NTT東、「社員の個人PCに検閲ソフトを導入」SNS投稿を「事実と異なる」と否定
弁護士の見解も聞きました。
NTT東日本が社員の個人PCに検閲ソフトを導入させて、特定操作を妨害している」とするSNS投稿が一部で話題になっています。実際にそのような取り組みが行われているのか、NTT東日本に聞きました。
当該のSNS投稿では、業務利用していない社員の個人PCでも検閲ソフトでファイルを検査し、OSを書き換えて特定の操作を妨害するらしいとして、情報漏えい対策とはいえ、財産権やプライバシーの侵害ではないかと問題を提起していました。
編集部がNTT東日本の広報に問い合わせたところ、「投稿の内容は事実ではない」とのこと。同社では実際、年に1回、情報漏えい対策として全社員の個人所有PCのチェックを行っていますが、投稿にあるような内容ではないとしています。
この点検は、2007年に同社元社員の個人所有PCからファイル交換ソフトを経由して顧客情報が流出したことを契機に実施されているもの。個人PCに会社情報が入っていないかなどを、社員に自主的に点検してもらっているといいます。
その際に同社では点検ツールを提供。このツールではPC内の「会社情報の有無」「ウイルス対策ソフトの有無」「ファイル交換ソフトの有無」をチェック可能で、ファイル交換ソフトが検出された場合は、社員個々人が当該ソフトにチェックを入れることで利用制限がかけられるようになっていると同社広報は説明しています。
ツールは「ちぇっくME PC」を使用。同製品ではシステム管理者がリモートから進捗状況や点検結果を確認できると記載されていますが、同社ではオフラインでないと点検できないようにカスタマイズして社員に提供しているとのこと。
点検後、社員は対象ソフトの利用制限状況を確認して点検確認シートに結果を転記して提出し、点検ツールをアンインストール。このツールは「PCを遠隔操作するものではなく、PCを検閲するものではない」と同社広報は説明し、特定ソフトが入っているかどうかを確認しているだけで、PC内の個人情報をのぞいているわけではなく、プライバシーの侵害には当たらないと述べています。
権利侵害なのか、弁護士に聞いた
情報漏えい防止という目的があり、特定ソフトのみをチェックしているとしても、社員の個人所有PCをチェックしたり、ソフトの使用に制限をかけることは権利上問題ないのでしょうか? グラディアトル法律事務所の若林翔弁護士に聞きました。
―― こういった点検は業務として正当と認められるのでしょうか
若林弁護士 結論から申しますと、業務として正当と認められると思われます。社員の個人所有PCの点検について、直接判示した判例は見当たりませんでしたが、使用者による所持品検査について、「合理的な理由に基づいて一般的な妥当な方法と程度で、制度として労働者に対し画一的に実施されるものでなければならず、就業規則その他明示の根拠に基づいて行われるときは、労働者は、特段の事情がない限り、検査を受忍すべき義務がある」とした最高裁判例があります。
また、いわゆる個人情報保護法において、個人情報取扱事業者は、個人データの取り扱いについて、安全管理措置を講じなければならないとされており(同法20条)、くわえて、その安全管理が図られるよう当該従業者に対し必要かつ適切な監督をしなければならないと定められています(同法21条)。
これらのことからすれば、個人情報取扱事業者となるNTT東日本が、個人データも含まれるであろう会社情報の漏えいを防止するため、自主的かつ対象を絞った年に1回という妥当な方法と程度で、明示した制度として全社員に対し実施されているとのことですので、本件の点検は業務として正当と認められるでしょう。
―― 「会社情報」「ウイルス対策ソフト」「ファイル交換ソフト」と対象を絞っているとはいえ、社員の個人PCの内容を会社が確認することはプライバシー上問題ないのでしょうか
若林弁護士 「会社情報」の有無だけを点検し、それが社員の個人PCにないことだけを確認すれば、点検時点では漏えいリスクはないので、「ウイルス対策ソフト」および「ファイル交換ソフト」の有無まで点検する必要はないとも考えられます。
しかし「ウイルス対策ソフト」がなかったり、逆に「ファイル交換ソフト」があれば、何かの拍子で「会社情報」が社員の個人PCに混入した際、漏えいリスクが生まれること、また一方で「ウイルス対策ソフト」および「ファイル交換ソフト」の有無自体の情報がプライバシーとして保護されるものか微妙で、仮に保護されるとしてもその保護する程度は比較的小さいと考えられることからすると、正当な業務の範囲を超えるプライバシー上の問題があるとまではいえないでしょう。
―― 社員が個人のPCで使うソフトについて、会社が制限をかけることに権利上の問題はありますか
若林弁護士 社員が個人のPCで使うソフトについて、会社がたとえば強制的に範囲を絞らず必要性や相当性のないものまで制限するとなると、社員の財産権などを不当に制約するものとして問題になる可能性はあります。
しかし、本件のように会社情報漏えい防止という必要性があり、「ファイル交換ソフト」に絞って、強制ではなく社員の任意に基づくチェックを入れることでの制限という相当な手段であれば、社員の財産権などを不当に制約するものとまではいえないでしょう。
関連記事
- 「IT業界の萎縮を招きかねない」 “ブラクラURL書き込みで中学生補導”、弁護士に問題点を聞いた
ネットでは「この程度で補導されるのか」と批判的な声が。 - 「やりすぎでは」「ただの私刑」 “バイトテロ”投稿主の個人情報暴露、法的に責任はないの?
弁護士は「不適切動画問題と、再拡散や特定拡散は別の問題」と語ります。 - Tカード、「個人情報を令状なしで警察に提供」に批判 個人情報保護委員会に問題ないか聞いてみた
個人情報保護法を所管する国の機関に聞いてみました。 - 「店員が募金箱のお金をレジに入れている!」ツイート拡散も、ツイ主炎上 ローソン「募金額の確認です」
単に集計していただけ。 - 「NHK集金人が家の外で立ち小便」とする動画拡散 NHK「そうした事実はない」
委託事業者に確認したが、映像にある人物はいないとしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに……衝撃の経過報告に大反響 2024年に読まれた生き物記事トップ5
-
ryuchellさん姉、母が亡くなったと報告 2024年春に病気発覚 「ママの向かった場所には世界一会いたかった人がいる」
-
【ハードオフ】2750円のジャンク品を持ち帰ったら…… まさかの展開に驚がく「これがジャンクの醍醐味のひとつ」
-
巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
-
「どういうことなの!?」 ハードオフで13万円で売っていたまさかの“希少品”に反響「すげえ値段ついてるなあ」
-
「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
-
「衝撃すぎ」 NHK紅白歌合戦に41年ぶり出演のグループ→歌唱シーンに若年層から驚きの声 「てっきり……」
-
知らない番号から電話→AIに応対させたら…… 通話相手も驚がくした最新技術に「ほんとこれ便利」「ちょっと可愛くて草」
-
【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
-
「見間違いかと思った」 紅白歌合戦「ディズニー企画」で起きた“衝撃シーン”に騒然「笑った」「腹痛い」
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
- 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
- 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
- チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
- 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
- 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
- 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
- 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
- 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」