姉の夜逃げに弟が女装してついてきた――自分らしく生きようと支え合う姉妹の漫画に「勇気もらった」と大反響(1/2 ページ)
離婚をきっかけに田舎から出ていこうとしたところ、弟がなぜか女の子の格好でフェリーに乗り込んできて――。
離婚をきっかけに田舎を出ていこうと東京行きのフェリーに乗り込んだところ、弟がなぜか女装した姿で追いかけてきた――。自分らしく生きていこうと支え合う姉妹の姿を描いた短編漫画「きりのふえ」が、Twitterで「勇気をもらいました」「心があたたかくなりました」と多くの人々に感動を与えています。
旦那や義理の母との生活に限界を覚え、離婚を決意したナナ子。しかし実家の両親から「バツイチなんて世間様にどう顔向けするんだ」と反対に遭い、夜逃げするような形で深夜のフェリーに乗り込みました。すると「待って」と追いかけてくる者が。弟の昭くん……でしたが、なぜかスカートをはくなど女の子の服装です。船上で昭くんは真剣なまなざしで、実は心の中身が女の子、妹だったことを告白するのでした。
両親には「お前までおれたちに恥をかかせるのか」とあきれられ、東京でナナ子と一緒に暮らしたいと、フェリーまで追ってきた理由を伝える昭。本当にそれでいいのか確認されても、「お姉ちゃんがいれば 大丈夫!」と満面の笑みです。特別仲が良かったわけではなく、殻に閉じこもったような性格だった弟――「私はいつあの子の信頼を得たんだ?」「全部捨てて逃げ出すような私なのに」とナナ子は疑問を拭えません。
出航後にカップ麺をすすりながら、昭が女の子の格好で外に出たのは今日が初めてだったことを知り驚きます。そして「私も昭ちゃんみたく堂々とできたら こんな夜逃げみたいなマネしなくてすんだかなぁ」と暗い顔。自分の気持ちに素直になって飛び出したとはいえ、心の中は不安だらけだったのです。一方で昭は昭で、就寝後の姉を思い詰めた表情で見つめるのでした。
翌朝、ナナ子は濃い霧の中でデッキに佇む昭の姿を見つけます。いきなり鳴り響く大きな汽笛……海の向こうには、姉妹船らしきフェリーが並走しています。そこで昭はどうして船が汽笛を鳴らし合うのか、なぜ自分が女として生きる覚悟を決められたのか、並走する船に例えながら胸の内を語り始めるのでした。そしてナナ子は気付きます。「妹は昨日からずっと 応答の霧笛を鳴らしていたのだ」と。
集団社会の常識に反して、自分の生きたいように生きていくというのは強い心が要るもの。その恐怖を払ってくれる存在が身近にいるのはどれほど心強いものなのか――はぐれ者同士となった姉妹が互いの勇気に励まされ合う姿を、東京行きのフェリーという舞台、霧笛という題材で24ページにまとめあげた秀逸な短編です。
作者はマンガ家の三輪まことさん(@miwa_tiluca)。作品はTwitterで投稿されるや2万5000回以上リツイートされ、「いいね」も7万件以上付くなど大反響となりました。読者からは「自分の望む道に飛び出していく姿に勇気をもらいました」「色んな人の目があるなかで思い切って行動するのは凄い勇気がいることだと改めて感じました」と2人の並走する姿に心打たれる声が多く寄せられています。
三輪まことさんは小学館の青年漫画誌『ビッグコミック・スペリオール』で新作『わるいあね』を連載開始。かつて実の弟を誘拐して大けがを負わせてしまったがために、家族関係を崩壊させてしまった姉――その弟が彼女の元に7年ぶりに姿を現し、禁断の情念と愛の物語となっています。2話目までが「めちゃコミック」で無料配信中です。
画像提供:三輪まことさん(@miwa_tiluca)
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