4月2日、Google+終了。月間ユーザー5億人、大統領やAKBも活用した「巨大SNS」の夢はなぜ破れたのか?(2/2 ページ)

» 2019年04月02日 11時00分 公開
[辰井裕紀ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

Google+使用の強制化に不満噴出

 2012年以降、Googleはやや強引な手法に打って出ます。例えばGmailを開設するときにGoogle+アカウント取得を強制したり、YouTubeのコメントにGoogle+アカウントを必須にしたりなど、Googleのサービスを使うためにはGoogle+のアカウントを使う必要があるように仕向けたのです。

 それは複数のサービスを垣根なく利用しやすくなるメリットもありましたが、この強引ともいえる手法にはユーザーから不満も集まり、YouTubeでGoogle+を非難する曲が400万回近い再生数を集めるほどに。


Google+のやり方を非難する歌

 さらに2014年4月には、Google+生みの親であるヴィック・ガンドトラ氏がGoogleを退社。ここから迷走が深まったといわれ、景気のいいニュースはなかなか聞かれなくなります。

 2015年1月には、当時22億人を数えたユーザーの中で、YouTubeにコメントする人を除けば約400〜600万人ほど、つまりわずか0.2〜0.3%ほどしかGoogle+を使っていなかったという報告まで上がってきます。


Androidのプリインストール義務付けアプリから外れる

 2014年7月にはこだわってきた実名ポリシーを撤廃し、そのために参加してこなかった人たちへの理解を求めます。

 2015年5月には、Google+が生んだ最大のプロダクトともいえるGoogle+フォトが、Googleフォトとして分離。2016年9月にはハングアウトオンエアがYouTubeライブに移行し、事実上の終了を迎えます。


Google+消滅 GoogleフォトはもともとGoogle+のプロダクトだった

 また2015年7月にはGoogleのほかのサービスへのGoogle+アカウントとの連携強制をやめることを発表し、8月にはAndroid端末へのプリインストール義務付けアプリからも外れたことが分かります。プリインストールされたアプリは、ユーザーが削除したくても削除できないもので、ここから外れたことは大きかったと思われます。

 これらの結果、Google+はなかなか人の目にふれることもなくなります。


Google+、とうとう終了に

 そして2018年10月には、とうとう「2019年8月」での一般ユーザー向けGoogle+サービス終了が発表されました。調査によりGoogle+の利用が少ないことが明確になったとのこと。同時に公開設定でないプロフィールにアプリがアクセスできるバグが見つかったことも発表され、最大で50万件のアカウントに影響した可能性があったと明かしました。(関連記事)


Google+消滅 Google+終了のアナウンス

 さらに同年12月には約5250万人の個人情報流出のおそれがあることを公表。不具合は1週間以内に修正されたというものの、これにより終了時期は「2019年4月」に前倒しとなりました。(関連記事)


死にゆくGoogle+と、生き続けるもの

 Googleの消えたサービスを弔う「The Google Cemetery」には、既にGoogle+の名前がありました。一般ユーザーの利用を終了したGoogle+は今後企業向けとして、ひっそりと生き残っていきます。



 鳴り物入りで登場したGoogle+は、

  • 先進的な機能への他社の追随
  • 実名制への固執でユーザー離反
  • Googleサービスへの強制的な紐付け

 などの理由で推進力を失っていきました。

 しかしGoogle+が提示した革新的なアイデアを各社が取り入れたことで、これからも既存のSNSの中で生き続けていきます。

 そして記事後編では、独自性のあるコミュニティと運営サイドの取り組みの功罪が、「最後までGoogle+を愛したユーザーたち」によって語られます。


辰井裕紀


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた