人間の心をザワザワさせるNetflix「リラックマとカオルさん」 カオルさんの性格は「闇」なのか?(2/2 ページ)
カオルさんに石を投げられる人、果たしてどれほどいるのか
しかし、しかしである。Twitterで「リラックマとカオルさん」と検索したおれは驚いた。なんせ続いてサジェストされた単語が「闇」である。「リラックマとカオルさん 闇」で素直に検索をかけたおれが見たものは、カオルさんの性格のネクラな部分や作品内の微妙にエグい部分を指摘するツイートだった。闇、闇かあ……。そんなにダークな内容だったかなこれ……。正直な話、ちょっと闇闇言い過ぎじゃないの……という気もする。
多分なんだけど、カオルさんの人物造形は「あるあるネタ」的ラインを狙っている気がする。「30歳を回って特に恋人もいなくて、一応仕事はしてるけど、自分はこの先どうなっちゃうんだろう……」という感じで、まあそういう状況だとクサクサした気持ちになることもあるよね、という線だと思う。まあ確かに、リラックマから生えたキノコを食べようとしたりいきなりUFOが飛来したりとピーキーな内容の回もあるにはあったが、基本的には「アラサーあるある」みたいなコンテンツだろう。
かわいいリラックマが出てくる人形アニメを見に行ったら妙齢の女性の意外に強い性欲が出てきちゃった……ということで、だまし討ちされたような気分になる人もいるかもしれない。「OLをやっているカオルさん」というキャラクター自体はリラックマの絵本などに登場しているとは言え、いきなりあそこまでディテールを盛り込んだ人物が登場すると思っていた人は多くないだろう。
でも、そんなに寄ってたかって「闇だ」「闇だ」っていうほどのもんですかね、と思わんでもないのである。確かにカオルさんは合コンに誘ってはもらえない。「合コンで戦うモード」に入っていない人間を合コンに連れてきてしまったら幹事の責任問題になるだろうから。それはもう需要と供給の話なんだから、仕方ないと思う。しかしだからと言って、カオルさんの性格まで否定しなくてもいいのでは……。
思うに、カオルさんは社会的な規範意識を一応インストールしたものの、その内容とカオルさん個人の意識の間にギャップが発生している人だ。規範意識サイドに身を置いている(と思っている)人からすると、石を投げやすいところがあるのかな、と思う。しかし、まあそういう社会的なあれこれとはリラックマと一緒に適当に折り合いをつけていけたらいいよね、とボンヤリ主張しているコンテンツに向かって「カオルさんの闇だ!」とか言っちゃうのは、そっちの方が闇が深くないですかという感じがする。というか、カオルさんに石を投げられるほどキレイな人間なんていないんじゃないの……と思うのだ。人間誰しも、けっこうあんなもんではないのだろうか。
そういう意味で、カオルさんは半分以上おれである。実際、あのシチュエーションでマカダミアナッツのチョコレートをもらったら、おれだって陰口を叩く可能性が高い。宅配便のお兄さん目当てで通販を使いまくったことはないけれど、家の一番近所のコンビニでちょっとかわいい人が働いていたので「なるほど、この曜日のこの時間にはシフトに入っているのか……」と意識してしまったことはある。自宅にリラックマがいるかどうかくらいしか差がないような気がしてきた。
そんなふうに心にカオルさんを宿した状態でTwitterを検索すると、カオルさんの性格の悪さを指摘するツイートを見るたびに「や、やめて! 石を投げないで!」という気持ちになる。いや、ひょっとしたら石を投げている彼らも、内なるカオルさん部分をあのアニメによって逆撫でされたのかもしれない。さながらどちらも傷ついたキツネリス、今おれたちに必要なのは「怖くないよ」と言ってくれるナウシカである。
まあもちろん、かわいいリラックマだけを見たかったのにものすごいノイズが入っててビビった、という気持ちもわかる。しかし、繰り返しになるけど「性格が悪い」「闇」とまでいうほどでもない気がどうしてもしてしまうのだ。この辺の潔癖さは最近のインターネットのよくないところなのかな……とも思うのだが、おれはカオルさん的いじけ根性もけっこうわかるので、「そんなに言わないでくれよ〜」と思ってしまう。カオルさんに石を投げてもいいのは「猫を飼いたいな〜」という現実逃避の妄想を一度もしたことがない人だけなのである。
編集部からのひとこと
- 見たけどリラックマのかわいさによる癒やしとカオルさんの身に巻き起こるつらい感じのザワザワが交互に殴りかかってきて情緒不安定になるアニメでした。こわい(女性編集A氏)
- まだ見てないけどこれ読んだだけで「荻上直子っぽい〜〜!」となりました(男性編集I氏)
関連記事
- その映像は、どこで止めても美しい――小林雅仁監督に聞く「リラックマとカオルさん」の実在性と普遍性
こま撮りアニメで4Kという挑戦しかない作品ながら、肩の力を抜いて見るのが大正解です。 - 「ただしイケメンに限る」を使ったことのある人に聞きたい、“イケメンとは何か”を真剣に考えたことはあるか?
「仁義なき戦い」を見るべし。 - 「セフレがいるけど妻とも仲良くしたい」泣きながら訴える相談者にパーソナリティもドン引き 「テレフォン人生相談」先週のハイライト
その涙、自分に酔ってない? - なんて答えるのが正解なの? 「自分の好みのタイプがわからない」問題
解像度が低いと言語化ができないんですよね……。 - 若い女子の処世術的な褒めを「俺に気があるのか」と勘違いしてしまう問題 “クリーンなおっさん”になる方法を誰か教えてくれ
恐怖! 32歳男性、交流会で褒められまくる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
-
「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
-
富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
-
漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」