幼女とおっさんが妖怪を食ったり売ったりする漫画 外道が悪食するほっこり展開が新しい(1/2 ページ)

バケモノなのにおいしそう。

» 2019年02月27日 20時00分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「幼女と幼女を買ったおっさんが仕事で妖怪食う話」と題しTwitterに投稿された漫画が、ちょっとふしぎな世界観と人情味あるストーリーで人気を呼んでいます。作者は『惑星のさみだれ』『プラネット・ウィズ』などで知られる水上悟志さん。

エニグマバイキング おいしそう

 舞台は時代劇風の世界。おっさん・陣道と、幼女・みやこはバケモノを討伐しては食い、肉が人体に悪影響を及ぼさないことが確認できると好事家にその肉を売って回る「闇喰い」として生計を立てています。

 作品冒頭、山中をのっそりと二足歩行するバケモノを退治した一行は、さっそく火を起こしてお肉をいただきます。串焼き状に調理された肉は大きなきりたんぽのような見た目。バケモノを仕留めるのが陣道の役目で、最初に「毒味」をするのはみやこの役目です。


エニグマバイキング どう見てもまずそうですが

エニグマバイキング 火を通すとおいしそうかも……?

 みやこは「はぐ」っと一口。ホクホクの肉を食べる様子は実においしそうで、なんだかグルメ漫画のワンシーンのようでもあります。先ほどまで妖怪“塗壁”のような不気味さだったバケモノ肉とは思えないおいしそうな食事風景に、こちらまで一口食べてみたくなってくる……!

 みやこは一通り食べ終えると、冷静に肉の分析を始めます。刺激はなし、塩気が強く、甘みと弾力があり。歯切れも良し、総評「クセ無し 極上」――と、満面の笑み。彼女は口減らしのため売られてしまったというハードな過去を持ちますが、お腹いっぱい食べられる今の境遇を全く不幸と思っていないようです。

 うれしそうに陣道を慕うみやこに対し、陣道は「感謝するな おれは外道だ」と、毒味役として子どもを利用しているにすぎないことを言外ににじませます。でも、外道を自称するわりに、そのまなざしには保護者の温かさも宿っているような……?


エニグマバイキング 毒味が終わってはじめて肉を口にする陣道

 さて、「闇喰い」の仕事は食べたら終わりではありません。お次は食材をどのように調理すればよりおいしく食べられるかを検討しなければなりません。「揚げ」「味噌焼き……は味が濃すぎる」「蒸し料理」……と、いろいろな調理法・味付けを吟味しつつ、ついに「推奨調理法の目録」が完成。いよいよ獲物を上客の元へ持参します。


エニグマバイキング 最適な調理方法を検討する2人

エニグマバイキング ついにお客さんの下へ

 バケモノ肉を食べて回る2人が変わり者であるのと同様に、大金を払ってまでバケモノ肉を求めるお客さんもやはり変人。今回のお客は太田屋の旦那で、一級品が手に入り上機嫌です。ところが無事終わったと思えた取引の後にまさかのトラブルに発展。2人を襲う危機とは、そして陣道は本当に「外道」なのか? ――続きはぜひ漫画で確かめてみてください。


エニグマバイキングエニグマバイキング 終盤は思わぬ展開に……!

 同作はもともと水上さんの短編集『放浪世界』に収録されている一編で、元タイトルは「エニグマバイキング」。単行本の作者コメントによると、作品誕生のきっかけとなったのは元アシスタントの石坂ケンタさんがグルメ漫画に挑戦すると知ったこと。石坂さんが専門外のジャンルに挑戦している気概に刺激を受けて、自分も描けるか挑戦してみたのだそうです。

 グルメ漫画という題材をこんな捻った話に昇華してしまうのがなんだか水上先生らしい……! ちなみに「闇喰い」とは連載作品『戦国妖狐』の初期の設定を発展させてみた形でもあるそうです。


商業作品をTwitterに投稿する是非

 Twitterに投稿された「エニグマバイキング」は4万RT、10万いいねを超える人気に。水上さんは商業作品が作家本人のツイートにより話題になる事例が目立つ昨今の状況について、「マンガに限ったことじゃないだろうけど、宣伝力が企業から作家個人に移りつつある」とも述懐。

 また、後日別の作品をTwitterに投稿した際には、「※商業読切再掲 既刊宣伝アリ」との注意書き付きでツイート。注意書きは、作家がTwitterで商業作品を宣伝する是非について議論が盛り上がっていたことを意識したものと思われ、水上さんは「商業再掲と宣伝アリの一言が無ければもっとRTされてた気がする。だがそれを抜くのは果たして卑怯(ひきょう)なだまし討ちなのかどうか」とも投げかけています。



 一連のツイート後、『放浪世界』は「Kindleのランキングが変動してたので結構買っていただけてるぽい」とのこと。また、注意書き付きで投稿された「狐耳少女が悪漢に追われてたら人間嫌いの少年仙道に助られてなんだかんだでチューして変身する話(原題:妖狐小歌)」も4500RT、8900いいねを獲得し、Kindleランキングでジャンプアップが確認できたとのことです。



「エニグマバイキング」を一気読み


エニグマバイキング

エニグマバイキング

エニグマバイキング

エニグマバイキング

エニグマバイキング

エニグマバイキング
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/17/news077.jpg “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  2. /nl/articles/2502/16/news087.jpg 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
  3. /nl/articles/2502/17/news125.jpg 2020年から脳出血で療養中の俳優、近影にファン感動 「だんだんと顔が……」「大集合してる!」
  4. /nl/articles/2502/16/news086.jpg 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  5. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  6. /nl/articles/2502/17/news034.jpg 自然発火する危険な合金を液体窒素に入れたら…… 衝撃のラストが1600万再生 「狂ってる」【海外】
  7. /nl/articles/2502/17/news061.jpg ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  8. /nl/articles/2502/16/news009.jpg 「これすごい」 飛行機のエコノミークラスに搭乗→“まさかの機内食”に思わず二度見 投稿者に話を聞いた
  9. /nl/articles/2502/16/news028.jpg 山奥にあるゴミだらけの“ボロボロ廃墟”→2年間コツコツ片付けたら…… まさかの激変ぶりが50万再生「いやぁ〜すごい」
  10. /nl/articles/2502/16/news088.jpg 16歳で結婚&出産  今日好き“しゅんまや”が約5年で離婚発表に衝撃の声続々 「信じられない……」「子どもは大丈夫?」
先週の総合アクセスTOP10
  1. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  2. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  3. 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
  4. リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
  5. 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
  6. “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
  7. 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
  8. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
  9. ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
  10. 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議