ゾンビになったアイドルと、ゾンビみたいなオタクのすれ違いを描いた漫画が泣ける 「僕をカミカミしてぇ!」→「噛みたくなさすぎる!」
オタクのロメロ。
ゾンビになってしまったアイドルと、元からゾンビみたいなアイドルオタク。噛みたくないゾンビと、噛まれたい生存者。ポストアポカリプスな世界を舞台に、最後まですれ違う“推し”とオタクを描いた漫画が「泣ける」と話題です。
作者は漫画家の江戸川治(@edoosam)さん。現在はジャンプ+で「ホウキにまたがる就活戦争」(既刊1巻)を連載しています。
ビルからは黒煙が立ち上り、地上をゾンビが歩き回る――。ジョージ・ A ・ロメロの映画のような、物語開始早々ハチャメチャにぶっ壊れた世界で、元アイドルの現ゾンビ「まいたん」はさまよっていました。
「お腹すいた……。そろそろ人を食べなきゃ餓え死にしちゃうよ〜〜」ゾンビになっても意識はあるし、肉を食べなきゃ腹も減るのです。あわや2度目の死を迎えそうになる直前、まいたんの前に現れたのは、自分を推してくれていたアイドルオタクでした。「申し訳ないけど背に腹は変えられない」と、まいたんはオタクを噛むことを心に決めます。
一方のオタクの目的もまた、ゾンビまいたんに自分を噛んでもらうこと。つまり完全な利害の一致! オタク、やったなオイ! ……だったはずですが、感極まったオタクが早口&大声で発した一言によって、まいたんの決心は霧のようにかき消えてしまいます。「まいたんお願い……僕をカミカミしてえぇ!!!」「噛みたくなさすぎる!!!」
こうして、噛みたくないゾンビと噛まれたい生存者による、立場逆転な逃亡劇がスタートしました。「まいたんどこぉ〜〜〜?」とギラついた目で歩き回るオタク。もうどっちがゾンビか分かりません。
どうにか逃げ続けていたまいたんでしたが、ついに限界が訪れます。ふらつく意識の中で「嫌すぎるけど仕方ない……噛もう!」と思い直し、オタクに向かって口を開けるまいたん。オタク、今度こそやったなオイ! ……と思いきや、またも空気を読めないオタクの言葉がすれ違いを生んでしまうのです。
「君だけなんだ……僕に触れられても嫌がらなかったのは。君だけは笑顔で握手してくれたんだ」「だから君がどんな姿になってもずっと推す!」「さあ僕を食べて君は生き残って!」
オタクの本当の願いを知ったまいたんは、望み通りに「生き残る」ことを決意します。ゾンビとしてではなく、アイドルとしてオタクの心の中に生き続けることを。
結局まいたんはオタクを噛まず、オタクは噛んでもらえませんでした。ですが最後まですれ違ったままの2人に対して、リプライ欄には「とても心に響く素晴らしいお話でした」「ヤバすぎる。推し一筋でどんな姿になっても推し続ける彼とアイドル精神で彼の心にい続ける現実にいない彼女。最高です」といった温かい感想が寄せられました。
画像提供:江戸川治(@edoosam)さん
江戸川治さんの書籍(Kindle Storeで配信中)
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