前で発売しようとしていたんですよ。現在のマジックインキッチンにするまでにめちゃくちゃ悩みましたね。試作品まで『シオ』で進んでいたんだけど、ネーミングもデザインもカッコ良くないな、と思っていったん止めました。それに塩というかキッチンで使う調味量だから、なんか違うなって。マジックインキッチンという名前にたどり着くまで大分時間がかかりました」
今のネーミングは、マジックインキと「インキッチン」がかけられたもの。2018年12月に発売されてから、かわいいと人気で売れ行きも好評。今後はさらに味のバリエーションを増やしていくそうです。
「マジック」が止まらない! これからもユーモアあふれるグッズが続々
稲本さんによると、これからはふりかけや塩以外の「マジックインキ」コラボシリーズも登場するとのこと。
「『どんなものにもよく書ける』というのが『マジックインキ』の有名なキャッチコピーですが、サングラスも『かける』じゃないか! と気づいたのです。だから、『どんな時でもよくかける』っていうことでいろんな色があり、さまざまなコーディネイトが楽しめるサングラスを作りました」
サングラスの登場は3月。さらにリップティントや眉マスカラなどのコスメも今年夏に向けて開発中。
「コスメは『落ちにくい』ということをテーマに打ち出していきたいと考えています」
「マジックインキ」のエッセンスをとことん生かし、ユーモアを効かせながら展開していく「マジックシリーズ」。これからも目が離せません。
※「マジック」「マジックインキ」は内田洋行の登録商標です。「マジックふりかけ」「マジックインキッチン」シリーズは内田洋行、寺西化学工業の認定ライセンシーの商品です。
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