「若者の個性を抑圧しておきながら、社会は個性を求める」 風刺漫画「社会適合者のつくりかた」に反響
周囲に合わせるのではなく、自分の個性に合う場を求める生き方だってあるのですけれど、それはそれで難しかったり。
昔から尾崎豊やザ・ブルーハーツらが歌っているように、いつの世も社会からの抑圧は若者をさいなむものです。そんな気持ちから描かれた風刺漫画「社会適合者のつくりかた」が、大きな反響を呼んでいます。
主人公は小さいころ、傷だらけになりながらも外で活発に遊んでいました。しかし周囲からは「女の子なんだからおしとやかに」「普通にしなよ」などと言われてしまいます。成長してからも、「お姉ちゃんだからもうできるよね」「平均点以上は取ってよ」と、どんどん「普通」や「当然」を求められていきます。
生来の明るい髪色は「黒髪が普通」と怒られ、運動部では「休まずがんばれ」「甘えるな」と同調を求められることに。それでも主人公は、無言で耐えていきます。
その後彼女は、同性のことが好きになりました。すると周囲から「おかしい」「普通じゃない」と否定され、やがて恋人の手を放してしまいます。
学生生活も終わりにさしかかり、主人公は就活へ。ところが、これまで周囲の求める「普通」に応えて“我”を押し殺してきたというのに、会社は「個性」を求めます。
彼女はそれまでに培った「なんでも耐えてこなす」能力をアピールして、採用を勝ち取りました。周囲と同様の仮面と服装に身を包み、「社会の歯車の一員になれたことに常に感謝を〜」と不穏なアナウンスの鳴り響く電車に乗って社会に出ます。仮面の奥に、かつての自分の個性を封印しながら――結局のところ、会社は最初から個性など求めておらず、主人公が従順になるよう仕向けたともとれます。
あめみくろ(@ammkr2222)さんが「個性を殺してきたのはお前らだろ」との思いを込めて描いたこの漫画には、共感が多数。「『教育』『同調圧力』『洗脳』『普通』『常識』に対するモヤモヤしていた思いが全て書いてあった」「いざ個性を出そうとすると、のけ者にされる」「しょせん会社が求める『個性』とは、『利益を出せる個性』のこと」など、社会の理不尽さを嘆く声が寄せられました。
その一方で、「個性を認めてもらうには相応の実力が必要で、社会の体質だけの問題ではない」とする、厳しい指摘も。「一見すると同じようなスーツの集団にも、意外といろいろな人がいる」「現実はそこまでひどくない」など、漫画ほどに世間の人は画一的でもなく、不寛容でもないといった声もあります。楽観していて良いわけではないですが、そんなに社会を悲観的に見なくてもいいのではないかなと、いろいろ考えさせられた次第です。
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