「腐女子、うっかりゲイに告る。」鬱展開を腐女子パワーが救った6話 でも彼氏がゲイだと発覚したからって、BL本を貸す腐女子なんているだろうか?(1/2 ページ)
腐女子描写が「キャラ」になってるのが惜しいドラマ。
肉体的には結ばれなかったゲイと腐女子が「BL本」を通して精神的に結ばれていく「腐女子、うっかりゲイに告る。」(NHK総合・土曜23時30分〜)第6話。
学校でのゲイバレから自殺未遂という、かなりの鬱展開だった先週。どう考えてもさらなる暗い展開が待っている……かと思いきや、三浦紗枝(藤野涼子)の腐女子パワーで救われた。
「なんで僕なんか産んだんだよ」とか言っちゃうんだ……
教室のベランダから飛び降りてしまった安藤純(金子大地)。一命は取り留めたものの、この騒動のせいで母親にまでゲイバレしてしまうというツライ展開。
「純くん、男の人が好きなんだってね」「その……間違いないの? 同性に憧れる時期って誰にでもあるでしょ?」
努めて冷静を保とうとしつつも、どこかで間違いであって欲しいという気持ちをにじませる母親(安藤玉恵)。一番知られたくなかった人に、一番言われたくなかった言葉だろう。純はたまらずブチ切れてしまう。
「ずっと悩んでさ。そのうち僕も女の人を好きになるんじゃないかって。僕が! 僕自身が! 一番期待して生きてきたんだ!」「そういうふうに生きている僕の気持ちが母さんに分かんのかよ! なんで僕なんか産んだんだよ。なんで僕はまだ生きてるんだよ」
あー、こっちも母親に対して絶対に言っちゃいけない事を言っちゃった。自分の性指向を自分ではどうすることもできないように、母親だってどんな性指向を持った子どもが生まれるか、どうしようもないのに。
今まで、とことん能天気だった母親の、絶望的な表情が悲しい。
彼氏と一緒にBL本を読む腐女子なんているか!?
前週から引き続いてのヒリヒリするような緊迫感を打ち破ってくれたのが、紗枝の天然っぷり。
やっと付き合えた彼氏がゲイだと発覚。その上、飛び降り騒動まで起こして、紗枝もかなりツライ立場に追い込まれていたはずだが、BL姐さん(望月綾乃)から「週刊少年ジャンプ」っぽい漫画雑誌「週刊少年ビート」に連載中の「サムライ・ディストピア」が神展開しているという情報を聞くと、すべてを忘れて大コーフンしてしまう。
「コジロウがムサシに言ったんですよ、『俺に負けるまでお前は負けるな』って!」
「それって……プロポーズじゃないですか!?(ムフーッ!)」
「おめでとうー!」「おめでとうー!」「ありがとうー!」
いっくらなんでもこんな状況で、しかも真っ昼間のカフェでここまでブチ上がっちゃうヤツはいないだろう。姐さん的には、落ち込んでいる紗枝を励まそうとしていたようだが、紗枝はまんまとそれに乗せられたわけだ。
「自分をさらけ出してお互いを知ってみたら? 情けないところが一番かわいかったりするもんだよ」姐さんのアドバイスから、紗枝が思いついたのが「入院している純にオススメBL本を貸し出す」という作戦。
自分をさらけ出す=BL趣味を知ってもらう。ゲイ=BLを喜んでくれるはず……という発想なのだろうが、「彼氏がゲイだったから、BL本を一緒に読んで仲良くなろう」なんて考える子、いくら腐女子だっていないよ!
BL本を渡した帰り際、「言っておくけど、私まだ安藤くんと別れるつもりないから。そう簡単に逃がさないよ(ピストルを撃つ仕草でバキューン)」も、かわいいんだけど……かわいいんだけど……行動が漫画過ぎるだろう、紗枝ちゃん!
このドラマ、ゲイに関してはすごく繊細に描写されているのに、腐女子の描き方は非常に漫画的。というか、純以外の登場人物がみんな漫画的な分かりやすい「キャラ」になっているのが少々気になっている。
腐女子は徹底的にステレオタイプな腐女子だし、親友は一点の曇りもなくいいヤツ。敵役は、とことんゲイに対する偏見を丸出しにした嫌なヤツ……。
なかなか正解が出せない難しい問題を扱っているだけに、純以外の登場人物をシンプルに描くことでストーリーが分かりやすくなってはいるのだが、それこそがこのドラマが否定している「世界を簡単にする」ことなんじゃないだろうか。
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