アルゴンキン、ピースナウ、プトマヨ…… ゴスロリパンクブランドは本当にV系と共に衰退したのか?(2/2 ページ)
ゴス・パンクとロリータは、どこで差がついたのか
ヴィジュアル系のファンに多い服装として、アルゴンキンなどのゴス・パンクをモチーフにしたブランドと並べて語られるのは、ロリータファッションです。アルゴンキンなどのブランドが掲載されることで知られたファッション誌「KERA(2017年休刊、現在はWebマガジンとして存続)」でも、ロリータはゴス・パンクと共に大きく取り上げられていました。
これらのファッションは発信地が原宿であったことから原宿系とも呼ばれることもあり、当時は休日ともなればその愛好家が竹下通りやラフォーレ原宿に集う姿も見られました。しかし、現在は原宿であってもこれらのファッションを身にまとった人を見るのはまれです。
そんな中、街で見る機会が減ったとはいえ、当時と大きく変わらずに続いているのが”甘ロリ”を中心としたロリータファッションのブランドです。当時KERAに掲載されていたブランドが多数なくなり、全体的に縮小しているゴス・ロリ・パンクファッションのなかで、ロリータが生き残った理由はなんなのでしょうか。
これについて、有名ロリータファッションブランドの関係者は「ブランド独自の世界観を貫いてきたためか、ブームなどは関係なく一定のファンを獲得できており、業績も極端な低迷は覚えがない」と語ります。安定した業績の理由は、一見はやり廃りのなさそうなロリータファッションですが、ロリータだけでなく一般のトレンドをブランドの世界観に落とし込んで取り入れたこと、海外ファンなど現在とは異なるターゲットを目指すなど、”新しさ”を重視したことだと考えているとのこと。
また、現在ロリータを着用している層については「『ロリータファッションが好き!』という強い気持ちなど、着用する人それぞれのさまざまな願望や憧れを詰め込んだファッションのため、ヴィジュアル系バンドやアイドルなどの他の趣味とは関係がないと思います」という分析も聞くことができました。
ロリータファッションは、もともと西洋のクラシックなものをソースに生み出された日本独自の比較的新しいファッション。そのため新しいものを取り入れるハードルが比較的低かったことが、ファンを離さず生き残ることができた大きな理由なのではないでしょうか。一方、西洋のファッションムーブメントそのものであるゴス・パンクはその成り立ちからオリジナルに近いトラッドな物が好まれ、ブランドの多くも変わらない良さを重視した結果、新しさやその時代らしさを取り入れることが難しく、結果として市場が縮小してしまったのではないかと筆者は考えます。
ゴスロリパンクブランドとこれから
消費者の好みが細分化した今、ファッションブランドを存続させるのは簡単なことではありません。それは、バンドやアイドルにも同じことが言えるのではないでしょうか。好きなものをずっと楽しむには我々消費者が好きなものを「買い支える」ことが重要だ、というのもバンドやアイドルファンを中心に近年よく言われています。ゴス・ロリ・パンクブランドでも、一度はブランド休止を宣言したものの、クラウドファンディングなどにより復活したブランドもあり、これはある意味で正しいと言えるでしょう。
しかし、ファッションなど消費者が新たなものを買うことで盛り上がるものに、作り手が新しさを求めなければ、消費者はお金を出したくても出すことができず、ブランドは衰退の一途をたどるのは明らかなことです。変わらないそのブランドらしさと、ファンをワクワクさせる新しさ、この2つが、これからのファッションブランドやエンターテイメントには必要不可欠な要素だと言えるでしょう。
ゴス・パンク・ロリータのファッションブランドが無くなるとき、人それぞれのかわいい・かっこいいが尊重される世の中だったら、まだブランドが続いていたのではないかと思うことがあります。ゴス・パンク・ロリータファッションは、派手さゆえに街中で目立つこともあり、それゆえに興味があっても着られないという声も多く聞きます。ですが、好きな服を好きなように着て、なりたい姿になることは、何にも代えがたい喜びを与えてくれます。こうした喜びを、誰もがその人の大事なものとして扱うことが当たり前になれば、服飾文化がもっと盛り上がるのではないでしょうか。そうした社会を、私は1人のゴス・パンク・ロリータ愛好家として待ち望んでいます。
関連記事
- 4月からミッキーマウスの“顔”が変わる? ディズニーシー新ショーの写真にファン激震
ミッキーはミッキー。でも顔が変わるってどういうこと? - “ネット鎖国”のジャニーズが放った「バーチャルジャニーズ」 ジャニオタは何に戸惑い、何に希望を見たのか
「ジャニーズ再評価」につながってほしい一手。 - 玉城ティナさん、中村里砂さんらが登場! Angelic Prettyのファッションショーが息を飲む美しさ
かわいいを通り越して神々しい。 - かわいいロリータ服をさらにかわいく見せる工夫がいっぱい 「Angelic Pretty」お茶会で見つけた最新ロリータファッションスナップ
約200人のロリータさんが集合! - ムスリム女子が和の装い! 古都で「和柄ヒジャブ」がじわり増えるワケ
着物とヒジャブが奇跡のマッチ!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
-
高校生の時に出会った2人→つらい闘病生活を経て、10年後…… 山あり谷ありを乗り越えた“現在の姿”が話題
-
ディズニーシーのお菓子が「異様に美味しい」→実は……“驚愕の事実”に9.6万いいね 「納得した」「これはガチ」
-
「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
-
「防音室を買ったVTuberの末路」 本格的な防音室を導入したら居住空間がとんでもないことになった新人VTuberにその後を聞いた
-
プロが教える「PCをオフにする時はシャットダウンとスリープ、どっちがいいの?」 理想の選択肢は意外にも…… 「有益な情報ありがとう」「感動しました
-
間寛平、33年間乗り続ける“希少な国産愛車”を披露 大の車好きで「スカイラインGT-R R34」も所有
-
「もしかしてネタバレ?」 “timeleszオーディション”候補者がテレビ局を退社 ディズニーの“船長”としても話題
-
走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
-
グルーミングが出来ない生まれたての子猫、とんでもない体勢になり…… 想像以上のへたくそっぷりに「どこにも届いてないww」「反則級」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた