「東京独身男子」パンツ丸見えで廊下に投げ出される高橋一生に、「シン・ゴジラ」安田を見た 制作陣の“役と俳優への愛情”(2/2 ページ)

» 2019年05月18日 12時30分 公開
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「紅一点」「華」にならない仲里依紗の意思

 本作のAK男子(あえて結婚しない男子)には賛否の声が集まっていると聞く。しかし、制作陣は彼らを肯定も否定もせず「愛おしい存在」として見ているんだなあということが、特に前回と今回の太郎の扱い方でよくわかった。

 付き合いたい、結婚したいと言ってくれている特に難もない女子・かずなに「俺にとって、ぶっちぎりの2番」とひどいことを言ってしまった太郎。それに対して、かずなは「ただ受け入れる(肯定)」でも「最低だと言ってビンタする(否定)」でもなく、「結婚を前提に付き合って」と条件を出して関わり続けようとした。

 相手の気持ちをおもんばかれない太郎は、追い詰められたように感じたかもしれない。けれど、かずなの提案は助け舟でもあったと思う。AK男子・太郎の未来が孤独じゃないと思えるのは、かずなが自分の意志をもって側にいてくれるからだ。

 最初は、どうして3人のAK男子の中にかずなという女の子がいなければいけないのかわからなかった。「紅一点」とか「華」的な役割を任される存在だったら嫌だなと思っていた。でも、かずなはAK男子たちの都合の良い存在ではなかった。時には怒り、時には条件を出し、自分の意志を見せている。

 意思があるということは、コミュニケーションができるということだ。男性から客体化されたりジャッジされたりする存在になることなく、AK男子、特に太郎と関係性を積み上げていこうとするかずなの存在は、結婚するしないに関わらず、太郎にとって救いになる。早くそのことに気付け! と念じながら、引き続き放送を楽しみに見たい。

リアルな感情とリアルじゃない演出に揺れる心地良さ

 「東京独身男子」は、今回もベタ! と笑える演出が多かった。かずなが怒って太郎に水をかけたり、男性更年期障害を打ち明けた三好と岩倉の間に、やけに巨大にされた東京タワーがそそり立っていたり。透子が、三好と岩倉のどっちと夜を過ごすか決めるときにコイントスを提案するのも、浮世離れしていて良かった。

 「こんなのリアルじゃない!」という笑いと、「こういうことあるかも」というリアルな悩みとの間で揺れ動くことが、心地よくなってくる。次はどんな虚構と現実が飛び出すのか。

 そういえば、高橋一生が出演した「シン・ゴジラ」のポスターに「現実対虚構。」というコピーが記されていた。そんなちょっとした気付きにも、役と俳優への制作陣の愛情を感じずにはいられない。

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むらたえりか

宮城県出身のライター・編集者・ハロヲタ。 

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