「店員さんが来ると黙るカラオケ」「謎に年の離れた友達」オタクの楽しさあるあるとは? 『トクサツガガガ』丹羽庭×劇団雌猫対談(1/3 ページ)
オタクって、楽しい……!
“特撮オタク女子”の生きざまを描き、オタク気質をもつ人たちの共感を呼んだ作品『トクサツガガガ』。作者は自身が特撮オタクの丹羽庭さん。1〜3月にNHKで放送したドラマも好評で、早くも続編が期待されています。
そんな丹羽さんと劇団雌猫が対談。劇団雌猫は、かんさん、ひらりささん、もぐもぐさん、ユッケさんの4人の女性からなるグループ。『浪費図鑑』『だから私はメイクする』ほか、オタク女子の生態を浮かび上がらせた本がヒット。3月17日には“浪費とお金”をテーマにした『一生楽しく浪費するためのお金の話』も発売しています。
丹羽さんは特撮とゲーム、もぐもぐさんは宝塚とアイドル、ユッケさんは若手俳優とジャニーズ――と、それぞれ“担当ジャンル”が違うオタク3人。ジャンルの違うオタクでも、共通点はあるのでしょうか……? 丹羽さんと劇団雌猫さんのオタクトークをお届けします。
“NHKの本気”だったドラマ版「トクサツガガガ」
もぐもぐ: ドラマ「トクサツガガガ」、毎週すごく楽しみに見てました! 原作漫画はいま15巻まで出ていて、連載が進むにつれてキャラが増えたりもしていますが、ドラマは上手に原作のエピソードを組み合わせて全7回にしていて楽しかったです。小芝風花ちゃんがめっちゃかわいかった……!
丹羽: ありがとうございます! 私も「小芝風花ちゃん、めっちゃかわいい!」とときめきながら見ていました。
ユッケ: 吉田さん(倉科カナ演)と北代さん(木南晴夏演)もすごくそれっぽくてびっくりしました。丹羽先生は撮影現場に遊びに行ったとおっしゃってましたね。
丹羽: とても楽しい現場でした。「すげー!」と連呼するただのオタクになってはしゃいでしまった……。我々(特撮オタク)の世界で「いつもの山」と言われる場所がありまして、基本特撮番組の爆発はそこで撮影されているんですよ。その爆発を生で見られたのがすごくうれしかったですね。
ユッケ: 「いつもの山」! やはり特撮オタクが聖地巡礼したりするのだろうか。
丹羽: けっこう行くのが大変な山奥なので、なにか機会がないとなかなか行けないと思います。私は以前、乃木坂46の井上小百合さんが特撮好きというつながりで『ガガガ』とコラボして、いつもの山で爆発グラビアを撮る――という企画のときに行かせていただきました。爆発は何度見てもすごいです。
もぐもぐ: あの“NHKの本気”をビシバシ感じる特撮パートは、そうやって撮られていたのか……。特撮の爆発って、どうやって撮っているんですか? 映像で見ると役者さんの近くで爆発しているように見えますが……。
丹羽: 遠近法で近くに炎があるように見えていて、実際はけっこう離れているんですが、音もすごいし熱も来るんですよ。
ユッケ: 昔の番組のテロップネタなど、いろいろなパロディーネタがあったのも楽しかったです。いい意味で“遊んでる”なと。ドラマ4話のカラオケ回(さまざまなジャンルのオタクが全力でカオスにカラオケをする回)の本気ぶりもすごかったです。原作で描かれたカラオケシーンをすごく“それっぽい”感じのオリジナル曲にしていた。どうやって作ったんだこれ……と話題になっていました(笑)。
丹羽: 漫画で描いた歌詞を取り入れて、うまいこと作詞・作曲してくださいました。
もぐもぐ: 作中のアイドル「Bee Boys」を演じているのは実在のアイドルグループ・ボイメン(BOYS AND MEN)なわけですが、カラオケ回では彼らの実在する歌のシーンもあって楽しかった〜! ボイメンオタさんめっちゃうれしいだろうなって思いました(笑)。任侠さん(「カミナリ」竹内まなぶ演)が女児向けアニメのエンディングダンスを踊るのもかわいかったですね〜。
ユッケ: ぎこちない感じがまたよかった。
丹羽: 竹内さんは、その日の朝に来て踊りを覚えていたそうです。一生懸命に踊っていただきました。もともと任侠さんは運動が苦手なキャラだったので、ぎこちない感じも含めてすごく合っていたと思います。
オタクあるあるのリアリティー
もぐもぐ: 原作を読んでいると何度も思うのですが、『ガガガ』のオタクあるあるのリアリティーはすごい。丹羽先生は連載しながらオタクの最新トレンドを追っていますよね。特撮だけじゃなくて、アニオタやドルオタのネタも多くて、「わかる〜!」となる。
丹羽: アイドルはそんなに詳しくないので、アイドル好きなもぐもぐさんからそう言っていただけるのはほっとします(笑)。ネットつながりの友達から話を聞いていると、特撮オタもドルオタもけっこう似た感じなのかもしれないな、と感じます。
もぐもぐ: ドラマ第5話(「ウミノジカン」)の「海でのグラビア撮影のシチュエーションが謎すぎる」が、あるある、メッチャわかるとうなずきました。
丹羽: 担当編集さんがグラビアも担当しているのですが、あのエピソードについては「誠に申し訳ねえ。『海、うれしいよね?』という気持ちで謎シチュエーションを設定してしまう」と懺悔(ざんげ)していました。
もぐもぐ: 海への信頼すごい(笑)。
ユッケ: 女子アイドルのうれしみは「水着が見たい!」みたいなところでわかるんですよ。でも若手俳優さんなどもあったかそうな土地でグラビアを撮ると、じわじわと海辺に近づいていくのは何でだろう(笑)。なんならTシャツのまま胸まで海に浸かってる。「やりきったぞ〜!」って顔してる。
もぐもぐ: 今、完全に写真が頭に浮かんでいるよ。男子、水に浸かりがち!
丹羽: ちょっとずつ海に帰っていく……。
もぐもぐ: さっきも話に上がった「カラオケ」もあるあるでした。オタクはパセラとかに映像ソフトを持ち込んで上映会をしがちですが、それまでは「最高〜!」「カッコいい〜!」とかギャーギャー叫んでるのに、店員さんが来た瞬間スンッとなる。店員さんだっていちいち気にしてないとはわかってるんですけど、どうしても一時停止してしまうよね。
ユッケ: 気まずいよね。オタクになってから数十年経っているけど、私たちの振る舞いが何が正解なのかわからない……。
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