ゲイの悲劇をAIDS以外の方法で描いてほしかった「腐女子、うっかりゲイに告る。」4話 “ゲイバレ”に金子大地が自虐的に言い放つ「好きなんでしょ? ホモ」(2/2 ページ)
「僕には純くんが必要だよ」
「そっか、僕にはこれが普通なんだ」
事情を知らないと、やたら精神が不安定な不思議ちゃんにしか見えない純に対し、それでも健気(けなげ)に「好き」アピールをしまくってきた紗枝を見てきただけに、ホントに切ない。純だって直前まで紗枝に対して「ああ、僕はこの子のことが好きなんだ。この子となら、本当の僕のままでも……」なんて思っていたのに!
ボーゼンとする紗枝に「いいじゃん別に。好きなんでしょ? ホモ」と言い放った純。彼が「ホモ」というワードを使うのは、ゲイである自分に対する自虐心がムクムクとふくらんでいる時だ。
「やっぱり普通になるのは無理だった」という諦めとともに、紗枝を突き放すことでショックを和らげようという優しさでもあるのかもしれないが……。
初体験がうまく行かず、気まずい関係になってしまったくらいなら「甘酸っぱい青春の1ページ」といった感じだが、彼氏がオッサンとキスしているのを目撃してしまうのは「青春」では済ませられない。
今回、フィーチャーされたQUEEN曲は「The March Of The Black Queen」。騙された天使が、闇の女王になってしまうというような歌詞だ。……紗枝ちゃん、闇墜ちしてしまうの!?
AIDS描写に違和感が……
ファーレンハイトとその彼、いきなり2人の死者が出た今回。
ゲイと女性との間で「普通」の幸せは手に入るのか……という現代らしい問題を丁寧に描いてきた本作だが、ここに来てゲイカップルがAIDSによって死&自殺という、ひと昔前のゲイ・イメージを引きずった感のある展開となった。
AIDSが世間に広く知られるようになった当初、それこそゲイであると噂されていたQUEENのボーカルであるフレディ・マーキュリーがAIDSで亡くなったこともあり、「AIDS=ゲイ特有の病気」という偏った認識をされていた。
さらに「AIDS=不治の病」というイメージをいまだに持っている人も多そうだ。現在では、性交渉などが原因でHIVウイルスに感染してしまったとしても、治療薬によってHIVウイルスの増殖を抑えることができるようになっており、早期検査で感染を知り適切な治療を受けることで、AIDSを発症しないまま天寿をまっとうすることも可能になっている。必ずしも「死の病」ではなくなっているのだ。
ファーレンハイトの彼に関しては、
「彼の免疫力はとんでもなく低下していて、分かった時には既に末期状態だった」
ということなので、検査を受けず、HIV感染に気付かないままAIDSを発症してしまったため、手遅れになってしまったのだろうと思われる。
映画「ボヘミアン・ラプソディー」のヒットで、再び「AIDS=不治の病」イメージが広がっていそうな昨今、その辺をもう少し丁寧に描いてもらいたかった。
純と紗枝の関係性が、ホントに切ない青春ドラマとして成立しているだけに、いい加減「ゲイの不幸=AIDS」以外の方法でドラマを展開してもよかったのではないだろうか。
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