保険適用が決まった白血病新薬「キムリア」、価格「3349万円」の理由は
公的制度によって患者の負担はかなり抑えられます。
» 2019年05月15日 17時53分 公開
[ITmedia]
一部の白血病などの治療薬として期待される「キムリア」の保険適用を中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)が了承しました。薬価は約3349万円と、1回当たりの価格としては最高額になります。
患者から免疫細胞(T細胞)を取り出し、遺伝子を改変した上で点滴で体内に戻す「CAR-T細胞療法」と呼ばれる治療法で、導入は国内初といいます。既存の治療法が効かない白血病などに効果が高いとされ、投与は1回で済むとのことです。スイスの製薬メーカー、ノバルティスが米ペンシルベニア大学の研究者と共同開発しました。
3349万円という超高額な薬価ですが、中医協に提出された資料によると、(1)製造原価が約2363万円、(2)営業利益が約414万円、(3)流通経費が約68万円で、(4)消費税約228万円──の合計約3073万円に、治療法の有用性などを加味して補正をかけ、3349万円(正確には3349万3407円)と算定されました。
米国では5000万円を超える場合もあり、日本の薬価はこれでも安く抑えられています。さらに保険適用されたことで「高額療養費制度」を利用することができ、負担をかなり安く押さえられます。例えば年収約370万円〜約770万円の場合、薬代の負担だけなら約41万円で済むことになります。
ピーク時で利用患者は216人程度、市場規模は72億円と予測されています。
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