現代社会に必要な“肯定”はここにある 「世話やきキツネの仙狐さん」が楽園(エデン)すぎる(1/3 ページ)
今からロスが怖い。
癒やされたい。肯定されたい。「世話やきキツネの仙狐さん」(原作/アニメ)は、ブラック企業に勤める男性が、神使の狐に何もかも全て癒やされていく、人間全肯定アニメ。優しい空間が覆いかぶさってくる、ある意味現代日本を象徴するような作品です。
「社畜が死ぬ前に見る夢」みたいなアニメ
正直をいうと、このアニメ見るの怖かった。
だって考えてくださいよ。アニメってことはどこかで終わるじゃないですか。
「世話やきキツネの仙狐さん」は、頑張る大人の何もかも受け入れてくれる、疲れた身体を投げ出せる羽毛布団のような作品です。「聖母たちのララバイ」に匹敵するレベルの甘やかしです。
そんなん……一度味わったら、最初からロスが怖くて仕方ない。どこかで目を覚まさないといけないと考えるのがひたすらつらい。原作マンガは単行本読むたびにそんな気分でした。これは「見る抗うつ剤」という表現に並べて「見る安眠布団」であり「見るアルコール」なのではないか。仙狐さん依存症になりそうで怖い。むしろ1話終わる度に「でもぼくのそばには仙狐さんがいない」と悲しくて泣きそう。
と、わかっているからこそ見る。癒やされよう、まずは享受しよう、その後考えよう
ブラック感が強すぎる企業で働く男性・中野。毎日が疲労困憊。終電で背中に背負うどんよりした空気。人生を楽しめている感はありません。何のために生きているのか。もうぼろぼろ。彼が家に帰ると、知らない幼女の姿が。狐耳に、もふもふしっぽ。「おかえりなのじゃ! 遅くまでお仕事お疲れさまじゃ」
幻覚を見たのかと混乱していると、彼女は言う。名前は仙狐(せんこ)。800年の時を生きる神使の狐。「ボロボロのおぬしの姿が見ておれぬから 世話をしに来たのじゃ!!」
掃除、洗濯、料理のみならず、膝枕、耳かき、頭なでなでと至れり尽くせり。耳かきは迷走神経が刺激されるので気持ちよくなるそうですよ。
ニコニコ動画のコメントにあった「社畜が死ぬ前に見る夢」という表現があまりにも的確。むしろこのまま死んでもいい感すらあります。
狐娘、ロリババア、バブみ
原作はネットにおける、成人の欲する要素がこれでもかと詰め込まれた作品です。まず狐娘。ケモミミ娘の場合、猫やウサギなども確かに人気があるのですが、狐には大きな武器があります。しっぽです。
主人公の中野はどうももふもふフェチらしく、(普段わがままは言わないけれども)彼女のしっぽに顔をうずめることだけは欲望としてオープンにしています。仙狐の狐のしっぽは、包容力の象徴そのもの。
次にのじゃロリ(口調が古臭い少女キャラクター)でありロリババア(見た目は幼いが実際はかなり年齢を重ねている女性キャラクター)であること。
以前カップうどんのCMで、星野源の元に吉岡里帆が扮する狐娘が現れ、当時「うらやましすぎる」と世間をわかせたものです。だがしかし仙狐さんは、どこから見ても子ども。幼女。どっちが「好み」かは人によると思いますが、仙狐さんに対しては「女性」という視線が、少なくとも中野からはいかないのがポイント。
相手は神様のような存在。であれば人間ごときが考える見返りなんて、まったくお話にならない。どれだけ善行を積んでも足りない。だから「甘えるがよい」と言われたら、甘えていい。
遠慮しがちな日本の社畜社会において、なんて頼もしい言葉か。「年下に見える少女が、成人に対して母性を働かせる様子」を、ネットスラングで「バブみ」と表現することがあります。仙狐さんの場合は年齢が年齢なので、合法的バブみです。甘やかされるための準備は、あまりにも完璧。
叱咤激励じゃなくて、肯定されたい
中野の勤める会社は公式で「ブラック企業」と書かれています。ただ「まだまだこんなものではないのでは?」という社会人も多いと思うのです。ブラック自慢大会をしても仕方ないけれども、彼は家に帰ってきて「癒やされる」精神状態なだけ、マシかもしれない。仙狐さんはこのあたり、800歳なだけあってよくわかっています。中野は本当に大変だ。苦労を重ねている。けれども仙狐さんは別に会社を責めない。
「おぬしは働きものじゃの」「偉いのうおぬしは」「無理はするでないぞ」
つらいよね、頑張っているよね、えらい。
そう、それを言ってほしかった! 「頑張れ」とかじゃなく、今頑張っていることを肯定されたかった!! このあたり、言葉選びが非常に繊細な作品です。
(たまごまご)
試し読み:第1尾
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
昨日の総合アクセスTOP10
菊地亜美、体調不良の原因は「赤ちゃんと同じような大きさの…」 RIZAP10キロ減から2年で襲った悲劇
「綺麗で腰抜かした」「シワ少ない!!」 67歳の研ナオコ、華やかメイク動画で披露したすっぴん姿に反響
「度肝を抜かれるってまさにこの事」 内海和子、娘の極彩ヘアカラーで常識を揺さぶられてしまう結果に
「Twitterのアカウントを乗っ取られた」 海外から不審なログイン、自分のアカウントからはじき出され……実体験漫画に反響
「眠気が消し飛んだ」「やばすぎ」 伝説の名車「トヨタ2000GT」がヤフオクに出品 カーマニア騒然
元「E-girls」藤井萩花、結婚から1カ月で夫・今村怜央に過去の不倫報道 顔面わしづかみで「本当にクズだった」
子猫「あったかいニャ〜」……ってそれ炊飯器ですよ! とぼけた表情で暖をとる猫ちゃんがかわいい
ゆりあんぬ、美容整形繰り返し約800万円つぎ込む 母・内海和子とは何度も殴り合いに「拳で戦いました」
ロボット掃除機を乗りこなす子犬、向かった先には…… ワンコの真顔がシュールでかわいい
Twitter、クリエイターに金銭を支援できる「SUPER FOLLOWS(スーパーフォロー)」発表 支援者向け特典機能も実装
先週の総合アクセスTOP10
- 鳥取砂丘から古い「ファンタグレープ」の空き缶が出土 → 情報を募った結果とても貴重なものと判明 ファンタ公式も反応
- 「モンストのせいで彼氏と別れました」→ 運営からの回答が“神対応”と反響 思いやりに満ちた言葉に「強く生きようと思う」と前向きに
- 「この抜き型、何ですか……?」 家で見つけた“謎のディズニーグッズ”にさまざまな推察、そして意外な正体が判明
- 人間に助けを求めてきた母犬、外を探すと…… びしょ濡れになったうまれたての子犬たちを保護
- 幼なじみと5年ぶりに再会したら…… 陸上選手から人間ではない何かに変わっていく姿を見てしまう漫画が切ない
- ブルボンの“公式擬人化”ついにラスト「ホワイトロリータ」公開 イメージ通り過ぎて満点のデザイン
- 「幸せな風景すぎて涙出ました」 じいちゃんの台車に乗って散歩するワンコのほのぼのとした関係に癒やされる
- 「遺伝ってすごい」「足長っ!」 仲村トオルの“美人娘”ミオがデビュー、両親譲りのスタイルに驚きの声
- 猫「飼い主、大丈夫か……?」 毎日の“お風呂の見守り”を欠かさない3匹の猫ちゃんたちがかわいい
- 天才科学者2人が最強最高のロボを作成するが…… 高性能過ぎて2人の秘密がバラされちゃう漫画に頬が緩む
先月の総合アクセスTOP10
- 「訃報」「愛猫」「手風琴」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 安達祐実、グレー髪への“勘違い指摘”に「白髪は悲しくないですよ」と切り返し 加齢の考え方が称賛を呼ぶ
- 「これは妙案」「明日の朝はこれ」 “レジ袋1枚”でできるフロントガラス解氷テクに目からウロコ
- 嫌がらせ急ブレーキで追突 トラクターの進路を妨害した「あおり運転」ベンツ、ぶつけられたと運転手がブチギレ
- “東大王”鈴木光が『CanCam』デビュー “美しすぎる東大生”の新たな一面
- 柴犬たちが追いかけっこしていたら…… ワンコの“突然の裏切り”に「声出して笑った」「4コマみたい」の声
- 元「うたのおにいさん」今井ゆうぞうさんが脳内出血で急逝 生前最後のブログには“目の異常な充血”
- 「虚無僧」「言質」「古刹」って読める? 常用漢字表に掲載されている“難読漢字”
- 保護した子ネコに「寂しくないように」とあげたヌイグルミ お留守番後に見せた子ネコの姿に涙が出る
- 「えっ!? おきゃくさまっ!」 スターバックスでやけに長いレシートに遭遇 店員さんのテンションがすごかったエッセイ漫画