猫の数だけ形がある 愛猫の最期に向き合うための1冊『まんがで読む はじめての猫のターミナルケア・看取り』
考えたくないけど考えておきたい。
愛猫の余命が残りわずかと知ったときに飼い主さんができることを考える本『まんがで読む はじめての猫のターミナルケア・看取り』が、5月13日に日東書院本社(辰巳出版グループ)から発売されました。価格は1404円(税込)。
同書は、余命わずかと診断された猫の“もすけ”と飼い主・鈴木のターミナル期(終末期)から看取りまでを描いた物語。余命宣告、愛猫にとっての心地よい環境作り、投薬・ごはんのコツ、緩和ケア、おみおくりなどについてやわらかい絵柄の漫画で描かれています。
もくじ
プロローグ ぼくともすけ
Vol.1 余命宣告
Vol.2 心地よい環境
Vol.3 投薬
Vol.4 ごはん
Vol.5 副作用
Vol.6 治療の選択
Vol.7 緩和ケア
Vol.8 発作
Vol.9 鈴木スペシャル
Vol.10 もすけ
Vol.11 おみおくり
エピローグ 日にちぐすり
「ドクターズコラム」「猫せんぱいの知恵袋」各8カ所にあり
余命宣告
飼い主の鈴木は34歳の会社員。もすけとの暮らしは14年になります。もすけの体調がおかしいので動物病院に連れて行った鈴木は、悪性のリンパ腫があることを告げられます。
ペットが自分より先に死ぬことは分かっていても現実を受け入れられない鈴木。それでももすけはたんたんと生きています。
どんよりとした気持ちで再訪した動物病院の待合室で、猫の保護ボランティアをしている女性と知り合った鈴木。「やることはいっぱいある」「あなたにしかできないことがある」と励まされます。
先生と話し合って今後の治療方針を決める鈴木。もすけは早速、抗がん剤治療をスタートします。
多彩な内容
同書は漫画ページの他に「ドクターズコラム」や「猫せんぱいの知恵袋」のコーナーがあり、動物病院院長の話や保護猫活動をしている方のケア方法などが紹介されています。投薬のコツや家庭での点滴の方法も具体的なイラスト入りで参考になりそうです。
鈴木スペシャル
残された日が少ないことを悟った鈴木は強制給餌や投薬を中止します。もすけが好きな出窓に座り、一緒に日向ぼっこをする鈴木。なでられるのが好きで、話しかけると返事をする甘えん坊のもすけ。鈴木は、これまで紡いできた関係を適度に続けることが、両者にとってのスペシャルケアだと考えます。
後半のページではエンゼルケアの方法も紹介。イザというときに慌てないために心に留めておきたい内容になっています。
全体監修は養生法のセミナーなどで活躍するドクターの古山範子さん。医療指導は「アール動物病院」院長の西村知美さん。ケア指導は東京都で保護猫活動をする武原淑子さん。構成・文・まんが原作は2匹の猫と暮らすライターの粟田佳織さん。
それぞれ看取りの経験があるというみなさんの話は猫ちゃんへの愛情でいっぱい。ハンカチ必須の1冊になっています。
原作者・栗田さんより
数年前にはじめての猫を看取った経験からターミナルケアの情報のニーズを強く感じ、本書の企画に至りました。愛猫はもともと病弱で投薬や通院が常になっており、ペット医療の知識や命に対する意識もそれなりに高いつもりでいましたが、いざターミナル期に突入すると何も役に立たず、弱っていく愛猫を前にとまどうことばかり。本当に知りたいことはネットや本にも載っておらず無力感でいっぱいでした。
大切なのは正解ではなく自信なのだと気づいたのは、見送った後のことです。愛猫のことをいちばんわかっているのは自分なのだと自信をもてば、あらゆる選択や決断が潔くできただろうし、強くいられたのだろうと。そして自信を育むのは生きていっしょに過ごした時間なのだと。
ターミナル期も看取りも猫と生きた時間の集大成、だからこそいっしょにいる時間の尊さを実感してほしいし、自信をもって看取ってほしい。そんな思いを込めて作った一冊です。
(漫画:ななおん イラスト:小野崎理香 編:ねこなび編集部)
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