「デレステ」新アイドル実装でなぜPたちは荒れたのかモバクソ畑でつかまえて

「欲しいモノが簡単に手に入ったら、つまらないでしょ?」というセリフも火に油を注ぐ形に……。【訂正】

» 2019年03月10日 20時15分 公開
[怪しい隣人ねとらぼ]

 スマートフォン用ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」に先日実装された、新アイドルの黒埼ちとせ白雪千夜。通常、新キャラクターの実装といえばどんなゲームでも盛り上がるものですが、この2人の場合、ちょっと違った盛り上がり方をしていました。一言でいうと“荒れた”のです。



 なぜ新キャラ実装で「デレステ」プレイヤーたちは荒れたのか。モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、モバゲー版「アイドルマスター シンデレラガールズ」のころから同シリーズを追いかけている、「怪しい隣人」@BlackHandMaiden)さんに振り返ってもらいました。


ライター:怪しい隣人

モバクソ畑でつかまえて

出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。




「いきなりボイス付き」が招いた不公平感

 去る2月末、アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ(以降デレステ)にて、あるイベントが始まりました。形式はいつも通りのイベントだったのですが、そこには大きな違いがありました。

 いつもなら「新アイドルユニット」といわれると、既存のアイドルの新たな組み合わせを見せてくれるのがデレステのパターンなのですが、今回は驚くべきことに新アイドルが2人(黒埼ちとせ白雪千夜)。これを受けてプロデューサーたちは大騒ぎになりました。この2人のアイドルの実装がなぜそのような大騒ぎを引き起こしたのでしょうか。


モバクソ畑 デレステ 新人アイドルとは思えないこの扱い

モバクソ畑 デレステ 衣装はそれっぽいものを色変えで作っています

 「デレステ」には多くのアイドルが存在しています。その数は上記の2人を含め185人。ですが、そのうち声がついているアイドルは80人。残りの100人オーバーは、ボイス実装の待ち行列に並んでいる状態です。年10人実装されたとしてもあと10年かかるわけですが、2018年のボイス実装は4人にとどまっています。

 ボイスの実装ですが、シンデレラガールズ選抜総選挙というゲーム内での人気投票で票を集め、上位に入賞することで勝ち取ることも可能です。ゆえにこの投票に対する選挙活動は結構ガチ目に行われております。もちろん、シンデレラガールズに選ばれるというのが第一目標なわけですが、その脇で「声のついていないアイドルに声を!」と動く人たちもいるわけです。選挙活動の変わり種と言えば、票を集めるためにVTuberになってしまった人もいるほどです。

 そんな中に突然「ボイス付き」で2人は現れました。さらにユニットというコンビでの登場、専用のイベントストーリー付き、そして2人の新曲付きです。ここまでてんこ盛り状態でやってきた新アイドルははじめてではないでしょうか。ただし、問題はこれだけではなかったのです。イベント開始後、さらに火種がまかれました。サービスとばかりに新キャラである黒埼ちとせと白雪千夜の2人が配布されたのですが、ここでちとせのセリフに引っ掛かった人がいたのです。


モバクソ畑 デレステ 欲しいモノが簡単に手に入ったら、つまらないでしょ? というセリフに刺激された人たちが

 「欲しいモノが簡単に手に入ったら、つまらないでしょ?」――最初から欲しいものを手に入れている存在がそのようなセリフを言うことを、挑発と受け取る人たちまでいる始末。それを不満に思ってブチキレても担当アイドルに声がつくわけではないというのは分かっていても、言わずにはいられなかったのでしょう。


イベントを進めるにつれて見方が変わっていった人も

 ですが、日がたつにつれ意見の方向性は変わっていきました。私もイベントを進めていくに連れ、このキャラクターたちへの印象が変わっていった一人です。

 お嬢様の黒埼ちとせと、そのお嬢様にお仕えするという白雪千夜。そんな2人をユニットとしてプロデュースすることになるのですが、こちらを翻弄(ほんろう)するような物言いだったちとせと、あからさまにやる気がなかった千夜、それぞれの理由が判明してきます。

 ちとせはあくまでもマイペースではありますが、病弱な我が身を理解しており、それゆえに千夜がいつまでも自分と一緒にはいられないのではないかと考え、彼女自身に生きる目的を与えようとしています。千夜は千夜で、家族を失いちとせに引き取られた過去から、自分には価値がないと考えており、そんな彼女をなんとかしたいというのがちとせの考えであり、その考えをくんだ千夜はアイドルとしての活動に真摯に向き合っていくことになるというのがイベントのメインストーリーです。


モバクソ畑 デレステ 自分に対してしか語られないお話です

モバクソ畑 デレステ こちらはモノローグなので、さらに内面のお話

 プレイ後に評価が変わった人の中には、こんなシナリオとキャラクターが好きな人も多かったのではないでしょうか。特に人気が高かったのは千夜の方で、口は悪いのですが好感度が上がっていくに連れ、なんだかんだでこちらの仕事ぶりを評価していく。Nアイドルの段階では「お前の仕事でお嬢様が喜んでくれたからそれでいい」という態度なのですが、イベントの報酬でもらえるSRになるとこれはいわゆるツンデレと言う奴では? という気分になってきます。キャラクターの性格やシナリオの流れを考えると、一昔前の泣きゲーをプレイしているような気分になるシナリオでした。


モバクソ畑 デレステ 最初はこんな感じ

モバクソ畑 デレステ SRだとこう。このセリフもデレ始めてるとも言えますが

モバクソ畑 デレステ SR+の親愛度MAXだとお褒めの言葉が

 とはいえ、アイドルとプロデューサーの話としてはしっかりアイマス。一人のアイドルと向き合う話ではなく、2人のアイドルと同時に向き合うというところが面白い、良いお話だったと思います。最後にアイドルは楽しいという千夜も含め、ベッタベタなオチはむしろそうじゃなければいけない、という気分でした。


モバクソ畑 デレステ こんな感じで……

モバクソ畑 デレステ きれいに収まります

 劇中でちょいちょいメタな会話が挟まるところが興ざめという人もいたようですが、そもそもゲーム的には部屋に入れて不思議なお菓子を食わせれば好感度がマックスになるゲームです。その辺は割り切っていきましょう。

 なお「百合もの」としてはどうだったかといわれると若干微妙と言わざるを得ません。お話のテーマが「完成したものを変化させる」な関係上、できあがった2人をプロデューサーがこねくり回す話になっているためです。私がまだ話をあまり進めていなかったころ、Twitter上で「この2人は別れるところから話が始まるのでは」と言っている人がいらっしゃいまして「おいおい百合カプを別れさせるとか新しい性癖に目覚めたプロデューサーがでちゃったよ」と思っていたのですが、実際プレイしてみると「2人セットと言う状態を停滞と捉えた片割れが、もう片割れにも変化を求め、そのために外部の力としてプロデューサーである自分を使った」というお話なので、その意見にも納得させられてしまいました。


モバクソ畑 デレステ こんな感じのシーンもあるにはあるのですが

「デレマス」の3人と比べて何がいけなかったのか

 ただちとせと千夜は、彼女たちの前に本家であるモバゲーのアイドルマスターシンデレラガールズ(デレマス)に実装されていた3人のアイドル(辻野あかり砂塚あきら夢見りあむ)に比べて、爆発的な話題になっているようには思えません。

 こちらの3人は声もシナリオも曲もなかった関係上、画像といくつかのセリフだけで目立たなければならなかったわけですが、逆に言えばいくつかのスクリーンショットを見るだけでキャラクターが十分理解できることになります。実際、ちとせと千代の二人は、そのスクリーンショットだけでは誤解を招いていました。デレステは終了したイベントもアイテムを使って閲覧することができますし、イベント配布のSRもいずれは入手できるようになるでしょう。ですが、一度マイナスの印象を抱いた人がそれをやってまで誤解を解くとは思えません。


モバクソ畑 デレステ 事実上語尾のんごだけで話題になっていた辻野あかり

モバクソ畑 デレステ ギザ歯とゲーム配信趣味とそのファッションで話題になった砂塚あきら

モバクソ畑 デレステ 独特の内向きなメンタルとビジュアルで話題の夢見りあむ。Vtuberと間違えていた人もいました

 いろいろな意味で初めてづくしだったデレステの新キャラ実装。これが成功だったか失敗だったかはまだ分かりませんが、この2人が今後どんな形で活躍していくのか私はとても楽しみです。

【訂正:2019年3月11日19時20分 アイドルの人数やレアリティなど一部誤りがあったため修正しました。お詫びして訂正いたします。】


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」