「デレステ」新アイドル実装でなぜPたちは荒れたのか:モバクソ畑でつかまえて
「欲しいモノが簡単に手に入ったら、つまらないでしょ?」というセリフも火に油を注ぐ形に……。【訂正】
スマートフォン用ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」に先日実装された、新アイドルの黒埼ちとせ&白雪千夜。通常、新キャラクターの実装といえばどんなゲームでも盛り上がるものですが、この2人の場合、ちょっと違った盛り上がり方をしていました。一言でいうと“荒れた”のです。
なぜ新キャラ実装で「デレステ」プレイヤーたちは荒れたのか。モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、モバゲー版「アイドルマスター シンデレラガールズ」のころから同シリーズを追いかけている、「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに振り返ってもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
「いきなりボイス付き」が招いた不公平感
去る2月末、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以降デレステ)にて、あるイベントが始まりました。形式はいつも通りのイベントだったのですが、そこには大きな違いがありました。
いつもなら「新アイドルユニット」といわれると、既存のアイドルの新たな組み合わせを見せてくれるのがデレステのパターンなのですが、今回は驚くべきことに新アイドルが2人(黒埼ちとせ・白雪千夜)。これを受けてプロデューサーたちは大騒ぎになりました。この2人のアイドルの実装がなぜそのような大騒ぎを引き起こしたのでしょうか。
「デレステ」には多くのアイドルが存在しています。その数は上記の2人を含め185人。ですが、そのうち声がついているアイドルは80人。残りの100人オーバーは、ボイス実装の待ち行列に並んでいる状態です。年10人実装されたとしてもあと10年かかるわけですが、2018年のボイス実装は4人にとどまっています。
ボイスの実装ですが、シンデレラガールズ選抜総選挙というゲーム内での人気投票で票を集め、上位に入賞することで勝ち取ることも可能です。ゆえにこの投票に対する選挙活動は結構ガチ目に行われております。もちろん、シンデレラガールズに選ばれるというのが第一目標なわけですが、その脇で「声のついていないアイドルに声を!」と動く人たちもいるわけです。選挙活動の変わり種と言えば、票を集めるためにVTuberになってしまった人もいるほどです。
そんな中に突然「ボイス付き」で2人は現れました。さらにユニットというコンビでの登場、専用のイベントストーリー付き、そして2人の新曲付きです。ここまでてんこ盛り状態でやってきた新アイドルははじめてではないでしょうか。ただし、問題はこれだけではなかったのです。イベント開始後、さらに火種がまかれました。サービスとばかりに新キャラである黒埼ちとせと白雪千夜の2人が配布されたのですが、ここでちとせのセリフに引っ掛かった人がいたのです。
「欲しいモノが簡単に手に入ったら、つまらないでしょ?」――最初から欲しいものを手に入れている存在がそのようなセリフを言うことを、挑発と受け取る人たちまでいる始末。それを不満に思ってブチキレても担当アイドルに声がつくわけではないというのは分かっていても、言わずにはいられなかったのでしょう。
イベントを進めるにつれて見方が変わっていった人も
ですが、日がたつにつれ意見の方向性は変わっていきました。私もイベントを進めていくに連れ、このキャラクターたちへの印象が変わっていった一人です。
お嬢様の黒埼ちとせと、そのお嬢様にお仕えするという白雪千夜。そんな2人をユニットとしてプロデュースすることになるのですが、こちらを翻弄(ほんろう)するような物言いだったちとせと、あからさまにやる気がなかった千夜、それぞれの理由が判明してきます。
ちとせはあくまでもマイペースではありますが、病弱な我が身を理解しており、それゆえに千夜がいつまでも自分と一緒にはいられないのではないかと考え、彼女自身に生きる目的を与えようとしています。千夜は千夜で、家族を失いちとせに引き取られた過去から、自分には価値がないと考えており、そんな彼女をなんとかしたいというのがちとせの考えであり、その考えをくんだ千夜はアイドルとしての活動に真摯に向き合っていくことになるというのがイベントのメインストーリーです。
プレイ後に評価が変わった人の中には、こんなシナリオとキャラクターが好きな人も多かったのではないでしょうか。特に人気が高かったのは千夜の方で、口は悪いのですが好感度が上がっていくに連れ、なんだかんだでこちらの仕事ぶりを評価していく。Nアイドルの段階では「お前の仕事でお嬢様が喜んでくれたからそれでいい」という態度なのですが、イベントの報酬でもらえるSRになるとこれはいわゆるツンデレと言う奴では? という気分になってきます。キャラクターの性格やシナリオの流れを考えると、一昔前の泣きゲーをプレイしているような気分になるシナリオでした。
とはいえ、アイドルとプロデューサーの話としてはしっかりアイマス。一人のアイドルと向き合う話ではなく、2人のアイドルと同時に向き合うというところが面白い、良いお話だったと思います。最後にアイドルは楽しいという千夜も含め、ベッタベタなオチはむしろそうじゃなければいけない、という気分でした。
劇中でちょいちょいメタな会話が挟まるところが興ざめという人もいたようですが、そもそもゲーム的には部屋に入れて不思議なお菓子を食わせれば好感度がマックスになるゲームです。その辺は割り切っていきましょう。
なお「百合もの」としてはどうだったかといわれると若干微妙と言わざるを得ません。お話のテーマが「完成したものを変化させる」な関係上、できあがった2人をプロデューサーがこねくり回す話になっているためです。私がまだ話をあまり進めていなかったころ、Twitter上で「この2人は別れるところから話が始まるのでは」と言っている人がいらっしゃいまして「おいおい百合カプを別れさせるとか新しい性癖に目覚めたプロデューサーがでちゃったよ」と思っていたのですが、実際プレイしてみると「2人セットと言う状態を停滞と捉えた片割れが、もう片割れにも変化を求め、そのために外部の力としてプロデューサーである自分を使った」というお話なので、その意見にも納得させられてしまいました。
「デレマス」の3人と比べて何がいけなかったのか
ただちとせと千夜は、彼女たちの前に本家であるモバゲーの「アイドルマスターシンデレラガールズ」(デレマス)に実装されていた3人のアイドル(辻野あかり・砂塚あきら・夢見りあむ)に比べて、爆発的な話題になっているようには思えません。
こちらの3人は声もシナリオも曲もなかった関係上、画像といくつかのセリフだけで目立たなければならなかったわけですが、逆に言えばいくつかのスクリーンショットを見るだけでキャラクターが十分理解できることになります。実際、ちとせと千代の二人は、そのスクリーンショットだけでは誤解を招いていました。デレステは終了したイベントもアイテムを使って閲覧することができますし、イベント配布のSRもいずれは入手できるようになるでしょう。ですが、一度マイナスの印象を抱いた人がそれをやってまで誤解を解くとは思えません。
いろいろな意味で初めてづくしだったデレステの新キャラ実装。これが成功だったか失敗だったかはまだ分かりませんが、この2人が今後どんな形で活躍していくのか私はとても楽しみです。
【訂正:2019年3月11日19時20分 アイドルの人数やレアリティなど一部誤りがあったため修正しました。お詫びして訂正いたします。】
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