大井川鐵道「井川線」の秘境駅で駅弁を喰らう幸せ 静寂と孤独がスパイスだぜ:月刊乗り鉄話題(2019年4月版)(2/3 ページ)
絶景「奥大井湖上駅」、秘境駅「尾盛駅」、日本一高い鉄道橋「関の沢橋梁」
次の見どころは「奥大井湖上駅」です。絶景を紹介するテレビ番組などで有名になりました。湖上といっても水面の上ではなく、長島ダムによって作られた接岨湖に突出した半島の先端にあります。
駅の前後はレインボーブリッジと名付けられた長い鉄橋があり、その片側、井川駅方面は線路の脇を歩けます。レインボーブリッジの名前は東京・お台場の橋より先に名付けられたものですよ。お台場のレインボーブリッジは、井川線の線路移設の3年後、1993(平成5)年にできました。
さらに列車は進みます。接岨峡温泉駅は温泉宿やハイキングコースも案内されて乗降客があります。ここから長いトンネルを通り抜けると、秘境駅として名高い「尾盛駅」があります。かつてはダムの建設工事中は作業員の宿舎があり、小学校もあったそうですが、2019年現在は駅の周辺に誰も住んでいません。駅に通じる道もありません。
その尾盛駅で降りてみました。しばらく佇んでいると、反対方向の列車がやってきて、誰も降りず、誰も乗せないで去って行きました。
列車が走り去ると、静かな森の中です。鳥の声、風の音。次の列車まで約2時間。駅弁を開きます。大井川ふるさと弁当は、おにぎり2つ、筍の煮物、里芋田楽、山芋の梅漬け、玉子焼という懐かしい内容でした。あら、端っこに岩魚の甘露煮が寝そべっていました。頭からガフリ。柔らかくてうまい。
謎?:尾盛駅では年間190人が降りて167人が乗る あれ、残りの「23人」はどこへ?
静岡県の平成29年度統計によると、この尾盛駅では年間190人が降りて、167人が乗りました。
残りの23人はどうしたんでしょうか。大井川鐵道広報によると「秘境駅として降りて見物する人の他に、登山客もいる」とのこと。赤石山脈を縦走して諏訪、八ヶ岳へ、あるいは山越えで伊那へ向かうらしいです。まるで新田次郎の「孤高の人」、加藤文太郎の世界だ……。
首を長くして待っていた後続列車に乗り継ぎます。尾盛駅と次の閑蔵駅の間に、日本一高い鉄道橋「関の沢橋梁(せきのさわきょうりょう)」があります。列車が遅れていなければ、いったん停車または徐行して眺めさせてくれます。
うぉぉぉー、絶景……。デジカメとスマホで写真を撮りましたが、このスケールは写真に収まらない。これは実際に見て体験する方がウン百倍いいです。
閑蔵駅の次が終点の井川駅です。隣の駅だけれどこの約5キロを18分かけて走ります。途中で運休の原因となった土砂崩れの現場を通りました。崩落面は白いコンクリートで固められ、線路には新しい砂利が整えられていました。
井川駅付近は井川ダムがあり、水位と天候が良好なら遊覧船が運行しています。今回は残念ながら運休でした。残念。堤の上部は県道60号線、南アルプス公園線が通っています。ずっと道なりに進めば静岡駅前に着くとのこと。
井川ダムの堤は103.6メートル。当時、中部電力で初めて100メートル越えのダムだったそうです。2009年に公開された長瀬智也主演の映画「ヘブンズ・ドア」のロケ地として起用されました。日本で最初の「中空重力式コンクリートダム」とのこと。コンクリートの重力と水圧で水をせき止める重力コンクリートダムに対して、中空重力式はコンクリートの量を節約するため、内部に空洞を設けた構造のものです。
さぁ乗りに行きましょう!! 解説:大井川鐵道井川線への行き方、乗り方、楽しみ方
千頭駅から井川駅まで行く列車は1日4本。始発列車は千頭駅9時12分発です。(一例として)東京からこの列車に乗ろうとするなら、始発電車で新横浜駅に行き、始発の「ひかり493号」で静岡乗り換え、さらに東海道本線の金谷駅で大井川本線に乗り換えれば間に合います。
次の列車が千頭駅10時19分発。これだと東京発7時03分の「ひかり461号」で間に合います。次は千頭駅12時28分発。東京駅9時3分の「ひかり465号」で間に合います。
SL列車と組み合わせたい場合は、東京発9時3分の「ひかり465号」から東海道本線金谷駅乗り換えで、大井川鉄道本線の電車で1駅。新金谷駅11時52分発のSL列車に乗って、13時31分千頭着、13時35分発の井川線に乗れます。井川着は15時26分。折り返し15時54分の列車が最終便です。または、前述の千頭駅9時12分発または千頭駅10時19分発に乗って井川駅で折り返し、井川駅12時33分の列車で戻れば、千頭駅から新金谷行きのSL列車に乗れます。
フリーきっぷの「大井川周遊きっぷ」も便利です。大井川鐵道大井川本線と井川線、バス路線全線が乗り放題で、2日間用が4400円(小人半額)、3日間用が5400円(小人半額)です。1日4往復しかありませんが、始発列車から乗り始めて、「行ったり来たり方式」(詳しくはこちらで解説)を使うと7〜8駅を訪問できます。しかし、SLと井川線を満喫するならば寸又峡温泉や接岨峡温泉などで一泊すると良いと思います。
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