松本まりかにヤラれた「緊急取調室」 孫に娘を殺された祖母の絶望が生み出したのは……4話は早くも令和史上に残る神回(1/2 ページ)
小悪魔から無垢な子どもに退行する松本まりかの怪演に震えた。
5月2日に「緊急取調室」(テレビ朝日系)の第4話が放送された。共依存とネグレクトと家族愛が1話に凝縮されていた。令和史上に残る神回である。
第4話あらすじ「悦子の代わりを連れてこい」
女子高校生連続殺人事件の被疑者として、無職の男・樫村荘介(今井悠貴)が逮捕された。その直後、樫村の車から2日前の夜に失踪した女子高校生・福永真希(若林薫)の携帯電話が発見された。さらに、真希を尾行する壮介が映る防犯カメラ映像も見つかった。真希も過去の被害者と同様、水や食料を与えられずに監禁され衰弱死する恐れがある。
一刻も早く監禁場所を突き止めるべく、「緊急事案対応取調班(キントリ)」が荘介の取り調べを行うも、完全黙秘を貫く荘介。真壁有希子(天海祐希)は手がかりを求め、寝たきりの祖母・澄江(鷲尾真知子)と姉の茜(松本まりか)を訪ねた。
17年前に起こった火災で、茜と荘介の両親は他界している。その映像での茜の表情は、樫村家を訪ねた際に有希子が見たそれと同じものだった。17年前の火事は、暴力を振るう父を殺すために荘介が放火したもので、それは茜の指示ではないかとキントリは推測。有希子は荘介に茜を会わせ、茜の単独取り調べも行った。その後、「全部、荘介が勝手にやったこと。私にあの子は必要ない」と茜が言っている映像を荘介に見せると、取り乱した荘介は真希の監禁場所を自供。しかし、すでにその場所に真希はいなかった。茜が移動させたと踏んだキントリは荘介を釈放し、「元ヤクザである真希の父親が荘介に何をするかわからない」と茜に告げた。茜は取り乱し、全てを話した。
祖母・澄江は茜と荘介の母親・悦子だけを愛していた。孫2人を恨む澄江は「悦子の代わりを連れてこい」と言い続け、ある日、荘介は本当にバイオリンが弾ける女性を連れてきてしまった。最後に澄江は「私がやらせた。私が殺した」と、孫への指示を認めた。
松本まりか=ヤバい役というミスリード
松本まりかが出演すると聞いた時点で4話には期待していたが、完全に期待以上だった。これを機に、彼女は一層評価が上がると思う。
今回はストーリーが何重にもなっていた。まず、押し出されたのは「姉から精神的な支配を受ける弟」という側面。序盤の茜は小悪魔的で、次第に性格の悪さが滲み出てくる。「よしよし」と、見ている我々は手応えを感じ始める。自らの手は汚さず、弟に放火をさせた茜。幼少期から狡猾だった。取調室に現れると「話して」と弟に訴えかけ、同時に手に爪を立てて「話すな」と命令している。
「お姉ちゃんの言うことだけ聞いてれば、大丈夫だから」(茜)
姉が弟を洗脳しているとにおわせるやり取りだ。誤って母も殺してしまった負い目で姉に逆らえない弟。弟の面倒を見ることを自分の存在意義にしている姉。仮面を剥がすと、そこには2人の共依存関係があった。……では終わらない。
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